曇天会議（CloudyMeeting）

経緯台の水平微動と上下微動（垂直微動）のどちらかを優先するとしたら、どちらを選びますか？
私は上下微動です。
ドブソニアンならいずれもありませんが、もし付けることができるなら上下微動を優先します。
どうしても上下動の方が、バランスをとるのが難しくて微細な動きが取りづらいからです。
小学生の時に買ってもらったコル（キング商会）の5センチ屈折経緯台には水平微動はなかったけど、竿式の上下微動があって重宝しました。
高校生の時に自作した12センチ反射経緯台も何とか工夫して上下微動を付けました。（当時はまだドブソニアンというアイデアがありませんでした。）
こんなことを思ったのは、先日、横浜の大佛次郎記念館に行き、開催中の野尻抱影展で、彼の愛機として有名なロングトムの実物を見たからです。
https://osaragijiro-museum.jp/theme-exhibition/15004
https://osaragijiro-museum.jp/blog/15598
10センチでF10以上あると思われるニコン特製の屈折経緯台です。水平微動はあるのですが、上下微動がないのです。高さを調整するためのハンドル付きギア式のエレベータはありますが、上下微動は見あたりませんでした。長い鏡筒で上下微動がないととても使いづらかったのではないかと思われるのですが、どうだったんでしょうね。
実物のロングトムを使った観望会が開かれるとも聞きました。ご近所で行ける方がいらっしゃいましたら、お試しいただけると幸いです。

　私もどちらを選ぶかというと、絶対上下微動です。
特にフォーク式には必須です。
そりゃミザールエース型のように、フォーク軸にフリクションを加えられるものはいいですが、横から押さえるだけ、置いただけだったら、カメラとは言わないまでも、少し重いアイピースやプリズムを取り付けたら、この竿がないとカクって逝っちゃいます。
　微動にも重宝しますが、上下支持として離れた２点で支持し、金属穴に棒をさし、それ自体が高度によって棒の支持部と穴金具両方の角度が変わるストレスがフィリクションとして絶妙に機能します。
小型屈折望遠鏡のこの簡単な機構は、コスパ最高と思います。

８月１−２日に２回、ロングトムで観望会
関東の方は是非。

100歳の望遠鏡”ロング・トム”で月を観よう！
横浜市中区山手町１１３ | By 大佛次郎記念館

https://osaragijiro-museum.jp/event/kanboukai
https://long-tom81.peatix.com/
https://peatix.com/event/4432428

展示では、ロングトムは、日本光学の10センチ屈折経緯台の最初のロットだったことの説明がありました。シリアルナンバーの001のようなマークもありました。
「昔欲しかった望遠鏡」の古スコ情報倉庫－古スコ資料館に残されている日本光学ニコンの総合カタログ1926・1927ともに該当すると思われる機種が見られます。
https://yumarin7.sakura.ne.jp/retrokan/ ... 26No15.pdf
https://yumarin7.sakura.ne.jp/retrokan/ ... 27No16.pdf
ただし、カタログの図を見ると10センチは片持ちで上下方向にも微動があるようです。上下、水平ともに微動ハンドル棒はユニバーサルジョイントで架台につながっているように見えます。
ロングトムは上下はフォークで、また、微動がないので、上記のカタログとは違いがあります。水平はユニバーサルジョイントでハンドル棒につながっていました。
最初のロットのタイプでは、上下（垂直）方向が使いにくかったため、改良が加えられたのがカタログの機種かもしれません。
なお、ロングトムの上下のフォークの軸をはさむ部分には、はさむ圧でクランプがかかるようになっていました。この圧で粗動の具合を調整することが想定された造りだったこともあるかもしれません。

ほとんどの皆さんが同じとは思いますが、私は上下微動です。
そういえば、上下微動は部分微動でもあまり不便なく使えるのに、水平微動は全周微動でないとかったるいときがあります。もちろん部分微動でも、ないよりあった方が良いですが。