こんにちは、Abbebeです。
今回は自作φ300mmCRC(コレクテッドリッチークレチアン)望遠鏡について紹介(自慢)させていただきたいと思います。
2018年に構想スタート、2020年に本体鏡筒が一旦完成、現物調整を始めたところで、当初は遠征移動使用を考えていたのを現物重量と年齢的に移動使用を断念、自宅使用にコンセプト変更し、2022年夏に自作プラネタリーエクステンダー(2.0~2.5倍拡大惑星撮影用)、自作レデューサー(0.69倍DSO等撮影用)、加えて自宅増設木製ベランダ、部屋~ベランダ移動木製レールシステム等、一式なんとか完成して稼働スタートしており、現在絶賛稼働中です!
惑星拡大撮影用プラネタリーエクステンダーについてはこの会議室の別スレッドにて既に紹介済です。是非御覧下さい!
ここでは本体鏡筒について紹介させていただきます。
自作φ300mmCRC(コレクテッドリッチークレチアン)望遠鏡本体鏡筒の光学仕様ですが、
φ300mm合成f2,850mm1:9.5、
双曲面主鏡、双曲面副鏡、主鏡バッフル内部に配置された2群2枚構成(内1枚はED硝子(FCD1))のコレクターレンズ群から成るいわゆる準リッチークレチアン式光学系の反射望遠鏡で、私はコレクテッドリッチークレチアン式(CRC)と呼んでいます!
コレクターレンズ群を取り外してミラー2枚のみにした状態では望遠鏡として成立しない光学系であり、私のオリジナル光学設計による世界に一台しか存在しない光学系ですね!
まずは鏡筒構造についてですが、アルミ板材で構成された4角形の主鏡ホルダー部分にシャフトホルダーSSF型で取り付けられた4本のφ25mmL1000mmアルミパイプが前方に張り出しており、トップリング等を構成すること無くセパレートカラー(Dカットタイプ)によって4本スパイダー~副鏡セル部がアルミパイプ前側先端部に取り付けられており、全てアルミ製で、汎用部品はモノタロウ製、汎用では無い部品はフリーソフトJw_cadにて図面作成し、金属加工専門外注業者に依頼しました。構成的には実は田口武夫氏の望遠鏡の鏡筒構成をかなり参考にさせていただきました。というよりパクらさせていただきました! ということでパイプ4本による裸の構造なのですがベランダ使用ではやはり光害も多く通常は黒布によるシュラウドを巻き付けて使用しています。
電視ファインダー(以前この会議室で紹介済)とSvBONY製φ60mmf240mmガイドスコープを同架した状態(重量≒30kg)をセレストロンCGX赤道儀に乗せています。ちょっと重量オーバーですね。
光学系の詳細については次回ということで。
自作φ300mmCRC(コレクテッドリッチークレチアン)望遠鏡
Re: 自作φ300mmCRC(コレクテッドリッチークレチアン)望遠鏡
自作φ300mmCRC(コレクテッドリッチークレチアン)望遠鏡の光学系の詳細について紹介したかったのですが、その前に少々リッチークレチアン式光学系等についての説明させていただきます。
私の自作φ300mmCRC(コレクテッドリッチークレチアン)望遠鏡の光学系の詳細については次回とさせていただきたいと思います。
1921年(103年前)に反射鏡研磨技術者のリッチー氏と大学教授クレチアン氏によって発明された光学系であり、ガウス光学(近軸理論)的にはカセグレン式(1673年発明)と同一であって凹面主鏡と凸面副鏡の2枚の反射鏡から成る反射望遠鏡光学系です。
異なるのは反射面2面の非球面形状のみなのですが、収差補正状態は大きく異なっていて、カセグレン式では球面収差のみの補正で、コマ収差は補正出来ないのに対してリッチークレチアン式では球面収差とコマ収差の2収差が補正されるいわゆるアプラナート補正を可能とした光学系です。
文章で書くとこれだけのことなのですが、これだけのことになんと1673年から1921年まで248年かかった訳です。
2枚玉分離型フランホーフェルタイプのアクロマートレンズは球面収差、コマ収差の2収差補正のアプラナート補正が出来ているので反射式はこのリッチークレチアン式でやっと屈折式に追いついたことになる訳ですね。
実はその30年後の1951年に、やはりガウス光学的にはカセグレン式と同一のドールカーカム式光学系が発明され、ドールカーカム式は副鏡が球面ということもあって製造し易さが優れているということで結果的に性能(中心性能に限るが)も優秀に出来易いということで現在アマチュア用レベルの中型反射望遠鏡はドールカーカム式の方が主流になっているようです。
ドールカーカム式はコマ収差は補正されないのですがその後に主鏡バッフル内にコレクターレンズを追加することでコマ収差を実用レベルで打ち消す方式が発明されており、これはコレクテッドドールカーカム式と呼ばれますが、メーカー(海外ですが)によってはこの方式をリッチークレチアン補正式、或いは、リッチークレチアン補正式ドールカーカム式?とか訳が解らなくなるような呼び方をする例も有るようで、混乱を招く状況となっています。
実は私のコレクテッドリッチークレチアンについて、ドールカーカム式にバッフル内補正レンズを加えた物ですか?と問われたことも有るのですが、ズバリ異なるものです!
私のコレクテッドリッチークレチアンは、リッチークレチアン式(球面収差とコマ収差が補正されている)にバッフル内補正レンズ(2枚玉)を加えて更に非点収差と像面湾曲を補正した光学系ということになります。
この方式は一般的には準リッチークレチアン式と呼ばれているのですがリッチークレチアンに何かの要素を加えて改善した物を全て準リッチークレチアン式と呼ぶようで適用範囲が広すぎるように思えることもあり、私は敢えてコレクテッドリッチークレチアン式と呼んでいます。
以上をまとめてみます!
方式 凹主鏡 凸副鏡 収差補正状態
カセグレン式 放物面 双曲面 球面収差補正 コマ収差は発生
リッチークレチアン式 双曲面 双曲面 球面収差補正 コマ収差補正
ドールカーカム式 楕円面 球面 球面収差補正 コマ収差はカセグレン式の4倍程度発生
CRC式 リッチークレチアン式 + コレクターレンズ 球面収差、コマ収差が補正され、
加えて非点収差、像面湾曲が実用レベルで補正される
CDK式 ドールカーカム式 + コレクターレンズ 球面収差が補正され、
加えてコマ収差、非点収差、像面湾が実用レベルで補正される
リッチークレチアン補正式ドールカーカム方式とかと呼ばれることも有る。
なお、
リッチークレチアン式の主鏡及び副鏡形状の双曲面ですが、学術的な解析的設計によると正確な形状は双曲面に更に高次の非球面係数を加えた複雑な形状の非球面となるのですが、3次収差の範囲では円錐定数のみで表すことが可能な双曲面でOKということで、アマチュア用中型望遠鏡レベルでは高次係数部分の形状差は製造誤差レベルとなるようです。ということで私の設計では円錐定数のみで表せる双曲面としています。
私の自作φ300mmCRC(コレクテッドリッチークレチアン)望遠鏡の光学系の詳細については次回とさせていただきたいと思います。
1921年(103年前)に反射鏡研磨技術者のリッチー氏と大学教授クレチアン氏によって発明された光学系であり、ガウス光学(近軸理論)的にはカセグレン式(1673年発明)と同一であって凹面主鏡と凸面副鏡の2枚の反射鏡から成る反射望遠鏡光学系です。
異なるのは反射面2面の非球面形状のみなのですが、収差補正状態は大きく異なっていて、カセグレン式では球面収差のみの補正で、コマ収差は補正出来ないのに対してリッチークレチアン式では球面収差とコマ収差の2収差が補正されるいわゆるアプラナート補正を可能とした光学系です。
文章で書くとこれだけのことなのですが、これだけのことになんと1673年から1921年まで248年かかった訳です。
2枚玉分離型フランホーフェルタイプのアクロマートレンズは球面収差、コマ収差の2収差補正のアプラナート補正が出来ているので反射式はこのリッチークレチアン式でやっと屈折式に追いついたことになる訳ですね。
実はその30年後の1951年に、やはりガウス光学的にはカセグレン式と同一のドールカーカム式光学系が発明され、ドールカーカム式は副鏡が球面ということもあって製造し易さが優れているということで結果的に性能(中心性能に限るが)も優秀に出来易いということで現在アマチュア用レベルの中型反射望遠鏡はドールカーカム式の方が主流になっているようです。
ドールカーカム式はコマ収差は補正されないのですがその後に主鏡バッフル内にコレクターレンズを追加することでコマ収差を実用レベルで打ち消す方式が発明されており、これはコレクテッドドールカーカム式と呼ばれますが、メーカー(海外ですが)によってはこの方式をリッチークレチアン補正式、或いは、リッチークレチアン補正式ドールカーカム式?とか訳が解らなくなるような呼び方をする例も有るようで、混乱を招く状況となっています。
実は私のコレクテッドリッチークレチアンについて、ドールカーカム式にバッフル内補正レンズを加えた物ですか?と問われたことも有るのですが、ズバリ異なるものです!
私のコレクテッドリッチークレチアンは、リッチークレチアン式(球面収差とコマ収差が補正されている)にバッフル内補正レンズ(2枚玉)を加えて更に非点収差と像面湾曲を補正した光学系ということになります。
この方式は一般的には準リッチークレチアン式と呼ばれているのですがリッチークレチアンに何かの要素を加えて改善した物を全て準リッチークレチアン式と呼ぶようで適用範囲が広すぎるように思えることもあり、私は敢えてコレクテッドリッチークレチアン式と呼んでいます。
以上をまとめてみます!
方式 凹主鏡 凸副鏡 収差補正状態
カセグレン式 放物面 双曲面 球面収差補正 コマ収差は発生
リッチークレチアン式 双曲面 双曲面 球面収差補正 コマ収差補正
ドールカーカム式 楕円面 球面 球面収差補正 コマ収差はカセグレン式の4倍程度発生
CRC式 リッチークレチアン式 + コレクターレンズ 球面収差、コマ収差が補正され、
加えて非点収差、像面湾曲が実用レベルで補正される
CDK式 ドールカーカム式 + コレクターレンズ 球面収差が補正され、
加えてコマ収差、非点収差、像面湾が実用レベルで補正される
リッチークレチアン補正式ドールカーカム方式とかと呼ばれることも有る。
なお、
リッチークレチアン式の主鏡及び副鏡形状の双曲面ですが、学術的な解析的設計によると正確な形状は双曲面に更に高次の非球面係数を加えた複雑な形状の非球面となるのですが、3次収差の範囲では円錐定数のみで表すことが可能な双曲面でOKということで、アマチュア用中型望遠鏡レベルでは高次係数部分の形状差は製造誤差レベルとなるようです。ということで私の設計では円錐定数のみで表せる双曲面としています。
Re: 自作φ300mmCRC(コレクテッドリッチークレチアン)望遠鏡
今回は自作φ300mmCRC(コレクテッドリッチークレチアン)望遠鏡の光学系エレメントの詳細について紹介させていただきます。
主鏡、副鏡
この会議室のf3mirrorさんスレッドでも既に紹介させていただいておりますがf3mirror製です。
主鏡:双曲面(コーニック係数=-1.046)でS/N=202001001ということで
f3mirrorさんのHPにRFTデータ有りです。
硝材:SUPREMAX33
副鏡:双曲面
硝材:溶融石英
実はまだf3mirrorとして看板を上げられる前に製作を受けていただいたもので、納品後に看板を上げられ、遡ってf3mirror S/N1号となったミラーです。
ダブルパスヌルテストによって最終仕上げをしていただいたのですが、実は当初ヌルテストは難しいかなと思っていたのですがf3mirrorさんの素晴らしいアイデアによってRFTによるヌルテストが可能になり、満足出来る結果を得ることが出来ました。
コレクターレンズ
2群2枚から成り、内1枚はED硝子(FCD1)です。
玉図面を製作し、長野県のレンズ玉試作専門業者に製作依頼したものです。
この業者は各図面寸法の測定値に加えてフィゾー干渉計による面形状精度データ付きで納品してもらえます。(もちろん硝材メーカーからの硝材現物ロットのデータも付いて来ます)
実は光学設計時のゴーストシミュレーション結果にて4面中2面はシングルコート(マゼンタ)を希望(合理化の為)しようとしたのですが、2面マルチ(緑)をするのであれば4面共マルチ仕様の方が安くなるということで結局4面(全面)マルチ(緑)となりました。設備の都合等でそういう状況が増えている傾向が有るようです。もちろん波長域毎に反射率を指定して依頼する訳です。
コバ面の黒塗りも美しく出来ており、この状態で外径公差もクリヤ出来ており、コレクターレンズについても満足出来る仕上がりです。
コレクターレンズはセルに収められて主鏡の中央穴内に配置されます。主鏡バッフルを取り外した状態だとコレクターレンズが存在しているのが分かります。
では続きは次回ということで。
主鏡、副鏡
この会議室のf3mirrorさんスレッドでも既に紹介させていただいておりますがf3mirror製です。
主鏡:双曲面(コーニック係数=-1.046)でS/N=202001001ということで
f3mirrorさんのHPにRFTデータ有りです。
硝材:SUPREMAX33
副鏡:双曲面
硝材:溶融石英
実はまだf3mirrorとして看板を上げられる前に製作を受けていただいたもので、納品後に看板を上げられ、遡ってf3mirror S/N1号となったミラーです。
ダブルパスヌルテストによって最終仕上げをしていただいたのですが、実は当初ヌルテストは難しいかなと思っていたのですがf3mirrorさんの素晴らしいアイデアによってRFTによるヌルテストが可能になり、満足出来る結果を得ることが出来ました。
コレクターレンズ
2群2枚から成り、内1枚はED硝子(FCD1)です。
玉図面を製作し、長野県のレンズ玉試作専門業者に製作依頼したものです。
この業者は各図面寸法の測定値に加えてフィゾー干渉計による面形状精度データ付きで納品してもらえます。(もちろん硝材メーカーからの硝材現物ロットのデータも付いて来ます)
実は光学設計時のゴーストシミュレーション結果にて4面中2面はシングルコート(マゼンタ)を希望(合理化の為)しようとしたのですが、2面マルチ(緑)をするのであれば4面共マルチ仕様の方が安くなるということで結局4面(全面)マルチ(緑)となりました。設備の都合等でそういう状況が増えている傾向が有るようです。もちろん波長域毎に反射率を指定して依頼する訳です。
コバ面の黒塗りも美しく出来ており、この状態で外径公差もクリヤ出来ており、コレクターレンズについても満足出来る仕上がりです。
コレクターレンズはセルに収められて主鏡の中央穴内に配置されます。主鏡バッフルを取り外した状態だとコレクターレンズが存在しているのが分かります。
では続きは次回ということで。
Re: 自作φ300mmCRC(コレクテッドリッチークレチアン)望遠鏡
次に接眼筒ですが台湾製のV-POWERⅡSです。鏡筒構造の拘りとしては、接眼筒~コレクターレンズセル~主鏡バッフルは機械加工精度で連結されて一体物化されていて、主鏡セルとは別々にチルトとスラスト方向の調整が可能になっており、チルト調整もスラスト方向調整の為の移動もラジアル方向の位置決めがされた状態で行われます。ボルト外径とバカ穴内径では位置決めにはならないので部材にてスキマバメ状態にした位置決めを設けている訳です。
この接眼筒一体物部分のチルトによって副鏡との光軸を完全にするところから調整が始まります。
写真は自作プラネタリーエクステンダーレンズ~大気分散補正プリズムZWO ADC~L40mmT2延長筒~C-MOSカメラZWO ASI662MC 取付状態。
及び、その状態、拡大率2.5倍(f7125mmF24)による木星です。
この接眼筒一体物部分のチルトによって副鏡との光軸を完全にするところから調整が始まります。
写真は自作プラネタリーエクステンダーレンズ~大気分散補正プリズムZWO ADC~L40mmT2延長筒~C-MOSカメラZWO ASI662MC 取付状態。
及び、その状態、拡大率2.5倍(f7125mmF24)による木星です。
Re: 自作φ300mmCRC(コレクテッドリッチークレチアン)望遠鏡
φ300mmCRC望遠鏡の本体の光学仕様は、
φ300mmf2,850mm1:9.5 であり、
DSO撮影用としては少々暗く、またZWO ASI294MC(フォーサーズサイズ)で撮影するとなるとやや長焦点過ぎるので、専用のレデューサーを自作することにしました!
仕様:×0.69 ZWO ASI294MC相当C-MOSカメラ用(φ300mmCRC望遠鏡専用設計)
構成:3群4枚(ランタン系新種硝子にて構成)
自作の方法、手配先等はプラネタリーエクステンダーと同様です。
レデューサーはアンダーサンプリング状態での使用となる為、中心性能よりも画面全体の画質均一性を重視した望遠レンズ的な収差補正状態としています。
φ300mmCRC望遠鏡に使用した状態で、
f1,970mm1:6.6 ZWO ASI294MCにて画角:33‘×23’ 対角40‘
となります。
望遠レンズ的収差補正ということなので、設計値のMTF曲線、スポットダイヤグラム等を示します。
以上、自作φ300mmCRC望遠鏡についての紹介(自慢)はひと通り終了とさせていただきます。
皆様からの御質問、御指摘等、是非いただければと思います。
どうも有難う御座いました。
φ300mmf2,850mm1:9.5 であり、
DSO撮影用としては少々暗く、またZWO ASI294MC(フォーサーズサイズ)で撮影するとなるとやや長焦点過ぎるので、専用のレデューサーを自作することにしました!
仕様:×0.69 ZWO ASI294MC相当C-MOSカメラ用(φ300mmCRC望遠鏡専用設計)
構成:3群4枚(ランタン系新種硝子にて構成)
自作の方法、手配先等はプラネタリーエクステンダーと同様です。
レデューサーはアンダーサンプリング状態での使用となる為、中心性能よりも画面全体の画質均一性を重視した望遠レンズ的な収差補正状態としています。
φ300mmCRC望遠鏡に使用した状態で、
f1,970mm1:6.6 ZWO ASI294MCにて画角:33‘×23’ 対角40‘
となります。
望遠レンズ的収差補正ということなので、設計値のMTF曲線、スポットダイヤグラム等を示します。
以上、自作φ300mmCRC望遠鏡についての紹介(自慢)はひと通り終了とさせていただきます。
皆様からの御質問、御指摘等、是非いただければと思います。
どうも有難う御座いました。
Re: 自作φ300mmCRC(コレクテッドリッチークレチアン)望遠鏡
Abbebeさん こんにちは
ご紹介、ありがとうございます。 よいですね!!!
いろいろ質問があります。そろりそろりと参ります。
さしつかえなければ、ご紹介いただきたいところですが...(企業秘密かもしれませんしね。)
※f3mirrorさんが蒸着設備をもっているのと、溶融石英(optical grade?)製というのが、重要なヒントですね。
※※一瞬RFT:Rich(Richest) Field Telescope??と混乱しましたが、 Remote Foucault Testerでしたね。
※まだまだつづきます。
ご紹介、ありがとうございます。 よいですね!!!
いろいろ質問があります。そろりそろりと参ります。
「望遠鏡として成立しない」というのは...球面収差が残ってしまう、ということでしょうか?Abbebe さんが書きました: コレクターレンズ群を取り外してミラー2枚のみにした状態では望遠鏡として成立しない光学系であり、私のオリジナル光学設計による世界に一台しか存在しない光学系ですね!
※ということは、スパイダー~副鏡セル部が「構造耐力上主要な部分」になっている...。Abbebe さんが書きました: トップリング等を構成すること無くセパレートカラー(Dカットタイプ)によって4本スパイダー~副鏡セル部がアルミパイプ前側先端部に取り付けられており...
※某社がシュミットカセグレンの「改良版」を「〜リッチークレチアン」と宣伝したのが訴訟沙汰になりましたね。Abbebe さんが書きました: リッチークレチアン補正式ドールカーカム式?とか訳が解らなくなるような呼び方をする例も有るようで、混乱...
(副鏡のみのテストでしょうか?) 興味津々!Abbebe さんが書きました: ダブルパスヌルテストによって最終仕上げをしていただいたのですが、実は当初ヌルテストは難しいかなと思っていたのですがf3mirrorさんの素晴らしいアイデアによってRFTによるヌルテストが可能になり、満足出来る結果を得ることが出来ました。
さしつかえなければ、ご紹介いただきたいところですが...(企業秘密かもしれませんしね。)
※f3mirrorさんが蒸着設備をもっているのと、溶融石英(optical grade?)製というのが、重要なヒントですね。
※※一瞬RFT:Rich(Richest) Field Telescope??と混乱しましたが、 Remote Foucault Testerでしたね。
※まだまだつづきます。
Re: 自作φ300mmCRC(コレクテッドリッチークレチアン)望遠鏡
こんにちは、御質問いただきましてどうも有難う御座います!
お答えさせていただきます。
1. 望遠鏡として成立していない・・・球面収差が残ってしまう?
そのとおりですね。ミラーのみ状態にすると球面収差が発生しています。
2. トップリング無い・・・副鏡セル部が構造耐力上重要・・・
すみません。私が言いたかったのは通常トップリングが存在しているとトップリングに対して4本のスパイダーの個々長
さを調整して副鏡のラジアル位置を調整出来るのですがトップリングという剛体が存在せずにアルミパイプにスパイダ
ーが直接取り付けられているので調整しようとしても剛性の足りないアルミパイプが反るだけであって、この構造は副
鏡ラジアル位置調整が不可能な構造であるということが言いたかったのですがそれを抜かしてしまっていました。
これについては接眼筒一体ユニットをチルト調整することで副鏡スパイダー調整同等のことが出来ているようです。
3. リッチークレチアン補正・・・
そういうことだと私も思います。リッチークレチアン式ではない方式なのにアプラナート補正(球面収差に加えてコマ
収差も補正)をしたということでリッチークレチアン補正・・・と呼ぶのを確かに見掛けますね。
4. ダブルパスヌルテスト・・・
望遠鏡全体(球面収差ゼロ前提)で大型平面鏡を使ってナイフエッジテストをするのがダブルパスヌルテストですが、
1. に関連するのですが、この望遠鏡はコレクターレンズまで入れないと球面収差ゼロでは無いので、コレクターレンズ
が存在しないf3mirrorのところでは球面収差発生状態のテストをする必要が有り、私はダブルパスフーコーゾーンテスト
をお願いしようとしたのですが、その球面収差発生を保証する為には主鏡副鏡間隔を必要量だけ敢えて変えてその条件
で球面収差ゼロとすることで本来の主鏡副鏡間隔時の球面収差が必要な発生量になることが保証出来る!というアイデ
アをf3mirrorさんから御提案いただき、この方法で最終整形していただいたということです!
なお、副鏡硝材:溶融石英 は実は副鏡裏面テストの為であり、実は副鏡単独テスト(あくまで初期のテストですが)
は裏面テストによって凸双曲面を凹双曲面の影として捉えて整形するということを実施しているということです。
以上、よろしくお願いします。
お答えさせていただきます。
1. 望遠鏡として成立していない・・・球面収差が残ってしまう?
そのとおりですね。ミラーのみ状態にすると球面収差が発生しています。
2. トップリング無い・・・副鏡セル部が構造耐力上重要・・・
すみません。私が言いたかったのは通常トップリングが存在しているとトップリングに対して4本のスパイダーの個々長
さを調整して副鏡のラジアル位置を調整出来るのですがトップリングという剛体が存在せずにアルミパイプにスパイダ
ーが直接取り付けられているので調整しようとしても剛性の足りないアルミパイプが反るだけであって、この構造は副
鏡ラジアル位置調整が不可能な構造であるということが言いたかったのですがそれを抜かしてしまっていました。
これについては接眼筒一体ユニットをチルト調整することで副鏡スパイダー調整同等のことが出来ているようです。
3. リッチークレチアン補正・・・
そういうことだと私も思います。リッチークレチアン式ではない方式なのにアプラナート補正(球面収差に加えてコマ
収差も補正)をしたということでリッチークレチアン補正・・・と呼ぶのを確かに見掛けますね。
4. ダブルパスヌルテスト・・・
望遠鏡全体(球面収差ゼロ前提)で大型平面鏡を使ってナイフエッジテストをするのがダブルパスヌルテストですが、
1. に関連するのですが、この望遠鏡はコレクターレンズまで入れないと球面収差ゼロでは無いので、コレクターレンズ
が存在しないf3mirrorのところでは球面収差発生状態のテストをする必要が有り、私はダブルパスフーコーゾーンテスト
をお願いしようとしたのですが、その球面収差発生を保証する為には主鏡副鏡間隔を必要量だけ敢えて変えてその条件
で球面収差ゼロとすることで本来の主鏡副鏡間隔時の球面収差が必要な発生量になることが保証出来る!というアイデ
アをf3mirrorさんから御提案いただき、この方法で最終整形していただいたということです!
なお、副鏡硝材:溶融石英 は実は副鏡裏面テストの為であり、実は副鏡単独テスト(あくまで初期のテストですが)
は裏面テストによって凸双曲面を凹双曲面の影として捉えて整形するということを実施しているということです。
以上、よろしくお願いします。
Re: 自作φ300mmCRC(コレクテッドリッチークレチアン)望遠鏡
Abbebeさん こんにちは
ご回答、ありがとうございます。
つまりトラス構造でなく、ラーメン構造(というらしい)採用の道筋ですね。
私の「かんぐり」は、「スパイダー~副鏡セル部」の剛性を確保したい、なにかの理由が先にあって、
それならトップリングは省略できる、という判断となった、というものでしたが...?
※副鏡裏面を鏡面とした「凸双曲面のダブルパスヌルテスト」かな、と考えていました。
※※ということは、f3mirrorさんでは30cm望遠鏡の「ダブルパスヌルテスト」が出来るのですね。スゴイ!
(あたらしい話題です)
運用時の温度変化による主鏡副鏡間隔の変動は問題になりませんか?
※まだつづきます。
ご回答、ありがとうございます。
なるほど。 そこで、大いにかたっていただきたいのは(:-)トップリングを使わない「設計思想」についてです。Abbebe さんが書きました: トップリングが存在しているとトップリングに対して4本のスパイダーの個々長さを調整して副鏡のラジアル位置を調整出来る...
が... 接眼筒一体ユニットをチルト調整することで同等のことが出来ている
つまりトラス構造でなく、ラーメン構造(というらしい)採用の道筋ですね。
私の「かんぐり」は、「スパイダー~副鏡セル部」の剛性を確保したい、なにかの理由が先にあって、
それならトップリングは省略できる、という判断となった、というものでしたが...?
なるほどなるほど。Abbebe さんが書きました: 主鏡副鏡間隔を必要量だけ敢えて変えてその条件で球面収差ゼロとすることで本来の主鏡副鏡間隔時の球面収差が必要な発生量になることが保証出来る!というアイデア...で最終整形していただいた
副鏡硝材:溶融石英は...副鏡裏面テストの為で ...凸双曲面を凹双曲面の影として捉えて整形...している
※副鏡裏面を鏡面とした「凸双曲面のダブルパスヌルテスト」かな、と考えていました。
※※ということは、f3mirrorさんでは30cm望遠鏡の「ダブルパスヌルテスト」が出来るのですね。スゴイ!
(あたらしい話題です)
運用時の温度変化による主鏡副鏡間隔の変動は問題になりませんか?
※まだつづきます。
Re: 自作φ300mmCRC(コレクテッドリッチークレチアン)望遠鏡
1. スパイダー副鏡セル部・・・
大変申し訳無いですが、言われていることが良く解らないです。
カセタイプでトップリングの存在しない構造の望遠鏡は他にも存在しているように
思います。
2. 副鏡裏面を反射面とした凸双曲面のダブルパスヌルテスト・・・
すみませんがこちらも良く解らないですが、
副鏡単体で球面収差ゼロとなる状態は裏面反射を使っても存在しないのでヌルテストは
出来ないと思います。
裏面反射で凸双曲面を凹双曲面の影にすることは出来るのでフーコーゾーンテストは
可能になります。初期の副鏡単体の整形はこのテスト方法で実施する訳です。
昔の方法で凹面テスターを造って凸鏡をフリンジテスト実施というのが有りますが、
この方法では上手く行かないということが常説になりつつあるようです。
全体のテストですが、
私は、カセタイプは、望遠鏡全体でダブルパスヌルテストを実施して整形しないと
性能保証は(ミラー製造業者で)出来ないと考えています。
(平面鏡が無い場合は実星像によるシングルパスヌルでも良いですがあまり現実的では
無いですね。岡山の某業者はこの方法で保証しているようですが)
なお、この望遠鏡は、コレクターを取り外した状態では設計的に球面収差が
有るのですが、
球面収差ゼロとなる面間隔条件を見つけてその状態にシフトした状態の
テストとすることで、
ダブルパスヌルテストを実施~シフト条件での性能保証をしてもらうことが
出来たということです。
それではコレクターも付けた本当の最終形態ではどうなのかかというと、
私が実星像を見て(=シングルパスヌルテスト)
面間隔調整を実施して最終望遠鏡状態を完成させたということです。
(まだまだ調整中で、未完成だと言い続けていますが)
3. 温度によるピント変化問題
これは有るものだと思っているので都度ピント調整を行なえば良いと思っています。
以上です。いかがでしょうか。
大変申し訳無いですが、言われていることが良く解らないです。
カセタイプでトップリングの存在しない構造の望遠鏡は他にも存在しているように
思います。
2. 副鏡裏面を反射面とした凸双曲面のダブルパスヌルテスト・・・
すみませんがこちらも良く解らないですが、
副鏡単体で球面収差ゼロとなる状態は裏面反射を使っても存在しないのでヌルテストは
出来ないと思います。
裏面反射で凸双曲面を凹双曲面の影にすることは出来るのでフーコーゾーンテストは
可能になります。初期の副鏡単体の整形はこのテスト方法で実施する訳です。
昔の方法で凹面テスターを造って凸鏡をフリンジテスト実施というのが有りますが、
この方法では上手く行かないということが常説になりつつあるようです。
全体のテストですが、
私は、カセタイプは、望遠鏡全体でダブルパスヌルテストを実施して整形しないと
性能保証は(ミラー製造業者で)出来ないと考えています。
(平面鏡が無い場合は実星像によるシングルパスヌルでも良いですがあまり現実的では
無いですね。岡山の某業者はこの方法で保証しているようですが)
なお、この望遠鏡は、コレクターを取り外した状態では設計的に球面収差が
有るのですが、
球面収差ゼロとなる面間隔条件を見つけてその状態にシフトした状態の
テストとすることで、
ダブルパスヌルテストを実施~シフト条件での性能保証をしてもらうことが
出来たということです。
それではコレクターも付けた本当の最終形態ではどうなのかかというと、
私が実星像を見て(=シングルパスヌルテスト)
面間隔調整を実施して最終望遠鏡状態を完成させたということです。
(まだまだ調整中で、未完成だと言い続けていますが)
3. 温度によるピント変化問題
これは有るものだと思っているので都度ピント調整を行なえば良いと思っています。
以上です。いかがでしょうか。
Re: 自作φ300mmCRC(コレクテッドリッチークレチアン)望遠鏡
Abbebeさん こんにちは
丁寧な回答、ありがとうございます。
「カセタイプでトップリングの存在しない構造の望遠鏡」としては
Dilworthのもの(https://www.pinterest.com/pin/694187730042102718/)
などは知っていますが少ないと思います。※通常の円筒鏡筒は別として。
「ロンキーテストの教科書ないですか」でLinfさんが紹介されている
「 Optical Shop Testing Third Edition」の
「12.5 TESTING OF CONVEX HYPERBOLOIDAL SURFACE」に概要があるのですが
この中で参照している「 Parks and Shao(1988)」のpdfが入手できます:-
https://www.researchgate.net/publicatio ... ry_Mirrors
※(厳密なnull testではないが)
For smaller amateur telescopes, ... one of the most powerful and practical available
だそうです。
※まだ少しつづきます。しかし投稿できるのは、週末になると思います。
丁寧な回答、ありがとうございます。
「妄想」をそのまま文章にしてしまいました。申し訳ありません。Abbebe さんが書きました: 大変申し訳無いですが、言われていることが良く解らないです。
カセタイプでトップリングの存在しない構造の望遠鏡は他にも存在しているように思います。
「カセタイプでトップリングの存在しない構造の望遠鏡」としては
Dilworthのもの(https://www.pinterest.com/pin/694187730042102718/)
などは知っていますが少ないと思います。※通常の円筒鏡筒は別として。
「M」 さんが書きました: ※副鏡裏面を鏡面とした「凸双曲面のダブルパスヌルテスト」かな、と考えていました。
それがですね、「副鏡単体で球面収差が『十分に小さい』状態を実現できるというのです。Abbebe さんが書きました:
副鏡単体で球面収差ゼロとなる状態は裏面反射を使っても存在しないのでヌルテストは
出来ないと思います。
「ロンキーテストの教科書ないですか」でLinfさんが紹介されている
「 Optical Shop Testing Third Edition」の
「12.5 TESTING OF CONVEX HYPERBOLOIDAL SURFACE」に概要があるのですが
この中で参照している「 Parks and Shao(1988)」のpdfが入手できます:-
https://www.researchgate.net/publicatio ... ry_Mirrors
※(厳密なnull testではないが)
For smaller amateur telescopes, ... one of the most powerful and practical available
だそうです。
「こだわるところには、こだわる」「わりきるところは、わりきる」と理解しました。※よいですね!Abbebe さんが書きました: 3. 温度によるピント変化問題
これは有るものだと思っているので都度ピント調整を行なえば良いと思っています。
※まだ少しつづきます。しかし投稿できるのは、週末になると思います。
最後に編集したユーザー 「M」 [ 2024年1月28日(日) 23:18 ], 累計 1 回