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Re: ビクセン ポラリスR100L
Posted: 2024年4月26日(金) 19:32
by 「原」
面の粗さという話で思い出しました。
某所で海外製のミラーを入手したところ、ロンキー/フーコー/その他の試験では優秀な補正されているのによく見えない・・・惑星が駄目。よくよく調べてみると砂目が結構残っていたとか。それでコントラストが落ちて駄目だった。こういう局所欠陥は目で面を見たら判るけど、測定機にかけたら却って気が付かない。盲点というやつです。
球面研磨は曲率がきつい(焦点距離が短い)と皿の管理が大変だったそうで、その昔ペンタックスのSMC-Orシリーズが時々品切れになってました。皿の曲率修正研磨に出している間は生産できないし、これが結構頻度が高かった(笑)
Re: ビクセン ポラリスR100L
Posted: 2024年4月26日(金) 20:36
by ガラクマ
原さんの一つ前の投稿内容は、私がもとから疑問になっていたところです。やっぱりそうですか。
リングや研磨痕のような局所的な変位は反射角度θの変化が大きく、可干渉条件以前に集光位置が変わってしまいます。これは波動光学の前提条件から相当外れているので注意が必要です。(大抵の波面収差の説明図面は、光路長差が階段状に差がある絵で説明していますが、連続面である以上、角度が変わっていることを踏まえなければなりません。)
そのようなこともあってか、富田さんからご紹介いただいた1/9λ、1/11λの鏡より1/4λの鏡の方がよく見えそうに思います。
https://livedoor.blogimg.jp/uwakinaboku ... 89f79c.jpg
(リンクマナー違反かもしれません。NGでしたらお知らせください)
なにを信じたらよいかわかりにくいですね。焦点内外像、回折像の形や暗部と明部のコントラスト比等の方が直接的でしょうか。
Re: ビクセン ポラリスR100L
Posted: 2024年4月26日(金) 21:56
by 「M」
「原」 さんAbbebe さん 富田 さん 還暦α さん ガラクマ さん みなさん こんにちは
球面と放物面:カタログでの書き分けから、「見比べ」の話、「研磨による整形」から「蒸着膜厚による整形」の話、
そして「フーコー像」の実例。おもしろいですね。
「日本式」というのは、球面鏡と「焦点距離が球面半径半径の2倍、鏡の中心で接する」放物面鏡を考えるもの
でしょうか?
※「日本式」といってもλ/xxの算出法を簡明に書いた日本語の本(雑誌)を読んだ覚えがないのですけど?
波面誤差が約λ/11というのは、球面鏡と「鏡の中心で接し、鏡の外周で交差する」放物面鏡を考えて、
面間距離の最大値(の2倍)を計算したものです。
※放物面鏡の焦点距離は、球面鏡の近軸焦点距離と少しちがうわけです。
※
※この「フーコーテスト制約プログラム」、現実の測定値から「最良解」を計算できる仕組みか?と問われると...
※考え込んでしまいます。
※球面と放物面(円と放物線)の場合なら「ベストフィット」と証明できるとは思いますけど。
※「リング」のある鏡などは、「波面誤差1/8λの鏡」であっても、「放物面鏡とは呼びたくない」ような気もしますね。
カタログの「文言の違い」のギロンは、「売り手」(一般には「作り手」と別?)の仕様記述が、「買い手」に対し
どの位「誠実」に実状をつたえているのか?に関する話、ということなのだと考えます。
※もちろん「買い手」が、ある程度の知識を持っていることを仮定せざるを得ないでしょうが。
「高性能を求める買い手」に対しては、「売り手」と「買い手」の間で:-
・十分に精確とは、どんな条件を満たしていることなのか? 特に
・十分小さい波面誤差とは、(どんな測定方法/計算方法で)どのくらい小さなことなのか?
などの了解が成立していることが重要だと思います。
※「買い手」によって「十分」の程度が異なるとしても。
「とにかく低価格を求める買い手」に対しては...価格競争に引きずりこまれたら「誠意」など吹き飛ぶのでしょうね。
※そのためにも「違いの分かる買い手」に情報提供し、応援してくれるようにする方策が重要だと思うのですが。
さて、Sky&Telescope誌が、1990年代前半に、市販望遠鏡の光学品質に関する記事を載せたことがありました。
直径20cm以上の平面鏡を使ったダブルパスでの「ロンキー像」の写真、Stellafaneで波面誤差1λ,λ/2,λ/4
λ/10の望遠鏡を並べ、通行人が見分けられるかを調べた記事などなど。
ほとんど通販で買う、「気に入らないなら返品するのが当たり前」だそうな、彼の国でも、「買い手」が
「性能が広告通りでない」という根拠を示すことは、時に必要なのでしょう。
「なんとなく良く見えない」でなく「よく知られている方法で評価した」と言うための(特別な道具が不要の)試験法が
求められている...というのが、「Star Testing...」(「ロンキーテストの教科書ないですか」で、ご紹介の本)が
そのころ登場した背景だったと思います。
日本においても、「接眼部に装着するロンキーテスター」の販売や「天文ガイド別冊[インタラクティブ]」のKさんに
よる連載は、この流れに関連したものだったと思います。
だいぶ暴走/脱線したところで小話を1つ:-
電気回路素子に「抵抗」というのがあります。1kΩ,1.1kΩなどの抵抗値は、さほど正確でなくてもokなことが
多いので 「1kΩ ±5% 100本で¥140」というのを使ってます。しかし、ほぼ1kΩ(たとえば±0.5%)が
必要の場合もあります。1kΩ±0.05%も売ってますが1本で¥250だったりするわけです。ケチな私は、
「1kΩを十分な精度で測れる抵抗計があるから、100本¥140から、必要な本数を『選別』できるだろう」と
期待するわけです。 そこで小話:(「全数検査はオソロシイ」)
ある人が、この選別作業をしたのですが、目的値±0.5%が出てこない。そこで測定値の分布を調べてみると...
確かに公称の範囲には収まっている。が、誤差分布の山の真ん中が(ゴッソリ/スッパリ)無い!
※真ん中付近は1本¥250で売られたわけでしょうね。どこで聞いたか覚えていないので、実話でないかも。
「114㎜」はこれかも!? (:-)
※シベットさんの114㎜は「良く見えた」そうですね。
Re: ビクセン ポラリスR100L
Posted: 2024年4月27日(土) 08:19
by 「原」
ミラー話。思い出したついでに、
富士オプティクスさんのお話では、アストロとビクセンの15cmFL1300mmは同一メーカーの製品だったそうです(既に廃業された会社の同一スペック製品)。良いミラーがあるのは事実で、ビクセンのアウトレットミラーをドブソニアンに仕上げた方の作品を覗かせてもらったときには火星の模様が13cmアポに迫るくらいで舌を巻きました。
木辺鏡は修正研磨が終わった時点では1/20Λくらいまでは追い込むけど、最後の仕上げで極微細ベンガラで全面を軽圧低速研磨で均して研磨痕やリングを取り除く・・・その代わり最終精度は1/8Λくらいに落ち着いても良しとするとか。(滑らかさを優先。)
局所欠陥の影響をざっくり感じるには、例えば10cmf10のニュートン反射の斜鏡(短径25mm)に10mm周期のさざ波が被っている場合を考えます。
引き出し量を200mmとして、斜鏡のさざ波の高低差を1/8Λ(70nm)とすると往復で1/4Λになりますが、この「へ」の連続のような構造は幾何光学的なサイズなので光線追跡で影響が追えます。周期が10mmなら山が5mm、谷が5mmの幅になりますが、山の登り坂は2.5mm下り坂も同じ、谷の下り坂も同じ・・・ということで近似的に登り坂5mm下り坂5mm高低差70nmのプリズムシート(?)の反射の扱いとなります。反射ですのでプリズムシートの角度θの2倍の偏角となりますので焦点面での変位量は 70nm×(200/5)×2=5.6μm
これだと像面が5.6μmづつ割れる。面が連続の曲線なので長径10μmくらいの楕円っぽくなる・・・レーリーリミットがぼちぼち危ないくらいのアスです。引き出し量が増え、さざ波の周期が小さくなればさらに危ない。(主鏡の研磨痕だと焦点距離分の影響。長焦点の方が影響大きい)ロンキーテストでわかめみたいな揺ら揺らした鏡面のイメージが悪いのも納得です。
Re: ビクセン ポラリスR100L
Posted: 2024年4月27日(土) 19:10
by 富田
原さん
皆様
アストロとビクセンの15cmfl1300mm鏡筒が話題に出ましたので、私からも少し。
シベットさんのブログに出てくる私からのWS発表(予定だった)資料に、それらの主鏡精度について一言だけ書いています。おそらく、これを閲覧している皆様には少し嫌味のような表現でしたが、ご容赦ください。
ニュートン反射望遠鏡フェチの私も当然ながら大きな期待を持って、それら高評価の鏡筒を(もちろん中古で)何本か入手しました。販売品の全数検査ではありませんが、アストロとビクセンそれぞれ複数本について主鏡のフーコーテストをしてみました。機会があれば皆様にそれらのフーコー像をお示しできればと思っていますが、パッと見は、先のブログ資料にある115mmF8鏡のような鏡面ばかりでした。
やはりF値が大きいために、精度的には鏡面精度1/8λはクリアしています。しかしながら機械研磨のみと思えるリングの多い鏡面で、特にアストロは多かったです。ただ磨き、面の艶は良かった印象です(それが大切?)。
もちろん限られた数本だけですので中には真の良鏡もあるのでしょうが、確率的には10本以上は入手する必要があるようです。
不良鏡だったのでドナドナされたという可能性も否定はできず、良く見える鏡筒は誰も手放さないのかもしれませんが・・・。
それ以来、少なくとも小口径長焦点反射鏡については高精度鏡を量販品に求めることは諦めました。私自身はビクセンのタイタン150mmfl1300mm鏡筒を自作鏡に換装して、それなりに満足しています。またそれら格安中古品に付いている元々の青板主鏡の修正研磨に四苦八苦しながらも、趣味としての鏡面研磨を楽しんでいます。
Re: ビクセン ポラリスR100L
Posted: 2024年4月28日(日) 12:29
by 還暦α
皆様こんにちは。
リングや面荒れが結像性能にどのように影響するかを評価するのは難しいですね。
傷検査などにも使われる顕微鏡の暗視野照明をヒントに面荒れを評価する方法を考えました。
図では球面と表示しておきましたがピンホールの穴径を調整すれば放物面でも問題ありません。
リングや面荒れがあるところだけ明るく見えるはずです。
特に砂目などの細かい面荒れがあると全体に明るくなるように思います。
この方法での面の明るさと実際の観察像の見え方に相関があれば面荒れの評価方法として
役に立つのではないでしょうか。
同様の方法で検査している先人がいそうな気もしますが調べていません。
Re: ビクセン ポラリスR100L
Posted: 2024年5月03日(金) 18:57
by 「M」
還暦α さん こんにちは
ご紹介ありがとうございます。
”還暦α” さんが書きました:
...顕微鏡の暗視野照明をヒントに面荒れを評価する方法を考えました。
図では球面と表示しておきましたがピンホールの穴径を調整すれば放物面でも問題ありません
リングや面荒れがあるところだけ明るく見えるはずです。
特に砂目などの細かい面荒れがあると全体に明るくなるように思います。 ...
この装置は、一種のピンホールカメラとして動作するように思うのですが...。
「カメラ」はレンズを外して使うのでしょうか?
Re: ビクセン ポラリスR100L
Posted: 2024年5月04日(土) 18:55
by 還暦α
「M」様
興味を持っていただきありがとうございます。
カメラのレンズなしでも見えそうな気がします。
でも、レンズを装着して検査面にピントを合わせておくのが良いと思います。
ピンホールは球面からの正反射をカットするために入れているわけですが小さすぎると面の乱れによる光も
カットすることになるのである程度の大きさが必要になると思っています。
ピンホールという表現が悪かったかもしれません。
カメラにレンズを装着してピンホールが無い状態で検査面にピントを合わせてからピンホールを設置すると
良いのではないでしょうか。
言うのは簡単ですが楕円形の穴が開いたミラーを用意しなければならないので実際にテスト環境を用意するのは
難しそうです。
Re: ビクセン ポラリスR100L
Posted: 2024年5月04日(土) 22:13
by 「M」
還暦α さん こんにちは
還暦α>レンズを装着して検査面にピントを合わせておく...
のだとすると...検査面がおさまるだけの(カメラのレンズの)視野が確保できるよう
「ピンホール」(遮光絞り?)の径や カメラのレンズとの位置関係を決めることが
必要になる...。
還暦α>楕円形の穴が開いたミラーを用意しなければならない...
「穴あきミラー」+面光源で、(「マクロ撮影」で使う)リングライトと(ほぼ)等価だ
と思いますが?
※ 「カメラのレンズなし?」と、うかがったのは(ずいぶん前から「モヤモヤ感」を
※持っている)「レンズなしのフーコー像撮影法」と関連している?と考えたからです。
還暦αさんの「設計のねらい」を理解しようとしているのですが...もうすこし時間を
かけないと(質問をするための)「考えの整理」ができません...。
※内容・話題が「件名」から大分離れました。この先は(「自作・改造/Making」の?)
※別の記事としたほうがよいかもしれませんね。
Re: ビクセン ポラリスR100L
Posted: 2024年5月07日(火) 18:45
by 還暦α
「M」様
リングライトに関しては同じことを考えていました。
勤務先に基板カッターがあるので昼休みに使わせてもらいLEDのリングライトを作って見ました。
LED自体はアマゾンなどで販売されているLEDバーライトの白色LEDを取り外したものを使いました。
外径30mm、中央の穴は直径3mmです。
性能の悪そうな反射望遠鏡があるので試してみようと思います。
フーコーテストのレンズに関しては「M」様のご提案に乗って「自作・改造/Making」の方にスレッドを立ててみます。