難関!「GENERAL GATAROGUE 部理代学科の供子報画学科」の望遠鏡

「古スコ広場」 懐かしの望遠鏡、昔欲しかった望遠鏡、古い望遠鏡や産業を語りましょう
青色つきこ
記事: 96
登録日時: 2023年6月12日(月) 23:44
お住まい: 日本/Japan

Re: 難関!「GENERAL GATAROGUE 部理代学科の供子報画学科」の望遠鏡

投稿記事 by 青色つきこ »

みなさま、こんにちわ。

HM5cm鏡に関して、ノートには次の様に書かれている「硝子材の標準は54mm、 研磨面52.5mm、有効表面51mm、
厚さ 9mm±1.5mm、焦点距離700mmで、鉄ザラ、ガラス板を混用し、3個同時に製作する。原鏡は直径60mm、
有効径 58mmのガラス材を用い、磨きは上向きで始め、30分の後下向きにして、ハイパラボラとしてセンターを上
げ、最後の整型を行なう。表面は通常製作後、方法上止むを得ざるターンダウンを除く為に、直径54mm、有効径
52mm迄切り取る。従って、はなはだしく有害なターンダウンは存在せざるはず。」
(高橋健一「故中村 要の光学ノート(1)」『天界』1977-12より)

中村要氏の5cmハーシェル・ニュートン鏡ですが、手のひらにのる、かわいらしい大きさですねぇ。
厚さは1cm程度で、薄いんだなぁ と思いますが、50mm径の鏡だとそんなものなのでしょうか。薄い!
周辺を削ってターンダウンを回避しているというのも凄い。

高橋氏はHMは44番まで、NKMも若干あると記しています。
還暦α
記事: 117
登録日時: 2023年6月20日(火) 12:59

Re: 難関!「GENERAL GATAROGUE 部理代学科の供子報画学科」の望遠鏡

投稿記事 by 還暦α »

皆様こんにちは

朝、一度投稿したのですが、表現が良くなかったので改めて投稿しなおしました。

青色つきこ様の情報によると軸外しの放物面鏡が使われていたという事になりそうです。
3枚のガラス基板を一つの基材に貼り付けて3枚の重心(全体の中心)部分を光軸にした放物面鏡に
仕上げたと読み取れます。
このやり方だと一度に3枚の軸外し放物面鏡が作れます。
3枚のミラー周辺にガラスが無いのでどうしても周辺部にターンダウンが発生する。
ターンダウンが発生した部分を削り取って有効径を小さくした。
という事ではないでしょうか。

軸外し放物面なら本来の光軸中心であれば球面収差、コマ収差、非点収差が発生しないので
シャープな像が得られそうです。

軸外し放物面にすると石原氏の実用新案の図やシベットさんのブログの図のように光束の中心を基準にすると
像面が傾くことになります。
焦点距離を長めにしているのは像面の傾きを小さくするためではないでしょうか。

実物をフーコーテストなどで調べられればはっきりすると思います。

ガラクマ様ご紹介のDGM opticsも自信満々の表現なので軸外し放物面を使っているのかもしれません。

エドモンドオプティクスやソーラボで軸外しの放物面鏡が販売されているので試せるかと思いましたが、
面精度が足りないことと角度が大きすぎる(15度)ので良い結果は得られそうにありません。

D 50.8 mm fl 516.8 mm 面精度 λ/2 保護膜付きアルミコート ¥47,300-
https://www.edmundoptics.jp/p/508-x-508 ... ror/33433/

D 50.8 mm fl 374.5 mm 面精度 λ/4 保護膜付き銀コート ¥56,473-
https://www.thorlabs.co.jp/thorproduct. ... PD2151-P01

言葉だけだとわかりづらいので絵を作って見ました。
3枚密着すると基材は130mmになりましたので少し離した150mmの絵と並べました。
断面図は基材の直径150mmの場合でRはわかりやすいように小さく描いています。
正面図.jpg
断面図2.jpg
最後に編集したユーザー 還暦α [ 2024年4月05日(金) 17:53 ], 累計 1 回
Funa
記事: 2
登録日時: 2024年1月14日(日) 19:44

Re: 難関!「GENERAL GATAROGUE 部理代学科の供子報画学科」の望遠鏡

投稿記事 by Funa »

皆さん、こんにちは。
Funaと申します。曇天会議のForumには初投稿します。宜しくお願いします。

三寸反射天体望遠鏡のカタログの説明にはパラボラ反射鏡となり、石原氏の実用新案などを見ると「軸外しニュートン」のように思われます(ハーシェルという言葉は出てこないのでは)。
Amateur Telescope Opicsというサイトを見ると、無遮蔽反射で放物面の一部を使用したものを軸外しニュートン(Off-axis newton)、球面鏡を傾けたものをハーシェル式(HERSCHELIAN REFLECTOR)と使い分けています。
無遮蔽の反射については少し興味があり以前調べたことがあります(下記)。
https://violetzebra3.sakura.ne.jp/noobstraction.html
また、軸外しニュートンについては小型の軸外しニュートン反射を試作しました。これは「星を見る道具の工房」のみんなの作品に今年の2月に投稿しています。
http://yamaca.in.coocan.jp/index.htm#t1
富田
記事: 16
登録日時: 2023年6月12日(月) 18:16

Re: 難関!「GENERAL GATAROGUE 部理代学科の供子報画学科」の望遠鏡

投稿記事 by 富田 »

皆様

個人的な意見で恐縮ですが、中村氏が製作されたのは軸外し放物面鏡では無いと考えます。
時代を考えると、さすがに小口径反射鏡のために、そこまで手の込んだことをしたとは思えません。
中村氏の目的は廉価な望遠鏡の普及と量産だったはずです。
左右非対称の3面貼り付けたままのオーバーハングによる放物面化もフーコーテストでのゾーンテストも技術的に極めて困難で不可能に近いと思いますし、研磨技術も十分に確立されていない時代です。
また先の著書には光軸を傾けて像が悪化するのを補正する為に二次鏡を僅かに凸面とすることについて言及していることからもそう考えます。軸外し鏡の製作に関する記述もありません。

実際に製作した経験からは、小口径長焦点反射鏡ならば球面に近い滑らかな面であれば十分実用になります。

おそらく3面貼り付けは治具に隙間無く揃えて貼り付けたものを準備して、R1400mmの凸球面に加工した鉄ザラとガラス盤を交互に用いて砂ずりを行ったのだと想像します。艶出しは別のガラス材で製作したピッチ盤を使い、砂目が取れた時点で、最後の整形段階で治具から外してそれぞれを放物面化したのだろうと考えます。艶出しの際に強烈なターンダウンが生じるので周囲を削り取る必要があったのでしょう。
その後の縮小加工、鏡筒の製作誤差や、反射鏡面の再鍍銀後の組み立てのこと(光軸方向を揃える必要性)等を考えると軸外し鏡はやはり不適当に私には思われますが、いかがでしょうか。

その辺の検証も含めて実物がありましたら、観てみたいです。

中村氏がハーシェルニュートン用ミラーとしながらもあえて放物面鏡にしたのは、研磨技術者としての自負もあったかもしれませんが、おそらくは放物面化という重要な整形研磨技術の習得のためだったろうと想像します。
最後に編集したユーザー 富田 [ 2024年4月30日(火) 13:52 ], 累計 2 回
アバター
ガラクマ
記事: 530
登録日時: 2023年6月07日(水) 21:16

Re: 難関!「GENERAL GATAROGUE 部理代学科の供子報画学科」の望遠鏡

投稿記事 by ガラクマ »

富田様、皆様
 失礼しました。やっと見つけました。5㎝の標準仕様と制作法の記載です。

硝子径 54㎜
研磨面 52.5㎜
有効表面51㎜
厚さ   9㎜±1.5㎜
硝子材の種類は Pilkington 軟
   St.Gobain 良質
   Mnion 剛・不良
Focal length 70㎝
      depth    parabolizing
F 70㎝ f14  0.2232142 0.0000181 1/33 D.W.L
  75㎝ f15  0.2083333 0.000015 1/40 D.W.L
Hershel-Newtonianとして、少しCovexなるdiadonalを使用して、Astigmationをとる

         ( 中略 )

制作法
RをそろえるためにIron toolなどGlass toolを混用し通常三個同時制作す

原鏡はdia 60ミリ face58ミリのglassを使ひ Face upで研磨を始め 次に30分の後Face downとして Hyperbolaとして、CenterをあげSpbera近くし、最後のFiguringを行ふ 表面は通常 Nefにより研磨し平均二時間を要す

制作後 方法上、止むを得ざるTurndown edgeを除く為に dia54mm Face52mmまで切取る。従って甚だしく有害なTurndownは存在せざるはず。


前半最後の行のCovexはconvex(凸面)のことでしょうか?
Spbera,Nefの意味が分かりかねます。
一応書いたものを写したつもりですが、 筆記体のfとb、jとz等の判別が難しく間違っているかもしれません。

大筋、皆さんがご紹介された内容のようです。
ちなみにこれらの鏡は、NKMではなくH.Mで1から44まであるようです。他にNKMでも同じスペックのものを3枚みつけました。これ以前の試作かもしれません。
 プライベートメッセージです
「M」
記事: 30
登録日時: 2023年7月29日(土) 19:25

Re: 難関!「GENERAL GATAROGUE 部理代学科の供子報画学科」の望遠鏡

投稿記事 by 「M」 »

ガラクマさん 富田さん 皆さん こんにちは
ガラクマ さんが書きました: 前半最後の行のCovexはconvex(凸面)のことでしょうか?
Spbera,Nefの意味が分かりかねます。
凸面...プリズムの面が凸==反射面は凹ということかしら?
しかし
富田 さんが書きました: 二次鏡を僅かに凸面とすることに言及している
のですか...僅かに凸面というのも結構ムズカシイと思いますけれど。
※そういえば、F12(以上)の(回転対称)放物面主鏡と軽度の凹toric鏡を組み合わた形式がありましたね。

「Spbera」に近いのは「Sphere」かな?

「Nef」は「Net」 ??
中村 さんが書きました: 従って甚だしく有害なTurndownは存在せざるはず。
という書きぶりからは、(フーコーなどの)テストなしで量産...という感じを受けます。
アバター
ガラクマ
記事: 530
登録日時: 2023年6月07日(水) 21:16

Re: 難関!「GENERAL GATAROGUE 部理代学科の供子報画学科」の望遠鏡

投稿記事 by ガラクマ »

 補足ですが、ノートの情報はすでに関係情報があったものですのでうつしましたが、私から聞いたとダイニックさんへの問い合わせや、他のサイトへのコピー、転送はご勘弁ください。過去もありましたが、ちょっと困ります。
宜しくお願いいたします。

 ・diadonalは、サッカーでダイアゴナルランとかいうように、斜めということでプリズムとは限りません。ミラーですね。
 ・Spberaは、ご指摘のようにSphere(球)ですね。私の読み間違いのようでした。ありがとうございます。
 ・Nefは確かにNetにも読めれますが字体だけでは判別できませんが、意味からしてNetの可能性大とは思います。
 ・フーコーテストは全鏡しているようです。一枚ごとにフリーハンドで表面のカーブの記録があります。
  確か端でターンダウンしているのが多いです。
 ・depth/parabolizingの横位置がなぜかどうやってもうまく合いませんが、0.2232142/0.0000181等の値のことです。
  球面と放物面、両方気にしていることが分かります。値の読み方は気になります。
 プライベートメッセージです
富田
記事: 16
登録日時: 2023年6月12日(月) 18:16

Re: 難関!「GENERAL GATAROGUE 部理代学科の供子報画学科」の望遠鏡

投稿記事 by 富田 »

M様

曲率を問わなければ弱凸の光学平面の製作は研磨技術的にそれほど困難ではありません。
中村氏はニュートン用の斜鏡平面はもちろん、時には直角プリズムも自ら研磨したと考えます。
光学平面の研磨の基本は、砂ずり終了時に凸面とし、ピッチ盤での艶出し終了頃に弱凸面となるようにします。下向き研磨による整形において凸面が凹面に移行する際、丁度平面となった時点で研磨を終了します。つまり光学平面の製作過程で必然的に弱凸面鏡が得られます。
手間は掛かりますが、中村氏でしたら技術的には全く問題なかったと考えます。また正確な曲率を持つ楕円曲面までは念頭にはなく、実際には平面研磨時、整形を平面化直前で止めた斜鏡を使ったのだろうと想像します。
ハーシェルニュートン式反射望遠鏡の試作段階では、二次鏡面として弱凸面の斜鏡を製作したと考えます。その後、普通の斜鏡や直角プリズムを用いても実質的には問題がない事が分かり、著作のような記述になったと考えます。

実際の量産にあたっては、主鏡のみを製作提供して、その他の製作と組み立てはメーカーに任せ、二次鏡は既製の平面鏡やプリズムを用いたのだろうと思います。
最後に編集したユーザー 富田 [ 2024年4月06日(土) 12:50 ], 累計 4 回
富田
記事: 16
登録日時: 2023年6月12日(月) 18:16

Re: 難関!「GENERAL GATAROGUE 部理代学科の供子報画学科」の望遠鏡

投稿記事 by 富田 »

ガラクマ様

詳細な情報をありがとうございます。
個々の鏡面についてフーコー像のスケッチが残っているとは驚きです。
そのことからも、やはり最後は一つ一つの鏡を球面から放物面へ整形したこと、また軸外し鏡では無かったことが伺えます。

数値の前半は、理想放物面の場合の、フーコーテストでの鏡の中心と鏡周部とのナイフ移動量を示しています。その値から中村氏が光源とナイフが同時に移動するタイプのフーコーテスターを用いていたことが分かります。
光源固定のものよりも移動量が半分となるので、測定感度も半減し、より難しかったと思います。

機会がありましたら、ガラクマ様からスケッチの詳細をぜひ教えていただきたいです。
最後に編集したユーザー 富田 [ 2024年4月06日(土) 12:16 ], 累計 1 回
還暦α
記事: 117
登録日時: 2023年6月20日(火) 12:59

Re: 難関!「GENERAL GATAROGUE 部理代学科の供子報画学科」の望遠鏡

投稿記事 by 還暦α »

皆様こんにちは

3枚同時に研磨するのは曲率を合わせることが目的だったんですね。
小口径のレンズ研磨では一般的な手法ですね。

失礼いたしました。
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