Re: 自作φ300mmCRC(コレクテッドリッチークレチアン)望遠鏡
Posted: 2024年4月07日(日) 14:46
凸双曲面鏡の検査方法についてちょっと書かせていただきます。
世間話/「光学専門書におけるリッチークレチアン式反射光学系の扱い」にて紹介いたしました「レンズ光学の泉」(渋谷眞人著2023年12月発行)のP72に、
凸双曲面鏡検査用として「ヒンドル鏡」が提案されています。
「ヒンドル鏡」と呼ばれる球面鏡治具を用いることによって凸双曲面鏡のヌルテストが可能となります。
その昔(1996年頃)「天文ガイドインタラクティブ」のタカハシ製ベーカーリッチークレチアン式アストロカメラのメーカーからのインタラクティブ記事中に、球面鏡を使って凸双曲面鏡を検査する技術を開発、量産化を可能にしたと有ります。
これは正に上述「ヒンドル鏡」のことだと考えられます。
残念ながらその後タカハシはベーカーリッチークレチアン方式からは撤退してしまったのでヒンドル鏡についての説明がカタログ等に書かれることは無かったようです。
また吉田正太郎先生の本にはオフナー法と称してヌルコレクターを用いて凸双曲面を検査することが確立されていてそれはパーキンエルマー社(あのハッブル望遠鏡製造担当メーカー)で開発された!とあります。
話は飛びますが、木辺氏、星野氏の本にはカセグレン用の凸双曲面鏡は反対形状の凹双曲面治具を一旦製作してニュートンフリンジテストを行うと記述されていますが、
近年、西村製作所からの学会発表内容としてニュートンフリンジテストでは高精度の凸双曲面鏡の製造は不可能で有り、大型平面鏡を使用した望遠鏡全体のオートコリメーションテスト(ダブルパスヌルテスト)を行うことのみが高精度の凸双曲面鏡を製造可能とする唯一の方法であると発表されています。
もう一点紹介させていただくと、岡山の某反射鏡製作メーカーのHPにはカセグレン式は実星像テスト(シングルパスヌルテスト)のみが良い物を製造出来る検査方法であると書かれています。これは平面鏡が調達出来ない場合であって平面鏡が調達できれば上述西村製作所の発表内容に同意していると考えて良いと思います。
以上について私流に考えると、テストの為に専用治具やコレクターレンズを製作してテストすることが原理的に正しいとしてもその治具等の製作精度や、セッティング精度等でコストも技術も必要で一つ間違えるとハッブルのような失敗の可能性も有り、実際には出来るだけ実使用に近い状態で最低でも平面鏡のみを準備することで可能なテスト方法を採るのが最良なのではと考えられ、ダブルパスヌルテストを行って製作するのが良いのではないかと考えています。いかがでしょうか?
以上が結論です。
もう一点だけ紹介させていただくと、凸面鏡は裏面(平面)反射によって凸レンズ+平面裏面鏡状態、すなわち疑似凹面鏡として検査することが可能で有り、1970年代頃に発表されています。
この場合、硝子が透明であること、屈折率が公表されていて均質屈折率が保証されていること等が必要条件であって材質的には溶融石英等が適用可能と考えます。
しかし実際の望遠鏡状態とは異なる光学系ですからやはり最終テストには不向きであって初期テストとして適しているのではないかと考えています。
世間話/「光学専門書におけるリッチークレチアン式反射光学系の扱い」にて紹介いたしました「レンズ光学の泉」(渋谷眞人著2023年12月発行)のP72に、
凸双曲面鏡検査用として「ヒンドル鏡」が提案されています。
「ヒンドル鏡」と呼ばれる球面鏡治具を用いることによって凸双曲面鏡のヌルテストが可能となります。
その昔(1996年頃)「天文ガイドインタラクティブ」のタカハシ製ベーカーリッチークレチアン式アストロカメラのメーカーからのインタラクティブ記事中に、球面鏡を使って凸双曲面鏡を検査する技術を開発、量産化を可能にしたと有ります。
これは正に上述「ヒンドル鏡」のことだと考えられます。
残念ながらその後タカハシはベーカーリッチークレチアン方式からは撤退してしまったのでヒンドル鏡についての説明がカタログ等に書かれることは無かったようです。
また吉田正太郎先生の本にはオフナー法と称してヌルコレクターを用いて凸双曲面を検査することが確立されていてそれはパーキンエルマー社(あのハッブル望遠鏡製造担当メーカー)で開発された!とあります。
話は飛びますが、木辺氏、星野氏の本にはカセグレン用の凸双曲面鏡は反対形状の凹双曲面治具を一旦製作してニュートンフリンジテストを行うと記述されていますが、
近年、西村製作所からの学会発表内容としてニュートンフリンジテストでは高精度の凸双曲面鏡の製造は不可能で有り、大型平面鏡を使用した望遠鏡全体のオートコリメーションテスト(ダブルパスヌルテスト)を行うことのみが高精度の凸双曲面鏡を製造可能とする唯一の方法であると発表されています。
もう一点紹介させていただくと、岡山の某反射鏡製作メーカーのHPにはカセグレン式は実星像テスト(シングルパスヌルテスト)のみが良い物を製造出来る検査方法であると書かれています。これは平面鏡が調達出来ない場合であって平面鏡が調達できれば上述西村製作所の発表内容に同意していると考えて良いと思います。
以上について私流に考えると、テストの為に専用治具やコレクターレンズを製作してテストすることが原理的に正しいとしてもその治具等の製作精度や、セッティング精度等でコストも技術も必要で一つ間違えるとハッブルのような失敗の可能性も有り、実際には出来るだけ実使用に近い状態で最低でも平面鏡のみを準備することで可能なテスト方法を採るのが最良なのではと考えられ、ダブルパスヌルテストを行って製作するのが良いのではないかと考えています。いかがでしょうか?
以上が結論です。
もう一点だけ紹介させていただくと、凸面鏡は裏面(平面)反射によって凸レンズ+平面裏面鏡状態、すなわち疑似凹面鏡として検査することが可能で有り、1970年代頃に発表されています。
この場合、硝子が透明であること、屈折率が公表されていて均質屈折率が保証されていること等が必要条件であって材質的には溶融石英等が適用可能と考えます。
しかし実際の望遠鏡状態とは異なる光学系ですからやはり最終テストには不向きであって初期テストとして適しているのではないかと考えています。