昔から「青板ガラスとかのミラーは温度変化に弱く、温度が下がると焦点距離が短くなるが、筒も短くなるので影響が少ない・・・」と聞きます。
温度が下がると、焦点距離が短くなるイメージがわきません。
周辺のほうが収縮量が多いので焦点距離が長くなるイメージが頭に浮かびます。
極端な例で話すと、周辺部の厚みが100.0㎜、中央が90.0㎜のミラーがあったとします。中央と周辺の差は10.0㎜
それが1%収縮すると、周辺が99.0㎜、中央が89.1㎜になり、中央と周辺の差は9.9㎜になります。
セル側に抑えられているので、反射面側のカーブが変わり、単純に焦点距離が延びる方向になるのではないかと思うのですが・・・
確かに、表と裏の非対称性によって、(冷えるのは逆ですが)イカを焼いたときのように丸まったら短くなりますが・・
理屈はあるんでしょうが、なんかイメージに合いません。どうイメージしたらいいのでしょうか?
温度が下がるとミラーの焦点距離が短くなるの?
Re: 温度が下がるとミラーの焦点距離が短くなるの?
そういえば、中村要氏がカルバー氏のミラーが最高と言われていた時も、青板硝子の観測中の温度変化を考えて、お皿型に作ったと言われてましたが、あれも周辺のほうが収縮する理屈からではなかったでしょうか?
R200ss他、青板硝子は多いのでどんなでしょう。
R200ss他、青板硝子は多いのでどんなでしょう。
プライベートメッセージです
Re: 温度が下がるとミラーの焦点距離が短くなるの?
ガラクマさん みなさん こんにちは
ミラーが(光路も)相似形を保ったまま小さくなるのだから
焦点距離も、同じ収縮率で短くなるのでは? ※無邪気すぎますかしらん?
※※とすれば、筒の収縮率も同じなら「結果オーライ」...。
※※温度変化が均等でない、など収縮率が所によって異なると相似形でなくなる - それが問題。
※※「鏡形と温度攣化の關係」で検索すると「tnk000096_186.pdf」が見つかります。
均等な収縮を考えているわけですね。ガラクマ さんが書きました: 周辺部の厚みが100.0㎜、中央が90.0㎜のミラーがあったとします。中央と周辺の差は10.0㎜
それが1%収縮すると、周辺が99.0㎜、中央が89.1㎜になり、中央と周辺の差は9.9㎜になります。
ミラーが(光路も)相似形を保ったまま小さくなるのだから
焦点距離も、同じ収縮率で短くなるのでは? ※無邪気すぎますかしらん?
※※とすれば、筒の収縮率も同じなら「結果オーライ」...。
※※温度変化が均等でない、など収縮率が所によって異なると相似形でなくなる - それが問題。
たとえば、天界 = The heavens (1929), 9(96): 186-192で論じられていますね。ガラクマ さんが書きました: そういえば、中村要氏がカルバー氏のミラーが最高と言われていた時も、青板硝子の観測中の温度変化を考えて、お皿型に作ったと言われてましたが、あれも周辺のほうが収縮する理屈からではなかったでしょうか?
※※「鏡形と温度攣化の關係」で検索すると「tnk000096_186.pdf」が見つかります。
Re: 温度が下がるとミラーの焦点距離が短くなるの?
「M」さんご紹介の「反射望遠鏡の智識(14)」こそ、私のうる覚えの知識の源でした。
あらためて見直しても、その時代でこそのハイレベルの検討がされているように見えます。
実際調べたい気持ちはありますが、温度変化の影響は、大口径長焦点、青板硝子で顕著ということですので、調べるのは難しいかもしれません。
あらためて見直しても、その時代でこそのハイレベルの検討がされているように見えます。
実際調べたい気持ちはありますが、温度変化の影響は、大口径長焦点、青板硝子で顕著ということですので、調べるのは難しいかもしれません。
プライベートメッセージです
Re: 温度が下がるとミラーの焦点距離が短くなるの?
カルバー型・・・・・若かりし頃,長野市の西側の小川村という所にある小川天文台(観光天文台)ってところで,職員の人がカルバー型って話しをしてましたのを覚えています.
「M」様紹介の,中村要の資料は初めて読みました.興味深いですね.
理屈から言うと,凹面鏡が周囲の温度変化によって,熱膨張・収縮した場合,焦点距離は温度変化量×熱膨張率だけ変化するだけです(ちょっと計算してみましたけど).この時,相似形に変化するので鏡面精度等に影響はないはずです.だから,温度分布の不均一のために鏡が歪んでるんですね.この現象を「鏡のスルメ焼き現象(Burning dried squid phenomena on mirror)」,略してスルメ現象としましょう.
普通のガラスの熱膨張率って,確か9×10^-6くらいなので,仮に10゜も表裏の温度が違ってて(裏が低温,メッキ側が高温),スルメ現象が起きたとしても,ざっと見積もって焦点距離が1/10000変化するだけなので,1mの焦点距離で0.1mm伸びるだけ・・・.
スルメ現象だけではなくて,ソリ方が不均一なんですね.
中村の資料中,ブンゼン灯で裏を炙ったら大幅に面が歪んだ.表のメッキ面を炙っても,ほとんど変化がなかった,という報告から,メッキしたガラス面は放射熱を受けない(放射もしない)ことから,空気からの熱伝導は受けるにしても,そこそこ断熱性が良いのでしょう.
今,温度が下降中として,鏡材が冷えていくとき,メッキしてない裏(図では下)が冷えていて,メッキ面の温度が高い時, 裏のガラス材は,下と横のサイド部分が冷えて行きます.この時,裏面とサイド面との角は,横と下から冷えますから,余計温度が下がりやすいでしょう.(セルに接しているとしても,セルは軽合金製が普通なので,ガラスより冷えやすいでしょう.)すると,鏡の端っこの方がスルメ現象が大きいので,ソリも強くてターンダウン(鏡周付近の焦点距離が長い)になる.
って事ではないですかね?.ダウンすると鏡周ですから,面積としては広いので害が凄く大きいです.
本格的に確かめるには,メッキした主鏡を冷蔵庫に入れて,メッキ面とサイド,裏面の温度分布を時間変化で調べないとなりません.それをまた有限要素法で計算してみないとなりません.もう,そんな若さはありまへ~ん.
ただ,もし私が中村だったら,ブンゼン灯で主鏡を炙ってみた実験結果から「あぁ,それでは表も裏もサイドも全部メッキすれば問題解決だな.」って結論してしまいます.なんせ,面倒くさがり屋なもので.
それから,カルバー型というのは,研磨中の摩擦熱で鏡面の方が裏面より温度が高い状態で,スルメ現象が起きている状態のまま,フーコーテストなどしてOKして,研磨終了にしてただけでは?と想像します.それが,たまたま実際の観測中に起きるスルメ現象の逆,つまり偏球かターンアップになってて,お客さんにウケが良かったので,それを続けていたのでは? 中村の様に考察してたなら,何か論文を残したと思うので.
昔の鏡面研磨の本には,フーコテストではベニガラ(!)をガーゼで拭いてテストにかけるのが良く,水で洗ったりしない方が良い,って書いてあるのがあります.これは表面の温度が高いままにするって事なんでしょう.確かに,青板ガラスだと研磨面が冷えて行くにしたがって,少し面が変化しますね.
「M」様紹介の,中村要の資料は初めて読みました.興味深いですね.
理屈から言うと,凹面鏡が周囲の温度変化によって,熱膨張・収縮した場合,焦点距離は温度変化量×熱膨張率だけ変化するだけです(ちょっと計算してみましたけど).この時,相似形に変化するので鏡面精度等に影響はないはずです.だから,温度分布の不均一のために鏡が歪んでるんですね.この現象を「鏡のスルメ焼き現象(Burning dried squid phenomena on mirror)」,略してスルメ現象としましょう.
普通のガラスの熱膨張率って,確か9×10^-6くらいなので,仮に10゜も表裏の温度が違ってて(裏が低温,メッキ側が高温),スルメ現象が起きたとしても,ざっと見積もって焦点距離が1/10000変化するだけなので,1mの焦点距離で0.1mm伸びるだけ・・・.
スルメ現象だけではなくて,ソリ方が不均一なんですね.
中村の資料中,ブンゼン灯で裏を炙ったら大幅に面が歪んだ.表のメッキ面を炙っても,ほとんど変化がなかった,という報告から,メッキしたガラス面は放射熱を受けない(放射もしない)ことから,空気からの熱伝導は受けるにしても,そこそこ断熱性が良いのでしょう.
今,温度が下降中として,鏡材が冷えていくとき,メッキしてない裏(図では下)が冷えていて,メッキ面の温度が高い時, 裏のガラス材は,下と横のサイド部分が冷えて行きます.この時,裏面とサイド面との角は,横と下から冷えますから,余計温度が下がりやすいでしょう.(セルに接しているとしても,セルは軽合金製が普通なので,ガラスより冷えやすいでしょう.)すると,鏡の端っこの方がスルメ現象が大きいので,ソリも強くてターンダウン(鏡周付近の焦点距離が長い)になる.
って事ではないですかね?.ダウンすると鏡周ですから,面積としては広いので害が凄く大きいです.
本格的に確かめるには,メッキした主鏡を冷蔵庫に入れて,メッキ面とサイド,裏面の温度分布を時間変化で調べないとなりません.それをまた有限要素法で計算してみないとなりません.もう,そんな若さはありまへ~ん.
ただ,もし私が中村だったら,ブンゼン灯で主鏡を炙ってみた実験結果から「あぁ,それでは表も裏もサイドも全部メッキすれば問題解決だな.」って結論してしまいます.なんせ,面倒くさがり屋なもので.
それから,カルバー型というのは,研磨中の摩擦熱で鏡面の方が裏面より温度が高い状態で,スルメ現象が起きている状態のまま,フーコーテストなどしてOKして,研磨終了にしてただけでは?と想像します.それが,たまたま実際の観測中に起きるスルメ現象の逆,つまり偏球かターンアップになってて,お客さんにウケが良かったので,それを続けていたのでは? 中村の様に考察してたなら,何か論文を残したと思うので.
昔の鏡面研磨の本には,フーコテストではベニガラ(!)をガーゼで拭いてテストにかけるのが良く,水で洗ったりしない方が良い,って書いてあるのがあります.これは表面の温度が高いままにするって事なんでしょう.確かに,青板ガラスだと研磨面が冷えて行くにしたがって,少し面が変化しますね.
Re: 温度が下がるとミラーの焦点距離が短くなるの?
みなさま、こんにちわ。
木村さま、こんにちわ。
小川天文台にあったというのは、今は天体望遠鏡博物館に納められている46cmのことですねぇ。
Calverの著名なものは、以下のものでしょう。
https://wiki.telescopeclassics.com/imag ... atalog.pdf
木村さま、こんにちわ。
小川天文台にあったというのは、今は天体望遠鏡博物館に納められている46cmのことですねぇ。
Calverの著名なものは、以下のものでしょう。
https://wiki.telescopeclassics.com/imag ... atalog.pdf
Re: 温度が下がるとミラーの焦点距離が短くなるの?
青色さま,こんにちわです.
>小川天文台にあったというのは、今は天体望遠鏡博物館に納められている46cmのことですねぇ。
え? 小川(観光)天文台は,まだ元気なようですけど.
https://db.go-nagano.net/topics_detail6/id=7016
また,天体望遠鏡博物館にある似たような望遠鏡は,確か40cmのニュートン・カセグレンのフリップフロップって言うのかな?,副鏡切り替え式のがありますけど,小川村のは60cmだったと思いますが?.
カルバーのカタログなんて見たこともありませんでした.しかし,長い反射望遠鏡ですね.英語,不得意なので後でゆっくり読ませて頂きます.
>小川天文台にあったというのは、今は天体望遠鏡博物館に納められている46cmのことですねぇ。
え? 小川(観光)天文台は,まだ元気なようですけど.
https://db.go-nagano.net/topics_detail6/id=7016
また,天体望遠鏡博物館にある似たような望遠鏡は,確か40cmのニュートン・カセグレンのフリップフロップって言うのかな?,副鏡切り替え式のがありますけど,小川村のは60cmだったと思いますが?.
カルバーのカタログなんて見たこともありませんでした.しかし,長い反射望遠鏡ですね.英語,不得意なので後でゆっくり読ませて頂きます.
Re: 温度が下がるとミラーの焦点距離が短くなるの?
みなさま、こんにちわ。
木村さま、こんにちわ。
カルバー46cmについての先のコメントは、かなり端折っており誤解を与えたようなので、追記しておきますねぇ。
"小川天文台職員のカルバー型の話"からの私の連想は
小川天文台 ⇒ 坂井義人氏 ⇒ 坂井氏の御尊父 ⇒ 山本一清氏 ⇒ カルバー46cm反射
話されていたカルバー型というのは、山本一清氏のカルバー46cm反射式天体望遠鏡のことと想像します。
山本一清氏の没後、カルバー46cm反射は小川天文台の坂井氏の御尊父の元に一時期在り、1962年に富田学園に
移設されました。その後、富田学園より返却され、坂井氏が保管されていたようです。
坂井義人氏は小川天文台に関係しておられるので、小川天文台で一時期保管していたようです。
「名鏡「46cmカルバー反射鏡」の行方」の中、上板2丁目さまの記事参照。
参考にしている資料は年月が経っているので、実際にカルバー46cm反射は、現在、どこにあるのか。
ガラクマさま、どこにあるのでしょうか。
坂井義人、 山本一清博士と遺愛カルヴァー46センチ反射望遠鏡
https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/ ... ing_11.pdf
先の古スコ広場の記事も参考にしてください。
「名鏡「46cmカルバー反射鏡」の行方」
https://yumarin7.sakura.ne.jp/telbbsp/j ... getno12217
なお、小川天文台に設置されているのは、ご指摘のとおり60cm反射(7mドーム)です。
よろしくお願いします。
木村さま、こんにちわ。
カルバー46cmについての先のコメントは、かなり端折っており誤解を与えたようなので、追記しておきますねぇ。
"小川天文台職員のカルバー型の話"からの私の連想は
小川天文台 ⇒ 坂井義人氏 ⇒ 坂井氏の御尊父 ⇒ 山本一清氏 ⇒ カルバー46cm反射
話されていたカルバー型というのは、山本一清氏のカルバー46cm反射式天体望遠鏡のことと想像します。
山本一清氏の没後、カルバー46cm反射は小川天文台の坂井氏の御尊父の元に一時期在り、1962年に富田学園に
移設されました。その後、富田学園より返却され、坂井氏が保管されていたようです。
坂井義人氏は小川天文台に関係しておられるので、小川天文台で一時期保管していたようです。
「名鏡「46cmカルバー反射鏡」の行方」の中、上板2丁目さまの記事参照。
参考にしている資料は年月が経っているので、実際にカルバー46cm反射は、現在、どこにあるのか。
ガラクマさま、どこにあるのでしょうか。
坂井義人、 山本一清博士と遺愛カルヴァー46センチ反射望遠鏡
https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/ ... ing_11.pdf
先の古スコ広場の記事も参考にしてください。
「名鏡「46cmカルバー反射鏡」の行方」
https://yumarin7.sakura.ne.jp/telbbsp/j ... getno12217
なお、小川天文台に設置されているのは、ご指摘のとおり60cm反射(7mドーム)です。
よろしくお願いします。
Re: 温度が下がるとミラーの焦点距離が短くなるの?
青色さま
なるほど.
そう言う意味だったのですか,46cmって.
納得です.
しかし,カルバーさんは,どうして何も書き残さなかったんでしょうねぇ?.シュミットカメラのシュミットさんも,作り方は何も残さなかったそうだし,仕事場も人に見せなかったそうですが・・・・,まぁ,当時は特許権ってのが有っても,あんまり保証されてるモノではなかったのかな?
いや,この辺りの事は,何か新しい古文書みたいなのが発見されない限り,堂々巡りするだけの議論になるものです.私は,やっぱり光学機械は,工業製品であって芸術品とは考えないことにします.
なるほど.
そう言う意味だったのですか,46cmって.
納得です.
しかし,カルバーさんは,どうして何も書き残さなかったんでしょうねぇ?.シュミットカメラのシュミットさんも,作り方は何も残さなかったそうだし,仕事場も人に見せなかったそうですが・・・・,まぁ,当時は特許権ってのが有っても,あんまり保証されてるモノではなかったのかな?
いや,この辺りの事は,何か新しい古文書みたいなのが発見されない限り,堂々巡りするだけの議論になるものです.私は,やっぱり光学機械は,工業製品であって芸術品とは考えないことにします.