手持ちの望遠鏡をロンキーテスターで評価してみた!
Posted: 2025年4月20日(日) 18:43
天気が悪い日は機材いじり・・・っと。
久々に所有する屈折望遠鏡についてロンキー試験を実施してみました。
現行品について行い、公開すると色々問題が出るかもしれないので、既に販売中止になっている機材のみ。
最近のアポクロマートは本当に優秀で、測定しても、軒並みお宝クラスになるので面白くありません。
やはり、硝材や研磨方法に制限があり、それでも何とか良いものを・・・と技術者が苦労していた時代のものが、コンセプトが透けて見えて楽しいです。
皆さんも、測定環境があれば、コメントを入れて発表して頂ければ楽しいですね。
因みに、天文ガイドで実施していた当時と同じように4~5本位の縞が見える様に調整し、全て焦点内像となっております。
なお、今回の測定機材は単身赴任先においてあるごく一部の機種です。
反響によって追加測定するかもしれません(笑
1)五藤光学 80mmアクロマート Φ80mm f15
往年の名機。
基本に忠実なアクロマート鏡筒の標準。
評価は全て、この鏡筒を比較対象として行っています。
明るい月等を見ると色付きが目立つが、極めてシャープな像を結びます。
口径×20倍もの倍率をかけても像の破綻は微小。
当方の所有する個体はやや糸巻状の縞の乱れがあり、他の個体と比較して収差がありそうです。
2)タカハシ製 SYK90 2枚玉フローライトアポクロマート Φ90mm f5.6
発表当時(2000年)、常識外れの明るい望遠鏡で驚いた記憶があります。
5年落ちくらいで購入しましたが、今でもポルタⅡ経緯台と組み合わせて頻繁に使っています。
流石に最近の硝材を多数使って補正しているものと比較すると各種収差を感じますが、軽さは力ですね。
色収差は殆どありませんが、わずかに湾曲収差があります。
でも2枚玉でここまで健闘しているのは流石です。
3)五藤光学製 2枚玉セミアポクロマート Φ80mm f12.5
1976年に発表されたMARK-X赤道儀と一緒に発表された望遠鏡。
当時はf15のアクロマートが普通で、アポクロマートって何?と思ったものです。
赤道儀とセットで購入すると少し値引きされる特典があったため、当時、別の望遠鏡を購入しようと思っていた資金と親への借金で購入したものです。
明るい月等を見ると、青の色収差が見えますが、アクロマートの様に視野全体に収差捕色の黄色が広がってコントラストが落ちる事が無かった為、バックの黒締りが異様に良かった記憶があります。
流石に最近のアポクロマートと比較すると色収差が目立ちますが、無理のない設計と相まって、極めてシャープな像を結びます。
最近の多数枚の硝材を用いている望遠鏡と比較すると一段、コントラストが上だと感じます。
4)タカハシ製 FC-125 2枚玉フローライトアポクロマート Φ125mm f8
1981年販売の単層コート品。
ご多分に漏れずフローライト揮発成分の影響で、相方の硝材が真っ白に曇った為、ヨシカワ光機さんに依頼して実用可能レベルまで修復して頂き現在に、至ります。
当時、フローライトを用いた製品の相方は必ずマルチコートする様に指示されていたのに、なぜ、タカハシは指示を無視して単層コートにしたのでしょうか?
単なるコストダウンの可能性が大ですが、おかげで大枚をはたいて購入した鏡筒の多数が×になっています。
指示に忠実に従ったビクセン鏡筒は曇り等の問題は皆無です。
さて、修復して頂き7年ほど経ちますが、わずかに白化が進行してきている様です。
ロンキー像を見ても、明らかにコントラストが悪いのが判ります。
但し、実視では明るい月等を見ない限り、気にならないのは不思議です。
収差補正は2枚玉フローライトそのもので、非常に良好。
但し、フローライトとはいえ、口径が大きくなると僅かに色収差が出るであろうと判る縞ですね。
少々重いため、稼働率が低く、防湿庫内の肥やしとなるつつあります(泣
5)笠井トレーディング扱 ネリウス127EDT 3枚玉EDアポクロマート Φ127mm f7.5
2008年販売。
第一世代のED硝材(FPL-51相当品?)を用いているため、3枚玉にしても色が目立つ。
現在のレベルでは、アポクロマートというのはやや厳しいか?
視野はやや湾曲収差があり、高視野アイピースを用いて意地悪に観ると、周辺は同心円状の星像崩れがある。
但し中心像は極めてシャープで、惑星等を観望する場合は口径と相まって非常に良く見える鏡筒である。
この鏡筒も重いため(FC125よりは軽いが・・・)積載する架台を選び、稼働率が低くなっています。
6)ミザール製 SD102R 2枚玉SDアポクロマート Φ102mm f9.8
ミザール社が、自社開発をしていた最終時期(1997年頃)に総力をあげて作り上げたSDアポクロマート鏡筒。
片方の硝材にランタン系レンズを使っているのが非常に珍しい鏡筒です。
昔から欲しいと思っていたのだが、ようやく縁あって入手できた逸品。
当時、流行の写真撮影を考慮していない作りの為が、販売数は少なく、今まで見たことがありませんでした。
入手してから判ったのですが、安価なアクロマート鏡筒と部品を共用している関係か、高級感は皆無でチープさが目立ちます。
一方、その為か、非常に軽量(10cmアポで2.8Kgは凄い!)な為、どこに行くにもひょいともって行けるのは利点。
最周辺にやや乱れがある様だが、眼視で像の乱れは認められない。
2枚玉アポクロマートとしてはごくごく標準的な鏡筒だと思う。
7)ビクセン製 NA140SS 4枚玉ネオアクロマート Φ140mm f5.7
一時期、大陸製の大口径アクロマート(φ150mm f8)が流行りましたが大きすぎて持て余し気味。
小型の短焦点(φ150mm f5)タイプは軽いのだが、いかんせんすさまじい色付きと、湾曲収差大で低倍率で星を見ても周辺がぐるぐる回っているのが直ぐに判る様な機材でした。
ビクセンのネオアクロマートはアクロマートの色収差には目をつぶって、視野の平坦さを4枚玉にする事で達成した意欲品(迷品?)でした。
お気楽観望時の双眼望遠鏡に使えないか試しに入手してみた機材。
盛大な色収差とフラットフィールドという、何となく違和感のある鏡筒でした。
残念ながら重すぎたので双眼化に適さないと判断してお蔵入りした鏡筒です。
縞のコントラストが良い事から判る様にすっきりとした視野と色付いた恒星像というある意味、無味乾燥な視野になりがちな星見で見ていて飽きない(笑)望遠鏡でした。
因みに高倍率にも十分耐えられる精度があったと思います(最近使っていないので忘れたw)
久々に所有する屈折望遠鏡についてロンキー試験を実施してみました。
現行品について行い、公開すると色々問題が出るかもしれないので、既に販売中止になっている機材のみ。
最近のアポクロマートは本当に優秀で、測定しても、軒並みお宝クラスになるので面白くありません。
やはり、硝材や研磨方法に制限があり、それでも何とか良いものを・・・と技術者が苦労していた時代のものが、コンセプトが透けて見えて楽しいです。
皆さんも、測定環境があれば、コメントを入れて発表して頂ければ楽しいですね。
因みに、天文ガイドで実施していた当時と同じように4~5本位の縞が見える様に調整し、全て焦点内像となっております。
なお、今回の測定機材は単身赴任先においてあるごく一部の機種です。
反響によって追加測定するかもしれません(笑
1)五藤光学 80mmアクロマート Φ80mm f15
往年の名機。
基本に忠実なアクロマート鏡筒の標準。
評価は全て、この鏡筒を比較対象として行っています。
明るい月等を見ると色付きが目立つが、極めてシャープな像を結びます。
口径×20倍もの倍率をかけても像の破綻は微小。
当方の所有する個体はやや糸巻状の縞の乱れがあり、他の個体と比較して収差がありそうです。
2)タカハシ製 SYK90 2枚玉フローライトアポクロマート Φ90mm f5.6
発表当時(2000年)、常識外れの明るい望遠鏡で驚いた記憶があります。
5年落ちくらいで購入しましたが、今でもポルタⅡ経緯台と組み合わせて頻繁に使っています。
流石に最近の硝材を多数使って補正しているものと比較すると各種収差を感じますが、軽さは力ですね。
色収差は殆どありませんが、わずかに湾曲収差があります。
でも2枚玉でここまで健闘しているのは流石です。
3)五藤光学製 2枚玉セミアポクロマート Φ80mm f12.5
1976年に発表されたMARK-X赤道儀と一緒に発表された望遠鏡。
当時はf15のアクロマートが普通で、アポクロマートって何?と思ったものです。
赤道儀とセットで購入すると少し値引きされる特典があったため、当時、別の望遠鏡を購入しようと思っていた資金と親への借金で購入したものです。
明るい月等を見ると、青の色収差が見えますが、アクロマートの様に視野全体に収差捕色の黄色が広がってコントラストが落ちる事が無かった為、バックの黒締りが異様に良かった記憶があります。
流石に最近のアポクロマートと比較すると色収差が目立ちますが、無理のない設計と相まって、極めてシャープな像を結びます。
最近の多数枚の硝材を用いている望遠鏡と比較すると一段、コントラストが上だと感じます。
4)タカハシ製 FC-125 2枚玉フローライトアポクロマート Φ125mm f8
1981年販売の単層コート品。
ご多分に漏れずフローライト揮発成分の影響で、相方の硝材が真っ白に曇った為、ヨシカワ光機さんに依頼して実用可能レベルまで修復して頂き現在に、至ります。
当時、フローライトを用いた製品の相方は必ずマルチコートする様に指示されていたのに、なぜ、タカハシは指示を無視して単層コートにしたのでしょうか?
単なるコストダウンの可能性が大ですが、おかげで大枚をはたいて購入した鏡筒の多数が×になっています。
指示に忠実に従ったビクセン鏡筒は曇り等の問題は皆無です。
さて、修復して頂き7年ほど経ちますが、わずかに白化が進行してきている様です。
ロンキー像を見ても、明らかにコントラストが悪いのが判ります。
但し、実視では明るい月等を見ない限り、気にならないのは不思議です。
収差補正は2枚玉フローライトそのもので、非常に良好。
但し、フローライトとはいえ、口径が大きくなると僅かに色収差が出るであろうと判る縞ですね。
少々重いため、稼働率が低く、防湿庫内の肥やしとなるつつあります(泣
5)笠井トレーディング扱 ネリウス127EDT 3枚玉EDアポクロマート Φ127mm f7.5
2008年販売。
第一世代のED硝材(FPL-51相当品?)を用いているため、3枚玉にしても色が目立つ。
現在のレベルでは、アポクロマートというのはやや厳しいか?
視野はやや湾曲収差があり、高視野アイピースを用いて意地悪に観ると、周辺は同心円状の星像崩れがある。
但し中心像は極めてシャープで、惑星等を観望する場合は口径と相まって非常に良く見える鏡筒である。
この鏡筒も重いため(FC125よりは軽いが・・・)積載する架台を選び、稼働率が低くなっています。
6)ミザール製 SD102R 2枚玉SDアポクロマート Φ102mm f9.8
ミザール社が、自社開発をしていた最終時期(1997年頃)に総力をあげて作り上げたSDアポクロマート鏡筒。
片方の硝材にランタン系レンズを使っているのが非常に珍しい鏡筒です。
昔から欲しいと思っていたのだが、ようやく縁あって入手できた逸品。
当時、流行の写真撮影を考慮していない作りの為が、販売数は少なく、今まで見たことがありませんでした。
入手してから判ったのですが、安価なアクロマート鏡筒と部品を共用している関係か、高級感は皆無でチープさが目立ちます。
一方、その為か、非常に軽量(10cmアポで2.8Kgは凄い!)な為、どこに行くにもひょいともって行けるのは利点。
最周辺にやや乱れがある様だが、眼視で像の乱れは認められない。
2枚玉アポクロマートとしてはごくごく標準的な鏡筒だと思う。
7)ビクセン製 NA140SS 4枚玉ネオアクロマート Φ140mm f5.7
一時期、大陸製の大口径アクロマート(φ150mm f8)が流行りましたが大きすぎて持て余し気味。
小型の短焦点(φ150mm f5)タイプは軽いのだが、いかんせんすさまじい色付きと、湾曲収差大で低倍率で星を見ても周辺がぐるぐる回っているのが直ぐに判る様な機材でした。
ビクセンのネオアクロマートはアクロマートの色収差には目をつぶって、視野の平坦さを4枚玉にする事で達成した意欲品(迷品?)でした。
お気楽観望時の双眼望遠鏡に使えないか試しに入手してみた機材。
盛大な色収差とフラットフィールドという、何となく違和感のある鏡筒でした。
残念ながら重すぎたので双眼化に適さないと判断してお蔵入りした鏡筒です。
縞のコントラストが良い事から判る様にすっきりとした視野と色付いた恒星像というある意味、無味乾燥な視野になりがちな星見で見ていて飽きない(笑)望遠鏡でした。
因みに高倍率にも十分耐えられる精度があったと思います(最近使っていないので忘れたw)