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Re: 分解能

Posted: 2026年5月19日(火) 12:09
by HG
モノが識別出来る、出来ないは、統計的な値で決まります。
たとえば、このページを見てください。
https://drive.google.com/file/d/1cznkB- ... drive_link
https://drive.google.com/file/d/19bNKua ... drive_link
これは、ニコンの鶴田さんの有名な著作、「光の鉛筆」からのコピーです。
画像の識別に必要なコントラスト比は、K=5 あたりだと計算で算出し、実際にテストをしてみると、そのあたりだったということが説明されています。
これは、アメリカのRCAがテレビ画像の規格を求める際の理論的な背景となっています。
説明のオリジナルの記述は、Albert Rose氏の「Vision: Human and Electronic (Optical Physics and Engineering) 」
にあるそうです。
MTFという概念もRCAのテレビ規格の策定の際に用いたと言われています。

日本では、アサヒカメラというカメラ雑誌が、
「mm〇〇本」という無意味な「解像度」に偏向した啓蒙活動をしていたので、MTFはなかなか理解されませんでした。
小穴式「ミリ200本の解像度だから凄い。」というように。
実際にシャープに見える見えないは別の要素で決まるので、ずいぶん現実と乖離した話でした。
ペンタックスとアサヒカメラがその件で険悪な事態になったのは有名な話でした。
ライカからも「解像度に拘るのは無意味だ。」とやんわり否定されてもいました。

デジカメ用レンズだとミリ100本あたりが最大だったでしょうか?
でも実際の画像ではそこまで必要ない場合がほとんどだと思います。
レンズの解像力は、ミリ60本あたりあれば十分?ミリ200本も必要無い訳です。
微細なエッチングをするようなステッパーレンズだと回折限界を超えるような解像度が必要になりますが。

重要なのはコントラスト比で、空間周波数をバランスよく再現するほうが重要でした。
鶴田さんの説明には、そのコントラスト比の基本的な概念が記述されています。
画像が暗くなると、識別能力が落ちるのは、フォトン数が減るためで、
フォトン数が少なくなるとダイナミックレンジが低下し、コントラスト比が落ちてしまうのが理由です。

今はデジタルになつて、誰でも次のようなアプリとテストチヤートを入手すればMTFでもなんでも自分で計測出来るようになりました。
ただ、凄く高価なんですよね。
廉価なバージョンもありますが。
https://www.imatest.com/products/imatest-master/
https://www.imatest.com/imaging/sharpness/#freq_units

Re: 分解能

Posted: 2026年5月19日(火) 16:12
by 木村
>暗さに目を慣らして瞳孔を全開にするのは何のためなのでしょうか?

 例えば下は、かなりポピュラーなオリオンのM42ですが、大抵の人は左側の写真の様に思っています。
ところが、真の姿は右です。
どこが違うかと言うと、この星雲は巨大な暗黒星雲の端っこが見えているわけですけど、そこにトラペジュウムと呼ばれる4重くらいの重星が強烈に暗黒星雲の端っこを照らし続けて、圧力で吹き飛ばしている姿です。吹き飛ばしているので、こと座のリング星雲M57の様にリングになっているわけです。

ところが、このリングがトラペの反対側で閉じているのを肉眼で確認するのは、なかなか大変です。(写真でも大変ですけどね)
昔は、私はM42の反対側が閉じているとは知りませんでした。でも、機会が有って、自分の32cm反射経緯儀を山の中に持って行って、40㎜80度の視野のある接眼レンズに「ネビュラフィルター」ってのを入れて、目玉を暗順応させること2時間。鳥の羽のように広がるM42が、その反対側が閉じていることに気が付いたのです。(真夜中に大声上げましたよ)

この時の倍率は40倍で、射出瞳径は8㎜です。
この倍率は、目玉の中のM42の像の、その網膜状の単位面積当たりの光のエネルギーを最大にする倍率なわけですよ。さらに、ネビュラフィルターなんて暗い物を通過させているので、暗順応は2時間のMAXコースです。ずっと右目だけ黒い眼帯をしておくのであります。
写真に撮れば良いじゃないかって、いや、どうしても目で見たかったのです。

 話しは戻って、巨大な暗黒星雲と言いましたが、トラペジュウムの様な明るい恒星が生まれると、その光のみかけの圧力で星雲のガスが乱流を起こして、また恒星を作り始めます。それが光り出すと、また乱流を作るって調子で、次々に星を生み出しながら、その反動をロケットの様に使って、この暗黒星雲は宇宙を旅し続けているのです。M42は、そのエンジンの猛烈な輝きなのですよ。
 SF小説の一つには、ガスの竜巻の様な構造を神経のように使って、思考することができる暗黒星雲って一種の生命体が出てきて、その旅の途中の暗黒星雲と、地球から交信するって話しのが有りました。

 下の飛び去って行く暗黒星雲が意識を持ってるかどうかは分かりませんが、こちらに向いてる光り輝くエンジンを見るために、意地でも最低倍率(=最大有効射出瞳径)が出せるように望遠鏡を設計し、とことん目玉を暗順応させる意味って分かって貰えましたかね?

Re: 分解能

Posted: 2026年5月19日(火) 21:32
by HG
>暗さに目を慣らして瞳孔を全開にするのは何のためなのでしょうか?

実は.....、
人間の目は、暗いところに行くと、勝手に自己ドーピングして感度高くしているんです。(笑
実は、瞳孔の拡大はたいして効いていない。
暗い所に行った直後から瞳孔は拡大しているけど、全然周りの様子は見えませんよね?
蔵に入った直後とか。あるいはトンネルに入った直後とか。
映画館でもそうかな?
でも、しばらくすると薄暗がりの様子が見え始める。

自己ドーピングをしているプロテインが、ロドプシンと呼ばれるもので、19世紀に発見されています。
暗順応に時間がかかるのは、ロドプシンの化学変化が追い付かないためなんですね。
若い人で30分、年寄りはもっととのことです。

私の場合、たぶん目は順調に自己ドーピングしていると思います。
更に暗順応が進むと、むしろ夜空が明るく見えてしまいます。
バックグラウンドノイズまで増幅してしまうためですね。
楽しいのは、最初の1時間くらいまでかな?

私の住んでいるところは、地方都市の郊外ですが、SQM値で確か20前後の暗さです。
この自宅裏の環境で望遠鏡を使って夜空を見ると、
北アメリカ星雲、網状星雲、バラ星雲はノーフィルターの眼視で確実に見る事が出来ますし、スケッチも取れます。
口径の大小は関係なくて、口径7cmでも10cmでも見えます。
F値が一緒ならば口径は関係ないように感じます。違うのはターゲットの大きさだけ。

更に郊外のSQM23くらいの場所に行くと、ほとんどのハーシェルターゲットは望遠鏡に眼視で見えます。
フィルターは好みではないです。無い方が自然に見えますし。
オリオン座のバーニングブッシュや馬頭星雲などはかなり難物ですが見えます。
バラ星雲はあまりに見え過ぎて不気味で怖いくらいでした。
口径50cmも15cmもあまり関係無かったですね。
それくらいの暗いところだと、口径5cmのFC-50で網状星雲も見えます。

ただ、このドーピング作用にも個人差があって、
「何度見ても見えない」という天文仲間も居るので、個人差それと習熟度の違いは大きいと思います。
脳内のビッグデータの蓄積度の違いもあるかもしれません。
アントシアニンは、ロドプシンを更にブーストしてくれるそうですから、
その手のものが入った果物は効果があるかもしれません。(笑

ただ、バッグラウンドノイズのレベルが高いかどうかが大問題で、
口径が大きいとバックグラウンドノイズもまた大きいので、むしろ小さい口径のほうが良かったりします。
シュミカセの20cmより7cmの屈折のほうが良く見えるとか。

あるいは、アイピースを短いものとして合計F値を暗くするか。
私の環境では、口径10cmに使うアイピースは、
43mm15倍より32mm20倍のほうがコントラストが高く淡い星雲が見やすいです。

これは良く聞く話だと思います。
射出瞳が小さいほうがむしろ良いという話です。
何事も理屈通りでは無いという例ですね。
特にM33のように淡い星雲は、都市部ではバックグラウンドに紛れてほんとうに見えにくいです。

一度自分の環境でトライしてみることを勧めます。

Re: 分解能

Posted: 2026年5月19日(火) 23:43
by 木村
>実は、瞳孔の拡大はたいして効いていない。

 横ですが、あぁ、それそれ。
ヘリコイドさんは、桿体細胞って言葉を使ってましたよね? あれって、HGさん言うところのロドプシン、さらにロドプシンはビタミンAを使って出来ています。私はビタミンAの方で勉強しました。うんと暗いところでは、桿体細胞はビタミンAを湯水の様に使って光を感じるのだそうです。なので、明るくなると網膜付近にあるビタミンAを使い切ってしまうので、桿体細胞は意味を成さなくなるそうです。でも、暗順応、つまりビタミンAが補給されると感度が上がり始めるのだそうです。

だから、ビタミンAが不足してると暗順応ができなくなる。戦争中の南方のパイロットなんか、ろくなもん食ってなかったので夜盲症で困るので、肝油とか支給されたみたいですけどね。

HGさんの話しでは、暗順応した時の周囲の見え方って、結構、人によって違うみたいですね。私はネビュラフィルターが有ればコントラストは上がります。暗い物が暗く見えるようになります。ホワイトノイズみたいなのは、あんまり感じません。

感覚細胞ってのは、パルス状にシグナルを出してくれないと感覚が飽和して分からなくなってしまうので、桿体細胞もシグナルを出したら、元の無感覚の状態に戻すメカニズムがあるそうです。それがホワイトノイズ状態を押さえてるんだと思いますが、これに個人差があるって事かもしれませんですね。

 ヘリコイドさんに申しますが、最低倍率にしている状態では、口径30cmの望遠鏡だろうが、口径10cmの望遠鏡だろうが網膜上の像の「輝度」は同じです。だから、網膜の感度勝負だけですね。ただし、像の大きさは違います。ここんところが私の「大きい望遠鏡は大きく見えるだけで、明るくはならない」ってところの意味です。

 ところで、暗順応しながら、M42の「色」が見える人と見えない人がいるようです。私は色は識別できません。M42はモノクロの世界です。ところが、赤黄緑の色が分かるって言う人がいます。桿体細胞は色が識別できないと言われているので、超暗い天体でも見えてる高感度錐体細胞が有る人と無い人があるみたいです。私は、残念ながら無い人のようですわ。
(T_T;

Re: 分解能

Posted: 2026年5月20日(水) 10:32
by ヘリコイド
皆様ありがとう御座います。
私なりに整理するとこんな感じでしょうか?

【虹彩/瞳孔】
暗い所では、より光を集めるために大きくなる。
双眼鏡や最低倍率付近では重要だが、望遠鏡で射出瞳が小さい(1mmとか)時は関係ない。

【目の感度】
暗いところに行くと自己ドーピング的に感度が高くなる。
星を見る際に暗い所に目を慣らす(暗順応)必要性はむしろこのため。

Re: 分解能

Posted: 2026年5月20日(水) 11:35
by 木村
う~ん。

 本来はHGさんが答えるべきところですが、目の感度のところで、自己ドーピングとか言われると(私は)理解できません。
たぶん、どっかの星祭りなんかで誰かに「自己ドーピングで・・・」と言っても通じないのでは?

 詳しくは、例えば下の様なところを、上から下まで読めば良いんですけど、頭が痛くなります。
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E3%83%AD% ... 7%E3%83%B3

 で、分かりやすく言うと、桿体細胞が弱い弱い光を感じるには、ロドプシンという物質が必要です。ロドプシンが化学変化(構造変化でもありますが)することで光を感じています。だから、ロドプシンはフィルムの銀塩みたいなものです。

で、明るいところではどうなっているかというと、明るいところではフィルムが感光してしまって真っ黒けになってるのと同じで、ロドプシンは全て光で壊れてしまってて目の中に存在しません。つまり弱い光に対する桿体細胞の感度はゼロです。日中でもロドプシンは生成されているはずですが、片っ端から強光で壊されていくのです。

これが、うんと暗い環境の中にいると、ロドプシンの消費速度が下がって、生産速度以下になるので、やっと網膜に蓄積されて増え始めるわけです。つまり、次第に感度が上がっていくわけです。フィルムの銀塩が追加されて感度が上がっていくようなものです。ロドプシンは、壊れる(感光する)のは早いのですが、作るのは遅いというタンパク質です。(ま、何でも作るのは時間がかかって、壊すのは一瞬です。)だから、十分にロドプシンを作るには時間がかかるみたいです。

 上手い例えが無いのですが、暗順応ってガス欠で走らなかった車を、エンジンかけたまま給油して満タンにするようなものです。給油するには多少時間がかかりますし、入れてる最中でもロドプシンは消費されるので、また時間がかかります。
そして、暗順応した目玉に、明るい光が一発入ったらロドプシンは全部壊れて最初からになります。

だから単純に、
「暗いところに行くと自己ドーピング的に感度が高くなる。」
  →「暗いところに行くと、網膜のロドプシンが次第に貯まって、目の感度が高くなる。」
で宜しいのでは?
どうでしょね、HGさん?