手持ちの望遠鏡をロンキーテスターで評価してみた!

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ひぽぽたます
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登録日時: 2023年6月16日(金) 08:45

手持ちの望遠鏡をロンキーテスターで評価してみた!

投稿記事 by ひぽぽたます »

天気が悪い日は機材いじり・・・っと。
久々に所有する屈折望遠鏡についてロンキー試験を実施してみました。
現行品について行い、公開すると色々問題が出るかもしれないので、既に販売中止になっている機材のみ。
最近のアポクロマートは本当に優秀で、測定しても、軒並みお宝クラスになるので面白くありません。
やはり、硝材や研磨方法に制限があり、それでも何とか良いものを・・・と技術者が苦労していた時代のものが、コンセプトが透けて見えて楽しいです。
皆さんも、測定環境があれば、コメントを入れて発表して頂ければ楽しいですね。
因みに、天文ガイドで実施していた当時と同じように4~5本位の縞が見える様に調整し、全て焦点内像となっております。
なお、今回の測定機材は単身赴任先においてあるごく一部の機種です。
反響によって追加測定するかもしれません(笑

1)五藤光学 80mmアクロマート Φ80mm f15
往年の名機。
基本に忠実なアクロマート鏡筒の標準。
評価は全て、この鏡筒を比較対象として行っています。
明るい月等を見ると色付きが目立つが、極めてシャープな像を結びます。
口径×20倍もの倍率をかけても像の破綻は微小。
当方の所有する個体はやや糸巻状の縞の乱れがあり、他の個体と比較して収差がありそうです。

2)タカハシ製 SYK90 2枚玉フローライトアポクロマート Φ90mm f5.6
発表当時(2000年)、常識外れの明るい望遠鏡で驚いた記憶があります。
5年落ちくらいで購入しましたが、今でもポルタⅡ経緯台と組み合わせて頻繁に使っています。
流石に最近の硝材を多数使って補正しているものと比較すると各種収差を感じますが、軽さは力ですね。
色収差は殆どありませんが、わずかに湾曲収差があります。
でも2枚玉でここまで健闘しているのは流石です。

3)五藤光学製 2枚玉セミアポクロマート Φ80mm f12.5
1976年に発表されたMARK-X赤道儀と一緒に発表された望遠鏡。
当時はf15のアクロマートが普通で、アポクロマートって何?と思ったものです。
赤道儀とセットで購入すると少し値引きされる特典があったため、当時、別の望遠鏡を購入しようと思っていた資金と親への借金で購入したものです。
明るい月等を見ると、青の色収差が見えますが、アクロマートの様に視野全体に収差捕色の黄色が広がってコントラストが落ちる事が無かった為、バックの黒締りが異様に良かった記憶があります。
流石に最近のアポクロマートと比較すると色収差が目立ちますが、無理のない設計と相まって、極めてシャープな像を結びます。
最近の多数枚の硝材を用いている望遠鏡と比較すると一段、コントラストが上だと感じます。

4)タカハシ製 FC-125 2枚玉フローライトアポクロマート Φ125mm f8
1981年販売の単層コート品。
ご多分に漏れずフローライト揮発成分の影響で、相方の硝材が真っ白に曇った為、ヨシカワ光機さんに依頼して実用可能レベルまで修復して頂き現在に、至ります。
当時、フローライトを用いた製品の相方は必ずマルチコートする様に指示されていたのに、なぜ、タカハシは指示を無視して単層コートにしたのでしょうか?
単なるコストダウンの可能性が大ですが、おかげで大枚をはたいて購入した鏡筒の多数が×になっています。
指示に忠実に従ったビクセン鏡筒は曇り等の問題は皆無です。
さて、修復して頂き7年ほど経ちますが、わずかに白化が進行してきている様です。
ロンキー像を見ても、明らかにコントラストが悪いのが判ります。
但し、実視では明るい月等を見ない限り、気にならないのは不思議です。
収差補正は2枚玉フローライトそのもので、非常に良好。
但し、フローライトとはいえ、口径が大きくなると僅かに色収差が出るであろうと判る縞ですね。
少々重いため、稼働率が低く、防湿庫内の肥やしとなるつつあります(泣

5)笠井トレーディング扱 ネリウス127EDT 3枚玉EDアポクロマート Φ127mm f7.5
2008年販売。
第一世代のED硝材(FPL-51相当品?)を用いているため、3枚玉にしても色が目立つ。
現在のレベルでは、アポクロマートというのはやや厳しいか?
視野はやや湾曲収差があり、高視野アイピースを用いて意地悪に観ると、周辺は同心円状の星像崩れがある。
但し中心像は極めてシャープで、惑星等を観望する場合は口径と相まって非常に良く見える鏡筒である。
この鏡筒も重いため(FC125よりは軽いが・・・)積載する架台を選び、稼働率が低くなっています。

6)ミザール製 SD102R 2枚玉SDアポクロマート Φ102mm f9.8
ミザール社が、自社開発をしていた最終時期(1997年頃)に総力をあげて作り上げたSDアポクロマート鏡筒。
片方の硝材にランタン系レンズを使っているのが非常に珍しい鏡筒です。
昔から欲しいと思っていたのだが、ようやく縁あって入手できた逸品。
当時、流行の写真撮影を考慮していない作りの為が、販売数は少なく、今まで見たことがありませんでした。
入手してから判ったのですが、安価なアクロマート鏡筒と部品を共用している関係か、高級感は皆無でチープさが目立ちます。
一方、その為か、非常に軽量(10cmアポで2.8Kgは凄い!)な為、どこに行くにもひょいともって行けるのは利点。
最周辺にやや乱れがある様だが、眼視で像の乱れは認められない。
2枚玉アポクロマートとしてはごくごく標準的な鏡筒だと思う。

7)ビクセン製 NA140SS 4枚玉ネオアクロマート Φ140mm f5.7
一時期、大陸製の大口径アクロマート(φ150mm f8)が流行りましたが大きすぎて持て余し気味。
小型の短焦点(φ150mm f5)タイプは軽いのだが、いかんせんすさまじい色付きと、湾曲収差大で低倍率で星を見ても周辺がぐるぐる回っているのが直ぐに判る様な機材でした。
ビクセンのネオアクロマートはアクロマートの色収差には目をつぶって、視野の平坦さを4枚玉にする事で達成した意欲品(迷品?)でした。
お気楽観望時の双眼望遠鏡に使えないか試しに入手してみた機材。
盛大な色収差とフラットフィールドという、何となく違和感のある鏡筒でした。
残念ながら重すぎたので双眼化に適さないと判断してお蔵入りした鏡筒です。
縞のコントラストが良い事から判る様にすっきりとした視野と色付いた恒星像というある意味、無味乾燥な視野になりがちな星見で見ていて飽きない(笑)望遠鏡でした。
因みに高倍率にも十分耐えられる精度があったと思います(最近使っていないので忘れたw)
1)五藤光学 80mmアクロマート Φ80mm f15
1)五藤光学 80mmアクロマート Φ80mm f15
goto80-02.JPG
2)タカハシ製 SYK90 2枚玉フローライトアポクロマート Φ90mm f5.6
2)タカハシ製 SYK90 2枚玉フローライトアポクロマート Φ90mm f5.6
sky90-02.JPG
五藤光学製 2枚玉セミアポクロマート Φ80mm f12.5
五藤光学製 2枚玉セミアポクロマート Φ80mm f12.5
GOTO-SEMI-02.JPG
最後に編集したユーザー ひぽぽたます [ 2025年4月21日(月) 14:26 ], 累計 3 回
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ひぽぽたます
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登録日時: 2023年6月16日(金) 08:45

Re: 手持ちの望遠鏡をロンキーテスターで評価してみた!

投稿記事 by ひぽぽたます »

追加です!
4)タカハシ製 FC-125 2枚玉フローライトアポクロマート Φ125mm f8
4)タカハシ製 FC-125 2枚玉フローライトアポクロマート Φ125mm f8
FC125-02.JPG
5)笠井トレーディング扱 ネリウス127 3枚玉EDアポクロマート Φ127mm f7.5
5)笠井トレーディング扱 ネリウス127 3枚玉EDアポクロマート Φ127mm f7.5
NERIUS127-2.JPG
6)ミザール製 SD102R 2枚玉SDアポクロマート Φ102mm f9.8
6)ミザール製 SD102R 2枚玉SDアポクロマート Φ102mm f9.8
MIZAR102SD-02.JPG
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ひぽぽたます
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登録日時: 2023年6月16日(金) 08:45

Re: 手持ちの望遠鏡をロンキーテスターで評価してみた!

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更に追加(笑

8)William Optics製 Gran Turismo GTF81 5枚玉EDアポクロマート Φ81mm f5.9
William Optics製の小型アポクロマート鏡筒。販売当初、収差が少なくこれだけ明るい鏡筒は殆どなく、直ぐに申し込みましたが、どうもレンズの調整に難があった様で直ぐにディスコンで入手出来ず。
その後、3枚玉で同等の明るさで再販された経緯がある悲劇の鏡筒。
因みに明るくなった改良鏡筒は、カタログ上、除去しきれない収差があった為、食指が動かず。
偶然、今は開催されていない原村星まつりでディスコン品を入手出来、一時、これでずっと写真を撮っていました。
本当ならば、フードと鏡筒部を接続する飾りネジが赤アルマイトのはずですが、星まつり会場販売時は付属されておらず、後ほど、別の鏡筒用の飾りネジがぴったりだった事から流用し、黒仕様になっております。
5枚玉の為か、口径80mmクラスのアポクロマートの割には重く、軽量な赤道儀には荷が重いというわがままな仕様です。
ロンキー縞は、収差補正が難しい際の写真鏡筒に良くある、完全補正型の形状となっており、設計時の苦労がしのばれますが、5枚もレンズを使いながらこの程度か・・・と、少々がっかりしました。
写真を撮った際は、APS-Cでは充分満足な像ですが、フルサイズ最周辺で放射状に星像が流れ、減光が目立つようになります。
色収差は完璧に補正されており眼視で見ても写真で撮っても目立ちません(最新のFPL-53を使用)。
但し、レンズフードが摩擦で固定する仕様なので、伸び縮みを繰り返した現在では、摩擦力が落ち、自重で落ちてくるのが悩みの種です。

9)メーカー不明 試作鏡筒 4枚玉EDアポクロマート Φ70mm f5.0
出所不明のメーカー試作機・未販売機らしいです。
デザインと入手先ショップの販売製品を鑑みて、Askar製ではないかと予想している次第です。
口径70mmですが、80mm鏡筒と共通部品を用いているせいか大きく・重く感じます。
ロンキー縞は僅かに樽型に膨らんでおり、湾曲収差が予想され、実際に写真を撮るとフルサイズ周辺で僅かに星像が流れます(但し、A4判位の引き延ばし倍率ならば判らないかも・・・)。
但し、購入時、スケアリングが不十分で片ボケ状態でした。
これを全面均一に調整するまで、調整が非常にしずらい機構になっており、妥協できるレベルにまでには相当、苦労しました。
この辺りが、そのままの形で、実際の販売に至らなかった原因なのかもしれません。
眼視では良く調整されて色収差も無く良好ですが、最近の多数枚レンズを用いて収差補正している望遠鏡共通の抜けの悪さが気になります。
マルチコート化して光の損失を抑えても、レンズ表面の反射は完璧には抑えられない事から、限界があるという事でしょうか?(詳しい方がいらっしゃいましたらお教え頂ければ幸いです。)
せいぜい3枚玉で、現行の性能を出す設計をして欲しいものです。
デザインは最近流行のアルマイト多用の色彩豊かな鏡筒で、古い時代の白黒が好きな当方にとって、あまり好きなデザインではありません。
7)ビクセン製 NA140SS 4枚玉ネオアクロマート Φ140mm f5.7
7)ビクセン製 NA140SS 4枚玉ネオアクロマート Φ140mm f5.7
NA140-02.JPG
8)William Optics製 Gran Turismo GTF81 5枚玉EDアポクロマート Φ81mm f5.9
8)William Optics製 Gran Turismo GTF81 5枚玉EDアポクロマート Φ81mm f5.9
GRAN-02.JPG
9)メーカー不明 試作鏡筒 4枚玉EDアポクロマート Φ70mm f5.0
9)メーカー不明 試作鏡筒 4枚玉EDアポクロマート Φ70mm f5.0
askar-02.JPG
最後に編集したユーザー ひぽぽたます [ 2025年4月25日(金) 12:25 ], 累計 5 回
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ガラクマ
記事: 707
登録日時: 2023年6月07日(水) 21:16

Re: 手持ちの望遠鏡をロンキーテスターで評価してみた!

投稿記事 by ガラクマ »

 すごい!一連の大作の投稿ありがとうございます。
それにしても、凄いコレクション。時代ごとの話題の鏡筒のテストですね。
私の貧乏くさい話から、一挙にゴージャスになりました。

 よく写真を見ると、ご説明の内容がよく分かります。永久保存投稿です。
 プライベートメッセージです
Abbebe
記事: 114
登録日時: 2023年6月14日(水) 11:03
お住まい: 愛媛県新居浜市

Re: 手持ちの望遠鏡をロンキーテスターで評価してみた!

投稿記事 by Abbebe »

ロンキー縞サイズ(ピッチ)データが見当たらないのですが、
是非開示いただければと思います。
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ひぽぽたます
記事: 240
登録日時: 2023年6月16日(金) 08:45

Re: 手持ちの望遠鏡をロンキーテスターで評価してみた!

投稿記事 by ひぽぽたます »

天文ガイドで販売していたロンキー測定器+オプティカルフラットのダブルパス方式で測定しています。
ロンキースクリーンは、200本/inchに交換しています。
結構シビアな測定結果が出ますね。
因みに現行メーカー製で余りにも酷い結果となった鏡筒は敢えて、非公開としています(笑
Abbebe
記事: 114
登録日時: 2023年6月14日(水) 11:03
お住まい: 愛媛県新居浜市

Re: 手持ちの望遠鏡をロンキーテスターで評価してみた!

投稿記事 by Abbebe »

天文ガイドで販売していた物は確かに100本/inchでしたから200本/inchに交換したデータであるということは
重要ですね!
白黒ペア分の寸法が0.127mm、ダブルパスなので横収差スケール0.0635mmということですね!
有難う御座いました!
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木村
記事: 55
登録日時: 2025年2月06日(木) 11:24

Re: 手持ちの望遠鏡をロンキーテスターで評価してみた!

投稿記事 by 木村 »

 すいません.
ロンキーテストの像って,不勉強かつ頭が悪いので良く分かりません.
一連の写真で,このロンキースクリーンは,焦点の前なんでしょうか後ろなんでしょうか?
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ひぽぽたます
記事: 240
登録日時: 2023年6月16日(金) 08:45

Re: 手持ちの望遠鏡をロンキーテスターで評価してみた!

投稿記事 by ひぽぽたます »

最初の文章でも記載しましたが、全て焦点の内側で撮影しています。
縞の曲がり程度でおおよその精度が判りますが、焦点の内側か外側かによって、過修正・負修正の見方が変わってきますので
注意が必要ですね。

焦点内像で、縞が糸巻き状に中央がへこんでいる場合、負修正。
逆に樽型に膨らんでいる場合は過修正で、どちらもニュートン反射の場合、比較的修正は容易です。
残念ながら屈折式では研磨する事は非現実的な為、レンズ合わせ面の隙間調整で僅かに調整できるのみで対策は難しいかと。
又、縞の色付きは色収差の大きさを表しています。
掲載した写真は撮って出し状態で、色調整はしておりません(写真はi-phoneで撮っています)
ご参考までに・・・・。

次は、所有している御三家か、大陸製の望遠鏡でも測定してみますかね・・・。
(^0^)コメト
記事: 294
登録日時: 2023年6月23日(金) 14:28

Re: 手持ちの望遠鏡をロンキーテスターで評価してみた!

投稿記事 by (^0^)コメト »

ひぽさん皆さんこんにちは

おおー!これは努力作と思え、遂にやったかとも思います。(^0^8
何せ、長筒時代も短筒時代もこれ見りゃ一発で出来が判別出来ます。感謝!

どうも見るに堪えない筒も多くあったとかで、納得の性能でもあります。
続きも多分、未発表の中にも同様のがあるように思います。(^0^;

。。どっちかと言うと合格よりも×のが見たい(^0^)ですが、もしも
×ばかりならその先が怖いような気もしますデス。
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