実体顕微鏡の接眼レンズ

初心者はもとより、調べても分からないことは、聞いてみましょう
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ガラクマ
記事: 527
登録日時: 2023年6月07日(水) 21:16

実体顕微鏡の接眼レンズ

投稿記事 by ガラクマ »

 通常の金属顕微鏡や生物顕微鏡は、おもちゃでない限り、少なくとも1970年代には無限遠(補正)光学系となっていたと思います。合成?焦点距離は250㎜で10倍の接眼レンズは焦点距離25㎜の天体望遠鏡用レンズとして、問題なく使えるものと思ってます(総合的に補正するという考えもないらしいです)。
https://www.olympus-ims.com/ja/microsco ... feature15/

 一方、実体顕微鏡用の接眼レンズは使ったことがないのでよくわかりませんが、どう違うのでしょう?
各社共通で焦点距離は10倍が25㎜なんでしょうか(どっかで180㎜とか聞いたような・・)?
 接眼レンズを分けているメーカーもあるようです。

 ちょっと聞かれてつまりました。
 プライベートメッセージです
「原」
記事: 349
登録日時: 2023年6月14日(水) 19:16

Re: 実体顕微鏡の接眼レンズ

投稿記事 by 「原」 »

顕微鏡のアイピースの倍率は、基本的にルーペの倍率表記と同じで 250mm÷焦点距離=倍率 という扱いです。肉眼で250mmの位置で物を見た大きさの何倍か?という概算でつけられています。
厳密には目の焦点距離の変化や正しいアイポイントの位置からのズレとかも倍率に効くので、あくまでも概算値です。

例えば焦点距離の長いレンズほど概算値と厳密値に乖離が生じます。300mmのレンズでは概算値だと0.8倍位となってしまいますが、実際にルーペとして使ってみるとちょっと大きく見えます。
また、望遠鏡や双眼鏡で、接眼部から目を離して行くと倍率が下がっていくのもわかると思います。
左右で目の視度が大きく違う場合、双眼鏡の視度補正をしてピントを各々合わせても左右で倍率が微妙に違って立体視できない場合もあります。
これらは目と目の焦点距離の状態と、レンズの間隔によって厳密な倍率が変わるためです。
でも、物理的な焦点距離は 250mm÷倍率 でOKです。


一方で、顕微鏡の対物レンズや筐体は、有限遠補正光学系の対物レンズと接眼レンズの間隔に規格がありました。
https://xlab.leica-microsystems.com/blo ... /obj_21jan
の機械筒長がそれです。対物レンズの収差補正はこれらの値を基準に行われているので、違う長さの筒につけると性能が出ません。幸いにして大半が160mmの規格に乗ってますが、
https://inst-smallworld.blogspot.com/20 ... ost_5.html
にあるように異なる値の製品もあります。小学生用の小型顕微鏡だと100mmくらいしかない物も多いです。
まあ、天文用には関係ない話ではありますが。。。
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ガラクマ
記事: 527
登録日時: 2023年6月07日(水) 21:16

Re: 実体顕微鏡の接眼レンズ

投稿記事 by ガラクマ »

 原さん。わかりやすい解説ありがとうございます。

 有限補正光学系の場合、10倍は違う焦点距離(16㎜?)でないかと思ってましたが、25㎜でよいということですね。
 実体顕微鏡は、有限光学系が多いのではないかと思ってましたが、オリンパスの至れりつくせりの機能の実体顕微鏡を見ていると、結像レンズがヘッドのほうについた無限遠補正光学系でないと無理と思ってしまいます。
鏡胴長自体伸びるのは知りませんでした。
 https://www.olympus-ims.com/ja/microsco ... ntent13625

 接眼レンズについてどこかのサイトで、総合倍率が低いし目的から、限界分解能より焦点深度や自然にみえることをポイントに作ってある、と感覚的なことが書かれてました。
 プライベートメッセージです
還暦α
記事: 117
登録日時: 2023年6月20日(火) 12:59

Re: 実体顕微鏡の接眼レンズ

投稿記事 by 還暦α »

原様、皆様こんにちは。

顕微鏡の倍率が 250mm÷焦点距離=倍率 というのは知りませんでした。(勉強不足です)

仕事で顕微鏡光学系を扱っているのですが、接眼レンズは使わずにカメラで観察しています。
天体望遠鏡でいえば直焦点と同じです。

無限遠系対物レンズの焦点距離は結像レンズとの比で倍率が決まるのでメーカーによって焦点距離が違っています。
例えばニコンとミツトヨの結像レンズは焦点距離200mm、オリンパスの結像レンズは焦点距離180mmです。
ニコンやミツトヨの対物レンズにオリンパスの結像レンズを組み合わせると対物レンズに表記されている倍率の
0.9倍になってしまいます。
オリンパスは昔から部品のばら売りをしていたので結像レンズのみを購入することが出来ました。
これに対しニコンはばら売りをしていなかったので上記のような組み合わせの物を多く作ってきました。
(今はニコンもばら売りしているように思いますが使っていません)

原様

接眼レンズは有限遠系の場合は対物レンズで、無限遠系の場合は対物レンズ+結像レンズで出来た像を拡大するので
どのメーカーの物も倍率が同じであれば、ほぼ同じ焦点距離という理解で良いでしょうか?
(有限遠系、無限遠系、鏡筒長、結像レンズの焦点距離、どれも関係ない?)
「原」
記事: 349
登録日時: 2023年6月14日(水) 19:16

Re: 実体顕微鏡の接眼レンズ

投稿記事 by 「原」 »

顕微鏡の倍率、ではなく、ルーペとしての接眼レンズの倍率が 250mm÷焦点距離 です。
有限遠補正光学系の場合は添付ファイルの絵のような関係で、10倍の対物レンズで、機械筒長160mmの場合、対物レンズの焦点距離は約14.6mmくらいとなります。

そして、10倍に拡大された空中像を接眼レンズで拡大する倍率が、焦点距離25mmなら10倍ということで、10x10の総合倍率が100倍となります。でも、概算ですので、0.1mm刻みのレチクルをスライドガラス側に置き、接眼レンズの絞りの位置にもレチクルを置き、実際の拡大率を確認/補正します。このため顕微鏡のアイピースには絞りの径が書かれていて、10x/20なら視野絞り径が20mmとわかるようになっています。
イメージ128950.jpg
還暦α
記事: 117
登録日時: 2023年6月20日(火) 12:59

Re: 実体顕微鏡の接眼レンズ

投稿記事 by 還暦α »

原様、皆様こんにちは。

原様、解説ありがとうございました。

接眼レンズの倍率が 250mm÷焦点距離 というのは決まり事なんですね。
メーカーに寄らず同じ倍率であれば同じ焦点距離、10倍の顕微鏡接眼レンズは焦点距離25mm、
20倍の接眼レンズは焦点距離12.5mmで実体顕微鏡、生物顕微鏡、金属顕微鏡など種類が違っていても
すべて同じと理解しました。

例外があるとすればおもちゃの顕微鏡でしょうか。
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