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Re: ケーニッヒという接眼レンズ
Posted: 2025年4月11日(金) 20:45
by 「M」
ガラクマ さん 木村 さん みなさん こんにちは
木村 さんが書きました:
だけど,20cm以上の対物レンズを自作する人も,たまにいます.その時,新種ガラスは止めた方が良いってのが自分の感想です.BK7+F2の古典的な組み合わせで25cmと,同時期にフリント側に新しいガラスを使った同口径の人の,2人が同時期に挑戦してた事がありました.私は前者の光学設計役でした.フランフォーファー型をモディファイしたもので,第2,第3曲率を等曲にしてガラス間隔をパラメータ化にした独自の設計です.
前者は完成したのです.
昔、(東所沢=斉藤さんとこ,で売っていた硝材で?)大きなレンズを作っているという話を
聞いたことがあります。 「砂掛けはパイレックスと似たようなもので問題なしだが、
砂目とり(艶だし)がなかなかできない」とか...。 残念ながら続報は届きませんでした。
似たような経験をされたのでしょうか? それとも問題なしだったのでしょうか?
大きなレンズの研磨経験者(あるいは、そばからの観察経験者)から具体的な話を
聞く機会は希少・貴重です。 研磨だけでなく測定/試験も小口径の鏡とは「桁違い」の
作業と想像します。さしつかえない範囲で(「自作・改造/Making」にでも)
投稿していただけるとありがたいのですが。
ガラクマ さんが書きました:
露光装置はサポーターの遮蔽(回折)も許されないので、軸外ししかないのでしょうね。
それがですね、新竹 教授(OIST)の資料:-
https://shingi.jst.go.jp/pdf/2024/2024_OIST_005.pdf
をながめていたら、「中央遮蔽のあるほうが解像度が上がる」という意味の説明を
見つけました。
※「露光装置は、惑星観測(コントラスト優先)用より重星観測(分解能優先)用に
※近い(!?)」と、(思わず)ニッコリしたことでした。
Re: ケーニッヒという接眼レンズ
Posted: 2025年4月12日(土) 23:21
by 木村
手が混んでるので,短文だけで失礼します.
>砂目とり(艶だし)が難しい
F2は軟らかいので,研磨時間が2倍はかかります.また,F2用に,普通は使われない8千番の研磨材が用意されました.(蛍石レンズの艶出しでの,噂話をヒントにしてました.)しかも,磨く研磨面は合計6面にもなるのと,反射主鏡の3倍は深く掘り込みますから,準備段階で専用の研磨機と,ダイヤモンドのカーブジェネレーターが手作りされてました.
ガラス材の出生は妖しくて,既にリトロー型のアクロマートしようとした痕跡があったのを,そのF2の方を自称主鏡磨きが得意といういい加減なアマチュアが,反射鏡にしようと荒ズリしかけて止めてしまったのを,ただで貰ってきたそうです.残っている厚さを計ったら,以前からやってみたかった対物の設計に必要な厚さ+4㎜の厚さが残っていました.もう,ぎりぎりもギリギリでしたが,友達は1㎜有れば主鏡1面磨けるから,4㎜有ればレンズの2面を磨いてみせる,と言ってくれました.そして,天竺への旅が始まったわけです.
>「中央遮蔽のあるほうが解像度が上がる」
そのパワポ資料の「1ピッチのコントラスト」だけ見ると,コントラストが上がってるので穴の影響は,むしろ良い方に効いているように見えますが,その上の「パターニングのシミュレーション」が理解できないので,説明して欲しいところです.上の図では,やっぱりコントラストは下がる気がしますけど.
ただし,中央に穴がある主鏡の像は,対象である物体の大きさに対し,ある特定の直径の穴の時には逆にコントラストが上がる事はあるはずです.似たような手法に,2重星を分解して検出するに「超分解能」とか言って,対物の真ん中に大きな丸い遮蔽を入れる方法が有ったと思います.ただし「検出」です.見えるという意味ではありません.(直交方向に,離れた2つの光が現れる)
Re: ケーニッヒという接眼レンズ
Posted: 2025年4月13日(日) 23:56
by 「M」
木村 さん こんにちは
残念ながら予備知識が足りず、せっかく早々に返答していただいたのに、ついていけていません。
『吉田正太郎,天文アマチュアのための 新版 屈折,2005』 を参照しながら理解しようとしています。
「M」>砂目とり(艶だし)が難しい
木村>F2は軟らかいので,研磨時間が2倍はかかります.また,F2用に,普通は使われない8千番の
木村>研磨材が用意されました... 磨く研磨面は合計6面にもなる...
※6面? 2面は治具用でしょうか?
木村>反射主鏡の3倍は深く掘り込みますから,準備段階で専用の研磨機と,ダイヤモンドの
木村>カーブジェネレーターが手作りされてました.
※1組のレンズ製作用としては「贅沢」ですね!「ダイヤモンドカーブジェネレーター」はring型でしょうか?
木村>リトロー型の...F2の方を...反射鏡にしようと荒ズリしかけて止めてしまったのを...
参考書の「6.対物レンズ」にBK7+F2のリトロー型F20の例があります。
これを口径250[mm]に拡大すると...F20なのでf=5000[mm]ですので
倍率は50x。F2の前面の凹の曲率半径は45[mm]*50=2250[mm]=250x9ですので反射鏡面
としてはF4.5相当...ということで合ってますかね。(「付け焼き刃」:-)
木村>対物の設計に必要な厚さ+4㎜の厚さが残っていました....友達は1㎜有れば主鏡1面磨けるから
木村>4㎜有ればレンズの2面を磨いてみせる,と言ってくれました.
※このあたりもよくわかりません... ... ...。
BK7後面とF2前面の曲率半径が同じ,ということですので「トモズリ」(でしたっけ?)
なのかな?と思っていたのですが、材料の厚さに余裕がなく「カーブジェネレーター」の
出番となったということでしょうか? 「盤」(=tool)は別に(たとえば石膏で?)作ったのでしょうか??
繰り返しになりますが、折角貴重な時間を割いてくださっての投稿も理解できないのでは申し訳あり
ません。 「まったり」「ゆるゆる」まいりたいと思いますので、よろしくお願いします。
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「M」>「中央遮蔽のあるほうが解像度が上がる」という意味の説明を見つけました。
※原文は「ミラー孔の影響はない むしろ向上している」
木村>そのパワポ資料の「1ピッチのコントラスト」だけ見ると,コントラストが上がってるので穴の影響は,むしろ良い方に効いているように見えますが,
木村>その上の「パターニングのシミュレーション」が理解できないので,説明して欲しいところです.
はい、説明欲しいです!
木村>中央に穴がある主鏡の像は,対象である物体の大きさに対し,ある特定の直径の穴の時には
木村>逆にコントラストが上がる事はあるはずです.
木村>似たような手法に,2重星を分解して検出するに「超分解能」とか言って,
木村>対物の真ん中に大きな丸い遮蔽を入れる方法が有ったと思います.
木村>ただし「検出」です.見えるという意味ではありません.(直交方向に,離れた2つの光が現れる)
「直交方向に,離れた2つの光が現れる」???もうすこし説明していただけませんか?
※「干渉系」の気がしますが...? (e.g. スペックル干渉法)
※(「干渉計」というと師匠から「干渉装置でしょ?」と「ツッコミが入ったことがありました」:-)
Re: ケーニッヒという接眼レンズ
Posted: 2025年4月16日(水) 00:27
by 木村
>1組のレンズ製作用としては「贅沢」ですね!
いや,Mさんは下知識が無いので理解できないでしょうけど,これは貧乏も貧乏,とんでもなく貧乏な作戦です.
少し説明すると,アクロ1セットの面は4面です.それぞれに,共擦りする相手のガラスが必要です(ツールガラスと呼びます).安い青板ガラスを使います.これも25cmが必要です.青板ガラスは,共擦りの砂ずりから始まって,最終的に両方ともつるつる状態にします.フランフォーファー型は凸面3つに凹面1つです.
凹面はフーコーテストできますが,凸面はできません.そこで共擦りで作った完全同曲率の凹面でフーコーテストをやって,重ね合わせてニュートンフリンジ検査で調整します.
つまり,アクロ1セットにたいして,ツールガラスは,単純に計算しても合計4枚必要です.さらに最終検査のために,基準平面鏡が必要です.これも2枚のガラスが必要です.
結局,2枚のアクロのために,ツールガラスと基準平面用ガラスで合計6枚(4+2)必要です.
それから,研磨する面の数はレンズ面の4面に加えて,フリンジ用になるツールの4面,基準平面もフリンジテストで作りますから2面で,合計10面研磨です.
研磨する作業量は我慢することにして,ガラス材だけでも節約しようって事になったのです.なにせ,25cm級だと青板ガラスでも結構しますから.
アクロの第1面と第4面にはツールを用意し,第2と第3はアクロ同士の共擦りとします.さらに,基準平面は上の2枚のツールガラスの裏を使う事にして,テスト用の基準球面は,最も正確に研磨できるアクロの第3面,つまりF2の表を使うことにしたのです.
この工夫で,仕上げる面数は変わりませんが,ツール+基準平面で6枚だったのが,わずか2枚で済むようにしたわけです.
必要なガラス厚というのは,ある曲率半径を指定すると,レンズの直径から幾何学的に計算して,凸レンズの端のガラス厚さが負になったり,凹レンズの中央厚さが負になったりはダメなのですよ.口径に応じてガラス材は,強度上必要な最低厚さがあって,部分的にでも薄過ぎには出来ないのです.
しかも,ガラスは削り過ぎたからといって,元には戻せません.既にアホな人が,ガラスを下手に削ってしまったので,これからの研磨では凸レンズの中央を1㎜以上減らしてはいけないし,凹レンズは端の方を1㎜以上減らしてはいけないという条件を守りながら研磨しないとならないということです.
これは,反射式の主鏡を磨ける程度の人では難しいです.(たまに,主鏡の手磨きができると言って天狗になってる人がいますけどね)私も15cmくらいまでなら,1週間もかからずに完成できますけど,最初の頃は,ズリズリやって行ったらガラス材の厚さが3㎜くらいまで薄くなってしまって使えない主鏡にしちゃったことがあります.
ところが,hは最初から最後まで鏡材の端の厚さが変わらないのでした.まったくガラスを無駄にしないのでした.