日の出光学著『双眼鏡の推しごと』オーム社刊が6月23日に出ました。定価2200円(税込み)
https://www.ohmsha.co.jp/book/9784274233647/
著者が日の出光学というのも興味深いのですが、中身もとても参考になります。私にとっては、望遠鏡よりも双眼鏡の方がどうにもわかりにくいところがあったのですが、この本でなるほどと思うに至ることが多々ありました。シビアな見方が老化に起因するところなどもおもしろい。
少し高めですが、お薦めです。
くりかえしになりますが、著者が「日の出光学」というところが良いですね。
双眼鏡の推しごと
Re: 双眼鏡の推しごと
「推しごと」という題が、日の出光学の某氏を思い出さしてくれます。
今すぐ読みたいですが、星まつりまで我慢したら何かいいことがあるかも。って5倍の双眼鏡を買わされる羽目になったり。
どっちみち、楽しそうな本ですね。
今すぐ読みたいですが、星まつりまで我慢したら何かいいことがあるかも。って5倍の双眼鏡を買わされる羽目になったり。
どっちみち、楽しそうな本ですね。
プライベートメッセージです
Re: 双眼鏡の推しごと
御紹介有難う御座います。早速入手して読みました!
日の出光学は2009年創業の新しい会社のようで、現在上り調子真只中のようですが、どうもこのメーカーは低倍率偏重のアピールが強く、5倍を推しているようですね。
例えばいきなり「倍率が大きければ大きいほど良いわけじゃない」と有りますが、解像力についての記載が全く無くて、見えない物が見えて来て欲しい為に双眼鏡の倍率を利用する訳であり、解像力を高める為には倍率を高くするべきということは間違いないと私は考えています。
低い倍率の双眼鏡を買ってしまって、解像力に後悔しない為にも倍率と解像力の関係は明記して欲しかったと思うのですが、どうでしょう?
それを前提として他の問題を説明して「倍率が大きければ大きいほど良いわけじゃない」と欲しかったですね!
あと老眼が性能にシビアと有りますが、双眼鏡に限らずカメラのファインダー等にその傾向が有りますね。これは若い人が企画~設計すると確かにまず陥りがちな重要な問題ですね。
日の出光学は2009年創業の新しい会社のようで、現在上り調子真只中のようですが、どうもこのメーカーは低倍率偏重のアピールが強く、5倍を推しているようですね。
例えばいきなり「倍率が大きければ大きいほど良いわけじゃない」と有りますが、解像力についての記載が全く無くて、見えない物が見えて来て欲しい為に双眼鏡の倍率を利用する訳であり、解像力を高める為には倍率を高くするべきということは間違いないと私は考えています。
低い倍率の双眼鏡を買ってしまって、解像力に後悔しない為にも倍率と解像力の関係は明記して欲しかったと思うのですが、どうでしょう?
それを前提として他の問題を説明して「倍率が大きければ大きいほど良いわけじゃない」と欲しかったですね!
あと老眼が性能にシビアと有りますが、双眼鏡に限らずカメラのファインダー等にその傾向が有りますね。これは若い人が企画~設計すると確かにまず陥りがちな重要な問題ですね。
Re: 双眼鏡の推しごと
貧乏なもんで,市立図書館から借りてきて読みました.
え!?と思ったのは,倍率ってのは言うまでもなく,対物の焦点距離/接眼レンズの焦点距離ですけど,この時2つの焦点距離は比がが同じなら倍率は同じです.ところが,長い対物の焦点距離/長い接眼レンズの組み合わせだと,目玉のピント調整範囲を使って双眼鏡の中の像空間でピントの合わせられる(前後の)距離が広くなる,って書いてあります.じーーーっと頭の中で考えると,あぁ,確かにそうだなぁ.と思いました.でも考えたこと無かったです.
そこを考慮して設計された双眼鏡として,近距離自然観察用のオリンパスのパピリオ(Papilio)Ⅱが紹介されています.実は,うちに1台あるのですが,この長い焦点距離の対物・接眼の組み合わせになってるとは気付きませんでした.確かに変に長いんですよね.1~2mの距離に有る花とか昆虫,特に蜂の仲間ですね.近づけない動物には重宝します.ボケないで見える範囲が前後に深いのです.なお,蛇とかはさっさと避難です.
パピリオは,その他にも近距離にピントを合わせると,対物レンズが「より目になる」と言うとんでもない機構が付いていて,そこに惚れて買ったんですけどね.対物のFが暗めになってるわけで,周辺像も意外に良いのです.やはり当たりでした.
細かいですが,この著者は少々の視軸の誤差は脳味噌が吸収していると書いてますが,私は違うと思います.短時間(数時間のあいだ)であれば,目玉の筋肉で左右の眼球をイスカに動かして調整してるんだと思います.これが斜視などの,永久的な視軸ずれだと次第に脳味噌が対応して,たぶん光の信号を受け取る脳細胞が役割を移動するみたいな事なんでしょうね.まっすぐ見えるようになると言います.私の目玉は,左が微かに外に向かって斜視になってますが,子供の頃は斜視が現れていませんでした.だから,加齢とともに,次第に視軸が傾いても脳内で補正されてるんでしょうね.
短時間の視軸のずれって事だと,私の目は頭を右に傾けたときは何も起きないですが,左に傾けると少し左の視軸が下がるのが分かります.あと像が少し反時計に回転してるような気がします.気がするってのは,目が自動的に修正を始めるので意識するのが難しいってことです.
眼球の後ろにある筋肉(の図を見ると)は,眼球を上下左右に動かすのはもちろんですけど,どうも眼球を回転させるための筋肉と筋じゃないかな?ってのも1本有ります.ひょっとする「像の倒れの左右差」ってのも,眼球が補正してるんじゃないかと思ってます.(医学的には,そんな話しは見つけられませんでしたが).
しかし,眼球の後ろの筋肉を使って視軸ずれを補正するのは,視野内部にたくさん物が見えている時ですね.真っ暗な夜空に星がポツポツと光ってるだけの景色の時は,眼球の補正能力が出ません.だから,かなり調整を追い込まないと双眼鏡の役にならないのですよね.
あと,捕鯨船とかマグロ漁してる船の双眼鏡なんかは,見る人の目玉が研ぎ澄まされてるので,公差以内でも簡単にダメ!と返されてしまうそうです.脳で補正されるから,どーでも良いという著者の考え方は賛成できませんね.分野によっては,要求精度が凄く高い業界もあるんですよ.
しかし自宅には重たくて3分くらいしか持ってられない重たい双眼鏡もあります.だから,何か寝っ転がってて,左右から双眼鏡を支えてくれる仕掛けを作りたいと思ってるのですが,なかなか時間が無くて・・・・
それどころか,最近かみさんに内緒で,さらに大きい双眼鏡を買い込んで車に隠したままです.どうしよう・・・・
(T_T
え!?と思ったのは,倍率ってのは言うまでもなく,対物の焦点距離/接眼レンズの焦点距離ですけど,この時2つの焦点距離は比がが同じなら倍率は同じです.ところが,長い対物の焦点距離/長い接眼レンズの組み合わせだと,目玉のピント調整範囲を使って双眼鏡の中の像空間でピントの合わせられる(前後の)距離が広くなる,って書いてあります.じーーーっと頭の中で考えると,あぁ,確かにそうだなぁ.と思いました.でも考えたこと無かったです.
そこを考慮して設計された双眼鏡として,近距離自然観察用のオリンパスのパピリオ(Papilio)Ⅱが紹介されています.実は,うちに1台あるのですが,この長い焦点距離の対物・接眼の組み合わせになってるとは気付きませんでした.確かに変に長いんですよね.1~2mの距離に有る花とか昆虫,特に蜂の仲間ですね.近づけない動物には重宝します.ボケないで見える範囲が前後に深いのです.なお,蛇とかはさっさと避難です.
パピリオは,その他にも近距離にピントを合わせると,対物レンズが「より目になる」と言うとんでもない機構が付いていて,そこに惚れて買ったんですけどね.対物のFが暗めになってるわけで,周辺像も意外に良いのです.やはり当たりでした.
細かいですが,この著者は少々の視軸の誤差は脳味噌が吸収していると書いてますが,私は違うと思います.短時間(数時間のあいだ)であれば,目玉の筋肉で左右の眼球をイスカに動かして調整してるんだと思います.これが斜視などの,永久的な視軸ずれだと次第に脳味噌が対応して,たぶん光の信号を受け取る脳細胞が役割を移動するみたいな事なんでしょうね.まっすぐ見えるようになると言います.私の目玉は,左が微かに外に向かって斜視になってますが,子供の頃は斜視が現れていませんでした.だから,加齢とともに,次第に視軸が傾いても脳内で補正されてるんでしょうね.
短時間の視軸のずれって事だと,私の目は頭を右に傾けたときは何も起きないですが,左に傾けると少し左の視軸が下がるのが分かります.あと像が少し反時計に回転してるような気がします.気がするってのは,目が自動的に修正を始めるので意識するのが難しいってことです.
眼球の後ろにある筋肉(の図を見ると)は,眼球を上下左右に動かすのはもちろんですけど,どうも眼球を回転させるための筋肉と筋じゃないかな?ってのも1本有ります.ひょっとする「像の倒れの左右差」ってのも,眼球が補正してるんじゃないかと思ってます.(医学的には,そんな話しは見つけられませんでしたが).
しかし,眼球の後ろの筋肉を使って視軸ずれを補正するのは,視野内部にたくさん物が見えている時ですね.真っ暗な夜空に星がポツポツと光ってるだけの景色の時は,眼球の補正能力が出ません.だから,かなり調整を追い込まないと双眼鏡の役にならないのですよね.
あと,捕鯨船とかマグロ漁してる船の双眼鏡なんかは,見る人の目玉が研ぎ澄まされてるので,公差以内でも簡単にダメ!と返されてしまうそうです.脳で補正されるから,どーでも良いという著者の考え方は賛成できませんね.分野によっては,要求精度が凄く高い業界もあるんですよ.
しかし自宅には重たくて3分くらいしか持ってられない重たい双眼鏡もあります.だから,何か寝っ転がってて,左右から双眼鏡を支えてくれる仕掛けを作りたいと思ってるのですが,なかなか時間が無くて・・・・
それどころか,最近かみさんに内緒で,さらに大きい双眼鏡を買い込んで車に隠したままです.どうしよう・・・・
(T_T
Re: 双眼鏡の推しごと
ああ,そうそう.
本の中で,暫く前に倒産した勝間光学を,大塚光学が吸収して助けたってのは良い話ですね.勝間光学の双眼鏡は質実剛健ですけど地味でねぇ,陸上自衛隊に納めてたくらいなんで品は良かったんですけどね.
勝間の自衛隊納入品は6倍が多かったのかな? 要求仕様が6倍だったからなんでしょうけど,コンバット用途ですから何か切実な理由があるのでしょう.
本の中で,暫く前に倒産した勝間光学を,大塚光学が吸収して助けたってのは良い話ですね.勝間光学の双眼鏡は質実剛健ですけど地味でねぇ,陸上自衛隊に納めてたくらいなんで品は良かったんですけどね.
勝間の自衛隊納入品は6倍が多かったのかな? 要求仕様が6倍だったからなんでしょうけど,コンバット用途ですから何か切実な理由があるのでしょう.
Re: 双眼鏡の推しごと
視軸に関しては左右の差は目の輻輳での補正がある程度効くのですが、寛容なのは寄り目方向だけ。目が平行より開く方向と垂直方向は厳しい。この生理学的な特性がJIS規格などにも反映されてます。(https://kikakurui.com/b7/B7121-2013-01.html の表 1 光学的性能及び許容値 )
でも、僅かな視軸ズレなら双眼鏡の目幅を若干閉じたり開いたりすれば水平方向は許容誤差に入ります。垂直方向は双眼鏡を水平に持たずに左右いずれかを若干上げて見て、視軸ズレが小さくなる位置を探せばなんとかなるケースがあります。これらの方法だと光学系中心と目の中心が一致してないので解像力の低下と、瞳で蹴られて集光力が落ちる可能性などの課題はありますが、視軸再調整の面倒くささを考えると、僅かなズレへの対応には有効と思います。
人間の脳は上下逆さまに見えるメガネを掛け続けていると、何日かで引っくり返って正立に見えるようになるくらい適応力がありますが、「掛けっぱなし」にしないと慣れないそうです。双眼鏡の視軸ズレ対応も、おそらくは同様。
自衛隊の双眼鏡は納品先で使用が異なり、海上自衛隊は漁業関係者や海上保安庁と同様に7x50以上が多い。瞳径の大きさは夜間対応だけでなく、揺れによる射出瞳と目の不一致の緩和(ブラックアウト対策)。水平線(数km先)が対象となることが多いので無限遠固定でOK。船舶に固定したり手すりに載せたり肘をついたりするので7x50のような重量物でもOK。(ブリッジの天井から25x150を吊るす特殊架台の特注品も多々あり)
逆に陸上自衛隊では障害物が多いこともあって近くの茂みや建物を見るので低倍率でOK。昔ドイツなどから輸入した規格の名残もあって6倍が多いとか、人力で持ち運ぶ荷物が多くて重いので6x24~8x30クラスが多いとか。(とは言っても湾岸戦争のときは攻戦距離が2km超え(最大5km)で、10倍でも戦車の形状識別ができずに同士討ちの事故が発生したため、高い倍率を新規導入したケースが有るとか)
倍率に関してはテクニック次第で高倍率の人力使用は可能です(手すりやフェンスに載せる、押し付ける、などなど)。さらに、手ブレ防止機能付きの双眼鏡が徐々に廉価になっているので昔ほど高倍率が悪いわけではなくなりました。とはいえ双眼鏡初心者へ、最初の一台として数千~1万円台の商品を勧めるなら8倍以下でしょうね。
でも、僅かな視軸ズレなら双眼鏡の目幅を若干閉じたり開いたりすれば水平方向は許容誤差に入ります。垂直方向は双眼鏡を水平に持たずに左右いずれかを若干上げて見て、視軸ズレが小さくなる位置を探せばなんとかなるケースがあります。これらの方法だと光学系中心と目の中心が一致してないので解像力の低下と、瞳で蹴られて集光力が落ちる可能性などの課題はありますが、視軸再調整の面倒くささを考えると、僅かなズレへの対応には有効と思います。
人間の脳は上下逆さまに見えるメガネを掛け続けていると、何日かで引っくり返って正立に見えるようになるくらい適応力がありますが、「掛けっぱなし」にしないと慣れないそうです。双眼鏡の視軸ズレ対応も、おそらくは同様。
自衛隊の双眼鏡は納品先で使用が異なり、海上自衛隊は漁業関係者や海上保安庁と同様に7x50以上が多い。瞳径の大きさは夜間対応だけでなく、揺れによる射出瞳と目の不一致の緩和(ブラックアウト対策)。水平線(数km先)が対象となることが多いので無限遠固定でOK。船舶に固定したり手すりに載せたり肘をついたりするので7x50のような重量物でもOK。(ブリッジの天井から25x150を吊るす特殊架台の特注品も多々あり)
逆に陸上自衛隊では障害物が多いこともあって近くの茂みや建物を見るので低倍率でOK。昔ドイツなどから輸入した規格の名残もあって6倍が多いとか、人力で持ち運ぶ荷物が多くて重いので6x24~8x30クラスが多いとか。(とは言っても湾岸戦争のときは攻戦距離が2km超え(最大5km)で、10倍でも戦車の形状識別ができずに同士討ちの事故が発生したため、高い倍率を新規導入したケースが有るとか)
倍率に関してはテクニック次第で高倍率の人力使用は可能です(手すりやフェンスに載せる、押し付ける、などなど)。さらに、手ブレ防止機能付きの双眼鏡が徐々に廉価になっているので昔ほど高倍率が悪いわけではなくなりました。とはいえ双眼鏡初心者へ、最初の一台として数千~1万円台の商品を勧めるなら8倍以下でしょうね。
Re: 双眼鏡の推しごと
著者ご本人、及びこちらに来られている一部の方と先ほどまで飲んでおりましたが、楽しかったです。
某氏がいきなり斜視と目のプレゼン。簡易検査機を持ってきて、目と双眼鏡の話で盛り上がりました。
各自の目の性能(能力)や癖で、双眼鏡も見え方が違うのに、全員に満足される双眼鏡はできないと関係者が嘆きます。返品されても、何を送り返していいのか。
私も、厳しい指摘をされる方は2手あると思います。実際全て分かり切って、肥えた選択眼をお持ち方と、自身の目の調整範囲が少ない方。
困るのが、肥えた目を得たころには、目の調整範囲も減ったご年配になってしまうことで、自信があるので追及が厳しくメーカー泣かせということです。
双眼鏡の歴史に対し一番詳しいと思われる氏と、双眼鏡の検査をされている元メーカー設計者の方が今回欠席だったのが残念でした。
某氏がいきなり斜視と目のプレゼン。簡易検査機を持ってきて、目と双眼鏡の話で盛り上がりました。
各自の目の性能(能力)や癖で、双眼鏡も見え方が違うのに、全員に満足される双眼鏡はできないと関係者が嘆きます。返品されても、何を送り返していいのか。
私も、厳しい指摘をされる方は2手あると思います。実際全て分かり切って、肥えた選択眼をお持ち方と、自身の目の調整範囲が少ない方。
困るのが、肥えた目を得たころには、目の調整範囲も減ったご年配になってしまうことで、自信があるので追及が厳しくメーカー泣かせということです。
双眼鏡の歴史に対し一番詳しいと思われる氏と、双眼鏡の検査をされている元メーカー設計者の方が今回欠席だったのが残念でした。
プライベートメッセージです