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Re: 超低分散硝子(特殊低分散硝子)材の現状

Posted: 2025年7月19日(土) 21:44
by ガラクマ
木村様
ご丁寧な説明ありがとうございます。
私のように物分かりが悪いものに、平易な文章で教えるのは大変だと思います。おかげで私も含め、皆さんにも分かりやすくイメージできるものと思います。

 誘電率での説明が、なるほどとは思います。昔習ったかもしれませんが、完全に忘れていたので、知らないのと同じです。
 ただ、誘電率は周波数で変わるもの。特に物質により特定の周波数で変化するものですので、これが分散の非連続性の話ではないかと、ちょっと調べております。
そこでクグッてみますと、誘電関数について古典力学で説明されているサイトが分かりやすく感じました(リンクは承諾が要りそうです)。

 ちなみに、曇天通信で私の職歴を連載しておりますが、まだ相当先に高速回路(半導体テスト装置)設計の部署に配属されて相当苦労した私の黒歴史をつづる予定です。
 その時、電気も光と同じだと気が付きました。屈折率はインピーダンス。ただ、同じインピーダンスでもR,L,Cの要素でまったく(周波数)特性が変わり、あるLSIの複数の足に同じタイミングで電気信号を与えるように到達時間を計算し配線をとりまわすのですが、これがすごいノウハウでした。反射は起こるし、回折のようにパルスの肩は丸くなるし・・

Re: 超低分散硝子(特殊低分散硝子)材の現状

Posted: 2025年7月20日(日) 10:39
by 木村
>誘電率は周波数で変わるもの

 あぁ,そうですね.確かコンデンサーって使える周波数ってのがありましたね.電解コンデンサーなんかは,あんまり高周波では使えないとか言われた覚えがあります.だから誘電率は,その誘電体によっては周波数特性があるんでしょう.

要するに光は伝搬していくときに,通過する途中のコンデンサーやら蓄電池やらを(内部抵抗有りの)充電したり放電したりの余計な仕事をさせられるので,何もしなく走れる真空よりは遅くなるって考えればいい気がします.

 ただ,コンデンサーって実際には,周波数を上げると容量が少し下がるんじゃなかったでしたっけ? とすると,どうなんだろう?ガラスの中では,赤い(周波数が低い)光に比べて,青い(周波数の高い)光の方が遅くなるってのとセンス(変化の方向)が合うのかなぁ・・・って考え込みますけど.

Re: 超低分散硝子(特殊低分散硝子)材の現状

Posted: 2025年7月22日(火) 20:45
by ガラクマ
「イラストレイテッド 光の科学」という本をメルカリで買いました。
木村さんや皆さんから教えていただいた内容含め、ほぼ答えが載っておりました。
それをイメージしやすいようにイラストが載ってます。きれいなイラストの内容が、案外難しいです。
タイトルの一部と概要ですが

第2章 ガラスの中で光は何をしているか
 光と電子はダンスを踊る
 振動する電子は光を放出する
 重ね合わせが決める波の進み方
 空の青、雲の白、夕焼けの赤(レイリー散乱とミー散乱)
 周波数で変わる光の伝搬速度

キーワードは
①ガラスの中を光が通るとき、光電場によって励起された電気双極子振動が、すぐさま散乱光を再放出する
➁1波長の間の膨な数の原子が、膨大な数の散乱を起こし、それが干渉しあい、その重ね合わせによって光の進み方が決まる。
③可視領域の屈折率カーブは電子分極によって変わる。材料ごとに共鳴周波数の位置や吸収の強さが違うためカーブが変わる。

Re: 超低分散硝子(特殊低分散硝子)材の現状

Posted: 2025年7月24日(木) 01:44
by 木村
 キーワードとして紹介されてます①と②は,理解しやすいですか?
私にとっては,難しいです.
ただし,その原理を使った波動の数値計算の方法があって,そのアニメを見ると,まるで魔法の様に散乱された波が新しい波群を作って行くの見て感動します.

③は,なるほど.
以前,私が示したグラフの左側の方では屈折率が発散しようとしてますが,これって共鳴による発散とカーブが似てますね.なるほど,ガラスの分散って共鳴で発散しようとしているところなんですね.
無題2.png

Re: 超低分散硝子(特殊低分散硝子)材の現状

Posted: 2025年7月25日(金) 08:16
by ガラクマ
 リンクはしませんが、テクノシナジーさんのサイト (8. 誘電率を広い範囲で見渡そう)で解説がありますね。
木村さんがご説明された内容の延長線上のようで、「イラストレイテッド 光の科学」と合わせてみたら、よくわかりそうです。
 どちらも、高校物理(Ⅱ)でギリギリ、大学の初等物性光学が(数式なしに)理解できるいいサイトと冊子ではないかと、今まで知らなかったのを悔やみます。
確かに➁は散乱の集合ということは、説明されて空の青や夕方の茜色みるとそうなのかと思いますが、ガラスの中で散乱が高密度で起こっているところは、少なくともこれまでは、なかなかイメージし難いものでした。

 ①は、キレイな励起と基底状態に変える時の発光をイメージすると違うかもしれませんが、SP〇軌道とかの混成軌道とか、まあガラス材のことがよくわかりませんが、そういうことなのかと納得するしかありません。

Re: 超低分散硝子(特殊低分散硝子)材の現状

Posted: 2025年7月25日(金) 18:20
by 木村
ガラクマ様

 これは良いサイトですね.
実は,私の説明は「ま,素人さんが解りやすくなれば良いんだから,こんなもんで良かろう」と思って,その場でてきと~~に考えた説明です(笑い).
でも,結構,正解でしたね(笑い).

「8. 誘電率を広い範囲で見渡そう」の中でも面白い図は,

図42 代表的な誘電体の屈折率スペクトル [注]

です.大抵のガラスは1000~3000nmの波長で屈折率が真っ直ぐ(つまり分散ゼロ)なんですね.もし人間の目の感光波長がこの帯域なら,なんでも色消しレンズが作れる.あとダイヤモンドが特筆もので高屈折・低分散なんですね.ダイヤをクラウンガラスに使えたら,凄い対物レンズが作れそうですね.

あと,2酸化チタンかな?可視光域で,すごく高分散.この酸化物は,確かチタニヤダイヤとか言って,ダイアよりもきらめき(高屈折)が有って,綺麗な虹色が出る(高分散)人工宝石になると思いました.ただ,色がダイアより派手過ぎて安値で取引されてるとか.
じゃ,宝石の価値って何なんだ?って感じですね.

Re: 超低分散硝子(特殊低分散硝子)材の現状

Posted: 2025年7月27日(日) 15:06
by ガラクマ
木村さん。さすがです。

 2酸化チタンは、以前も話題にあがりましたが、レンズのコーティングに使えば紫外線で有機物を分解する光触媒として機能性(汚損防止)コーティングになるのでは、との話が出ましたが、屈折率が高すぎで最前面に持っていけないと却下されました。ただ染料や食品まで使われているようだし、これからも光学性能を何か有効に使えるのではないかと思います。

 確か、以前勤めていた会社で作っていた超高輝度LEDの筐体内の塗料に使われていたと思います。反射とLEDからの漏れ紫外線での汚れ防止で選ばれたと思います。
 ダイヤモンドって、深海の水圧をテコとして使ったり、なにか大量生産のアイデアはないのでしょうか?
材料出来ても削るのも大変そうです。

 さて、超低分散硝子(特殊低分散硝子)材が望まれているのに、なぜに今までできなかったのか、という本質的な問題ですが、その前にガラス材のことをもっとよく知らないといけませんが、ちょっと疲れましたので、一旦休憩します。

Re: 超低分散硝子(特殊低分散硝子)材の現状

Posted: 2025年7月27日(日) 15:27
by 木村
>屈折率が高すぎで最前面に持っていけないと却下されました。

ああ,なるほど.そうなりますね.
ただ,屈折率が高すぎるって事は,なんかアルミ蒸着ミラーの反射率を上げるための増反射コーティングに使えないですかね?

まぁ,物性物理でドツボにハマると切りがありません.
わたしも,この変で・・・・・・・

Re: 超低分散硝子(特殊低分散硝子)材の現状

Posted: 2025年7月27日(日) 21:25
by 「原」
酸化チタンが光学薄膜に使いにくかった利用はリンク先に詳しいです。結晶タイプで屈折率が大幅に変わる上に、屈折率を上げるには成膜条件が厳しすぎた・・・まあ、克服されつつありますが。
https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP4 ... 0C1000000/

低分散ガラスがなかなか作れなかった理由は多々ありますが、効果があるフッ素を用いた系の場合、毒性と潮解性がネックで苦労されてます。材料のフッ化水素とか・・・

ダイヤモンドは気相成長で大型基板で厚みのあるものもできていますが、イオンドープして高耐久パワー半導体や、GPUなどの放熱基板用途で、Φ2インチを超えたくらい。未来に期待(笑)

Re: 超低分散硝子(特殊低分散硝子)材の現状

Posted: 2025年7月28日(月) 19:40
by 還暦α
皆様こんばんは。

二酸化チタン(TiO2)はアナターゼとルチルは結晶構造が正方晶、ブルッカイトは斜方晶でいずれも複屈折があります。
反射防止膜などの薄膜の場合は膜厚が薄いので複屈折の影響を無視できますが、レンズにするとなると厚みがあるので
複屈折の影響が無視できなくなります。
天体望遠鏡に使うと星像が2つや3つに分かれて見えてしまう可能性があります。
二酸化チタンを大量に含んだガラス(アモルファスなので複屈折が無い)が出来れば良いのですが。
屈折率の高い五酸化タンタルや五酸化ニオブ(いずれも屈折率2以上でどちらも光学薄膜材料)と二酸化チタンを
組み合わせてガラスが出来れば良さそうですが、考えることは皆一緒なのでガラス屋さんは既に試していて
今の技術では出来ないんだろうなと思います。