近年、高屈折率ED硝子という硝子を良く耳にしますが、詳細を説明している記事等にお目に掛かったことはまず無いですね。
最近の最新接眼レンズの特許等に何気なく使われている硝子コード:595677=OHARA SPFL2 (593686=HOYA FCD515) 538747=OHARA SFPL3(550755=HOYA FCD705)辺りが高屈折率ED硝子と呼ばれている硝子であると思われます。
特徴としては従来のED硝子は色収差補正には極めて有利なのですが、屈折率が極端に小さくて、球面収差、軸外収差等の幾何収差には大きく不利に働き、F値が大きく画角の小さい対物レンズ等には大変効果的なのですが、焦点距離が短く画角の広い接眼レンズ等アクセサリーレンズ系の使用には向いていなかった訳です。
画角の広い光学系には戦後に開発されたランタン系高屈折率硝子である新種硝子の採用が有効なのですが、残念ながら色収差的には不利でありました。
そこで従来のED硝子に近い低分散の特徴を持ちながら高い屈折率を実現している硝子ということで開発されたのが高屈折率ED硝子ということになります。
と言いながらも新種硝子ほど屈折率が高い訳では無いので、最新特許明細等を見るとランタン系新種硝子と併用している傾向が有りますね。
なお、歴史的には、1995年頃にSUMITAで開発された「ガドロン」~「スーパーガドロン」がこのタイプの硝子の走りであり、SD硝子がSUMITAの「ホタロン」で始まったようにこのような新しい硝子の開発関係では必ずSUMITAが関わっている感が強いですね。そういうこともあってこのタイプの高屈折率ED硝子は「ガドロンタイプ」と呼ばれたりもしているようです。
なお、カメラレンズ分野では従来ED硝子と区別せずにまとめてEDレンズとして扱われている感が強いです。残念なことですね。
高屈折率ED硝子
Re: 高屈折率ED硝子
Abbebeさん。専門的なお話ありがとうございます。
詳しいことが分からないのに、質問はおかしいのですが、まず素人的に疑問があります。
2.最新接眼レンズに使われている理由は?
素人目に考えるのは、広角アイピースには曲率が大きいレンズが構成的に一部必要になり、高屈折率過ぎると臨界角の関係
で透過率が落ちたり(反射する)するし、そんなところで屈折率が比較的小さく分散も小さいレンズが必要になるかも・とか
.etc.
詳しいことが分からないのに、質問はおかしいのですが、まず素人的に疑問があります。
1.まずOHARA SPFL2 、 SFPL3は屈折率が極端に小さいのに、なぜ高屈折率ED硝子と呼ばれているのでしょうか?
2.最新接眼レンズに使われている理由は?
素人目に考えるのは、広角アイピースには曲率が大きいレンズが構成的に一部必要になり、高屈折率過ぎると臨界角の関係
で透過率が落ちたり(反射する)するし、そんなところで屈折率が比較的小さく分散も小さいレンズが必要になるかも・とか
.etc.
プライベートメッセージです
Re: 高屈折率ED硝子
レスどうも有難う御座います。
日本語が拙くて大変申し訳ありません。
1.については、
>従来のED硝子は、屈折率が極端に小さくて~~~。~~。
ここまでは従来ED硝子の特徴(問題点)です。
>そこで従来のED硝子に近い低分散の特徴を持ちながら高い屈折率を実現している硝子ということで開発されたのが高屈折率ED硝子ということになります。
以上が高屈折率ED硝子(SFPL2、SFPL3等)の特徴であると言いたかった訳です。
2.について、
広角アイピース等に曲率が大きいレンズが必要になるというのは厳密には正しく無くて、
大きく曲げる(屈折させる)レンズが必要になるが正しいと思います。
屈折率の低い硝子のレンズで大きく曲げる為には曲率を大きく(Rを小さく)する必要が有るのですが、屈折率の高い硝子を使うと小さい曲率(大きいR)で同等に曲げることが可能になります。
ということで高屈折率硝子を使うことが大きい曲率にしなくても良いということになり、これは実は結果的に臨界角が大きくならない方向にもなると考えられる訳です。
まあ一番有利になるのは幾何収差の発生量で、高屈折率採用で球面収差的にも高画角(軸外収差)的にも有利になります。
最新のカメラ交換レンズの性能(開放F値、超広角、高倍率ズーム等)が飛躍的に向上しているのは高屈折率方向の新しい硝子がどんどん開発された結果と言える訳でありその一環として高屈折率ED硝子の存在も有る訳です。
なお、反射率に関しては、屈折率が高くなるとノンコートでは確実に増加するのですが、実は単層コートの場合、硝子の屈折率が1.9程度に向かう程コート後の反射率が低くなるので実は高屈折率は有利な方向になります。
ある意味高屈折率低分散硝子は理想的な硝子と言える訳で、やっと開発された待望の硝子の方向であると言える訳です。
まあランタン系新種硝子や近年カメラ用大口径レンズ等に採用されている超高屈折率硝子(Nd≧1.9但し分散はかなり大きい)とかと比べると屈折率はまだまだ低いと言えますが。
日本語が拙くて大変申し訳ありません。
1.については、
>従来のED硝子は、屈折率が極端に小さくて~~~。~~。
ここまでは従来ED硝子の特徴(問題点)です。
>そこで従来のED硝子に近い低分散の特徴を持ちながら高い屈折率を実現している硝子ということで開発されたのが高屈折率ED硝子ということになります。
以上が高屈折率ED硝子(SFPL2、SFPL3等)の特徴であると言いたかった訳です。
2.について、
広角アイピース等に曲率が大きいレンズが必要になるというのは厳密には正しく無くて、
大きく曲げる(屈折させる)レンズが必要になるが正しいと思います。
屈折率の低い硝子のレンズで大きく曲げる為には曲率を大きく(Rを小さく)する必要が有るのですが、屈折率の高い硝子を使うと小さい曲率(大きいR)で同等に曲げることが可能になります。
ということで高屈折率硝子を使うことが大きい曲率にしなくても良いということになり、これは実は結果的に臨界角が大きくならない方向にもなると考えられる訳です。
まあ一番有利になるのは幾何収差の発生量で、高屈折率採用で球面収差的にも高画角(軸外収差)的にも有利になります。
最新のカメラ交換レンズの性能(開放F値、超広角、高倍率ズーム等)が飛躍的に向上しているのは高屈折率方向の新しい硝子がどんどん開発された結果と言える訳でありその一環として高屈折率ED硝子の存在も有る訳です。
なお、反射率に関しては、屈折率が高くなるとノンコートでは確実に増加するのですが、実は単層コートの場合、硝子の屈折率が1.9程度に向かう程コート後の反射率が低くなるので実は高屈折率は有利な方向になります。
ある意味高屈折率低分散硝子は理想的な硝子と言える訳で、やっと開発された待望の硝子の方向であると言える訳です。
まあランタン系新種硝子や近年カメラ用大口径レンズ等に採用されている超高屈折率硝子(Nd≧1.9但し分散はかなり大きい)とかと比べると屈折率はまだまだ低いと言えますが。
Re: 高屈折率ED硝子
ご丁寧な説明ありがとうございます。
お恥ずかし話です。
1は、まったく誤解してました。読解力がなくて申し訳ありません。
2は、当然高屈折率のEDレンズが良いのは分かるのですが、屈折率が低いEDレンズも量産効果で安くなるなら、いろいろ使いどころあるのではと思ったりします。
シングルレンズ(コーティング無)でいろいろな光学ガラスのレンズで見比べてみたら、差が直接的に見えて面白いかもしれません。
お恥ずかし話です。
1は、まったく誤解してました。読解力がなくて申し訳ありません。
2は、当然高屈折率のEDレンズが良いのは分かるのですが、屈折率が低いEDレンズも量産効果で安くなるなら、いろいろ使いどころあるのではと思ったりします。
シングルレンズ(コーティング無)でいろいろな光学ガラスのレンズで見比べてみたら、差が直接的に見えて面白いかもしれません。
プライベートメッセージです
Re: 高屈折率ED硝子
CANONから2020年出願され、2022年に公開となっている双眼鏡用接眼レンズ(f≒7.3mm 見掛け視野60°)の光路図を示します。
スマイスレンズ群が追加されたアストロプランタイプに近い構成で、左から3番目がSFPM2,4番目がSFPM3です。
(特許データからは私が少々手を加えた状態のデータです)
実は対物レンズ、プリズムを含む双眼鏡全体光学系のデータも実施例として開示されており、3枚構成の対物レンズの凸玉2枚にはSFPM3とSD硝子SFPL55(ビクセンVSD90SSが採用)が使用されています。
双眼鏡全体としてSD硝子、高屈折率ED硝子等、最新硝子を使用した現在考えられる最高水準の光学系だと考えられます。
スマイスレンズ群が追加されたアストロプランタイプに近い構成で、左から3番目がSFPM2,4番目がSFPM3です。
(特許データからは私が少々手を加えた状態のデータです)
実は対物レンズ、プリズムを含む双眼鏡全体光学系のデータも実施例として開示されており、3枚構成の対物レンズの凸玉2枚にはSFPM3とSD硝子SFPL55(ビクセンVSD90SSが採用)が使用されています。
双眼鏡全体としてSD硝子、高屈折率ED硝子等、最新硝子を使用した現在考えられる最高水準の光学系だと考えられます。
Re: 高屈折率ED硝子
OHARAの高屈折率ED硝子は、SFPM2、及びSFPM3 です!
これまでの内容中にSFPL2、SFPL3と記述してしまった箇所が散見されますが、間違いですね。
大変申し訳ございません!
では、そろそろ「落ち!」になりますが、
「自作・改造」の「自作プラネタリーエクステンダーレンズ」で紹介いたしました2枚玉光学系の内の1枚はSFPM2を
使用しています!
これまでの内容中にSFPL2、SFPL3と記述してしまった箇所が散見されますが、間違いですね。
大変申し訳ございません!
では、そろそろ「落ち!」になりますが、
「自作・改造」の「自作プラネタリーエクステンダーレンズ」で紹介いたしました2枚玉光学系の内の1枚はSFPM2を
使用しています!