これって苗村鏡?

初心者はもとより、調べても分からないことは、聞いてみましょう
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ガラクマ
記事: 773
登録日時: 2023年6月07日(水) 21:16

これって苗村鏡?

投稿記事 by ガラクマ »

 苗村鏡でしょうか? 
 https://www.eonet.ne.jp/~namurakyo/
WebsiteのNo61は違う鏡です。T.N.Mでもありませんが、名前を書いてあります。
昭和50年製の西村製作所の望遠鏡のミラーです。
G_9283.JPG
G_9287.JPG
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ひぽぽたます
記事: 272
登録日時: 2023年6月16日(金) 08:45

Re: これって苗村鏡?

投稿記事 by ひぽぽたます »

ガラクマ総帥

商業的(販売目的)に製作したものはTNM表記しているが、友人宛のものや特別な理由で作ったものは、名前と鏡筒を作る為に必要な情報(焦点距離等)だけを記載していたと聞き及んでいます。
極端なものは氏名しか刻んでいないものもあった様ですし、TNM表記も、マジック書きという場合もあった様です。
筆跡と、特徴的な英数字の形を見る限りでは、苗村鏡で間違いないように思います。
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ガラクマ
記事: 773
登録日時: 2023年6月07日(水) 21:16

Re: これって苗村鏡?

投稿記事 by ガラクマ »

 ひぽぽたますさん。情報ありがとうございます。他のお詳しい方からも、同じように言われました。
”61”が引っかかっていました。TN標記もあったんですね。勉強になりました。

 以前、書いたかもしれませんが、ある方から積雪地帯の冬場の仕事として、反射鏡磨きを教えに行ったが、中には銘鏡のサインをまねて売るものがいた。とのことが頭を離れません。贋作との見分け方を知りたいものです。
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木村
記事: 82
登録日時: 2025年2月06日(木) 11:24

Re: これって苗村鏡?

投稿記事 by 木村 »

ガラクマ様,ひぽぽたます様,こんにちわです.

贋作と本物・・・どっちでも良いから,取りあえず良く見える鏡の方を本物だと思っていれば良いような気もします.主鏡などは,工業製品であって芸術品ではないと思ってるもので.

例えば,昔,ホンダのスーパーカブ用の偽物ピストンを作ってる工場が,フィリッピンだったか何処だったかの国にあったそうです.本田技研は,ついにそのアジトを突き止めたそうですが,そのピストンがホンダのより品質が良かったので,さっそく子会社契約を結んだそうです.

とは言っても,銘を似せて入れてあるなんてのは,性能だって悪いに決まってるので,それは何とかしたいですね.世の中には筆跡鑑定会社ってのがあるそうで,鑑定料は2~3万円からだそうです.裁判の証拠に使うとなると一桁値段が上がるようですが,そうでもない目的なら数万円のようですよ.

贋作の問題は,やっぱり先達の主鏡作り大家の方には嫌な問題のようで,あの星野次郎先生は晩年,銘を入れなくなったと聞いたことがあります.出来の良くない鏡でも,自分の銘が入ってると高値で取引されるのが嫌だった,とか聞きました.

望遠鏡博物館の星野次郎作の20cmF7.8を眺めていますが,再メッキ後の鏡面に何も写ってないので,まったく鏡面の想像ができないのが残念ですね.(窓のサッシや蛍光灯が写り込んでいると,凡その状態は想像できるもんです)「H」の筆記体が,中学で教わった筆記体のままの美しい字体なのが,真面目な性格を想わせますね.
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ガラクマ
記事: 773
登録日時: 2023年6月07日(水) 21:16

Re: これって苗村鏡?

投稿記事 by ガラクマ »

古スコって、工業製品としてはダメなことに価値(ダメなことで残ってないので価値がある)があると思って、ダウエルとかパノップを喜びますが、銘鏡はちょっと違うかも知れませんね。
 ただ、銘鏡を喜ぶ方々の大半は、ハコスカやZ432にお金を払うカーマニアに相通じるものがあるとおもってます。最新のものより高性能だったらいいですが、別に劣っていてもかまわないのです。
価値は純正であることも一番ですが、贋作も素性が明白になれば、それも歴史的価値があるかもしれません。誰が作ったかわからないというのが一番困ります。

 同じ趣味のものでも、車、バイク、カメラ、オーディオまではコレクター文化、ヴィンテージ嗜好が認知されているようですが、古スコマニアの文化は、国内のそれらや、海外の古望遠鏡に向けられるものに比べてまだまだに思っています。
古スコ文化の一般化というのも私のライフワークの一つで、天体望遠鏡博物館を支える目的でもあります。

ちょっとまじめになりすぎて、面白くない書込みですいません。
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木村
記事: 82
登録日時: 2025年2月06日(木) 11:24

Re: これって苗村鏡?

投稿記事 by 木村 »

 そうですねぇ,木辺とか稲村とか池谷とか中村とか,なんか神格化してしまった(あ,池谷先生はお元気でしたか?)方々の主鏡などを「有り難がって拝む」のは,ちと違うかな? と思ってます.自分としては,どれどれとフーコーテスターを引っ張り出してきて,先人が制作した面を眺めてみたくなります.生憎,そんな名鏡は持ってないんですけど.
でも,有り難がって飾って毎日拝むのも良いかなぁ(^^,と思い始めました.
 しかし,鏡を磨くのが好きな人の中には,銘の入ってる鏡を自分で修正研磨してしまう人もいますよ.この場合は「銘は本物,鏡面が贋作!!」腕に自信のある人は驚くことに,やってしまいます.

 はっきりと大量生産の工業製品なんだけど,銘が入ってる物も世の中には有りますね.私が聞いたことがあるのは,ホンダNSXのエンジン.何か組んで最終検査が終わると,どっかにサインが入れてあると聞いたことがあります.コレは社命でやってたようです.
 もう一つは,ライカのカメラ.生産ラインの最後で,シャッター音を聞いて検査してる人が,終わると中に鉛筆でちょいちょいとサインを入れてたそうです.もちフィルムの時代です.ライカの工場を見学に行った人から聞いたので本当でしょう.彼曰く「あの作り方であの値段なら,ライカは安いよ.シャッターの音を検査してたおじさん,あれだけ30年やってるって言ってたよ.ライカは100万でも安い.だけど,確実に潰れるね.」
で,本当に潰れてしまいました.

 パノップは良いですね.
特に,あのわけの分からん20cmの経緯台は最高ですね.
とある観望会で持って来て下さった方がいて,大人気でしたね.なんせ,45度より上を向かないので,良くまぁ,こんなのを販売したもんだと感心してました.

スリービーチも良かったなぁ.
15cmF8の鏡を2千円だったかな?で売ってたんですよ.買いに走りましたね,目黒から足立区まで125ccのバイクで.色収差の全然無い反射望遠鏡で見た月面は感動でした.ところが鏡面としては駄作でして,球面の真ん中に穴が有って,何となく放物面に見えるけど良く見ると唯の球面という,昔は良く有った誤魔化し放物面でした.後年,それを修正研磨したのですが,ど~うやってもダメなんですよ.ちなみに私の最終作品の32cmF5は木辺鏡と同じ性能です.だけど,スリービーチの15cmは,何回修正研磨してもまともになりませんでした.ダメなガラスは,どうやってもダメ.なんかオレに恨みでも有るのか?と思うほど,言うことを聞かないガラスなのです.(笑い)

 古い望遠鏡と言うと,江戸時代くらいまで遡って古スコと呼んで良いか疑問ですが,国友一貫斎という人がいて,グレゴリー式だったかの反射望遠鏡を作ってたそうです.
その主鏡の驚くべき精度が調査報告されました.
https://www.yomiuri.co.jp/science/20250206-OYT8T50069/
 ずっと以前に,国友町でとあるシンポジュウムが有って,私も発表に行ってたことがあります.ついでに,望遠鏡も火縄銃も見学してきました.光学が好きな人がいて,国友は回転放物面を知っていたんだろうか?って話しになり,当時の和算のレベルを考えても「大まかには知っていたんだろう」と結論しました.じゃ放物面をどうやって検査したんだろう?になりましたが,当時の研磨検査道具は残っていません.でも試しに,と言う事で山刀の刃でナイフエッジを作り,ロウソクを光源とするフーコーテスタを作った人がいました.使ってみると,使えることは使えますが,だんだんロウソクが短くなることに気が付きました.これは不便で測定には使えませんでした.
結論として,国友は行灯に使う火を使って放物面を検査したのだろう,と言う事になりました.
無題2.png
真面目なんだか,不真面目なんだか分からない話ですいませんです.

 真の制作者が判明している贋作ってのは,何か凄い価値がありそうですね.
続く・・・・・
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ガラクマ
記事: 773
登録日時: 2023年6月07日(水) 21:16

Re: これって苗村鏡?

投稿記事 by ガラクマ »

 昔から、タイトルからどんどん離れていっても気にしないのが、私の掲示板ですので気にせずに進めます。
国友一貫斎の望遠鏡の件ですが、私もT先生やS氏、分析に携わったS社の方からお話を聞きました。
その後の研究で、フーコーテストではないが、光テコを使った検査方法を使っていたかも?と聞きましたが、詳しくは聞いておりません。そのことでしょうか?

 グレゴリー式というかカセ系の望遠鏡というのは、イメージ的にオーディオと似ていると思ってます。
レコード針(+レコードプレーヤー+防振台等)の信号入力系が、主鏡。
信号を増幅し調整するアンプが、副鏡。
実際に耳に伝えるスピーカーが、接眼レンズ。

レコード針で細かい信号を拾って、その音の分解能、キレを落とさずスピーカーに伝え、よく耳に聞こえるようにスピーカーを鳴らす。レコード針で拾えない信号(音)は耳に伝えることができません。それぞれの性能の掛け算になります。

 そういう意味で、入口である主鏡が良くないとダメなんですが、目にいい像が届くためには、副鏡と接眼レンズも重要で、今より小さな鏡やレンズを磨くのも無視できないほど難しかったと思うのですが、そちらのテスト結果を見た記憶がありません。 当時のスケッチの素晴らしさから、それもレベルが高かったと想像できますが、それも知りたいですね。
ちなみに善兵衛ランドで、レンズの磨き方、検査の仕方も門外不出で、当時の方法は詳しくわからないと聞いたことがあります。こういう謎解きも楽しそうです。

 それと、デタラメな鏡になる要因はガラス材ということもあったんですね。なるほどです。
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木村
記事: 82
登録日時: 2025年2月06日(木) 11:24

Re: これって苗村鏡?

投稿記事 by 木村 »

 ロウソクでフーコーテスタを作ってたのは,確かNTKの社長さんだったと思います.光テコの話しは,寡聞にして分かりませんです.

しかし,日本に望遠鏡がやって来たときに,その製作法も伝わったと思います.鉄砲鍛冶などしている人が,自分でも望遠鏡を作ってやろうと思うなら製作法まで聞き出したと思いますよ.小学生くらいの子供が,見よう見まねで天体望遠鏡モドキを作るのとはわけが違うでしょう.
当時の和算は,微積分の領域に入っていたらしいし,鉄砲を作っているなら弾道計算はやりたい事でしょうから放物線の概念はあったのだと思います.

ところが,国友が残した毛筆書きのスケッチなんかを見ると,とても数学の知識があったとは思えないんですよねぇ・・・・これが不思議です.あれですよね.ピラミッドやマヤの遺跡を見ると,大変な数学や天文学の知識が有ったと思われるんだけど,当時の壁画からそれが想像できない.結局,宇宙人がとかUFOが巨石を運んだとか言い出す人が出てくる・・・困ったもんだ.

 主鏡と副鏡の,それぞれの精度が結像の精度に,どう関係してくるのか,私は良く分かりません.それぞれの精度の積になるのか,和になるのか,それとも二乗和平方根になるのかも,考えたことが無いのでなんとも分かりませんです.(誰か,教えて・・・)

>スケッチの素晴らしさから

それって,あの金星と木星と土星が描いてあるやつでしょうか?
あれが描かれた日付から,惑星計算ソフトで計算してみたら,土星の輪の傾きと,金星の満ち欠けが計算とばっちり合ってたので,さすが!,と思った記憶があります.だけど,3つの天体は明るいもの程,大き目に描いてると思いました.これは人間なら誰でも同じですね.

 スリービーチの鏡は,ガラス材を良く見ると型に入れて円板を作る「インゴット式」って言うのか,そういう製作法で作られた物でした.何かで,ガラスが均一でなかったのかもしれません.
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ガラクマ
記事: 773
登録日時: 2023年6月07日(水) 21:16

Re: これって苗村鏡?

投稿記事 by ガラクマ »

木村様。コメントありがとうございます。

 NTKのN氏とは、以前お会いして、積雪地域の冬の収益源として反射望遠鏡研磨を教えて回ったお話をお聞きしました。
失礼ではありますが、ご存命なんでしょうか? 10年くらい前は、博物館をご案内いたしましたが、その数年後電話したら、奥様が出られ、今は電話にも出られないと申され、心配しておりました。
しかし,日本に望遠鏡がやって来たときに,その製作法も伝わったと思います.鉄砲鍛冶などしている人が,自分でも望遠鏡を作ってやろうと思うなら製作法まで聞き出したと思いますよ.小学生くらいの子供が,見よう見まねで天体望遠鏡モドキを作るのとはわけが違うでしょう.
 これがよく分かりません。T先生も監修にかかわった「夢をまことに」山本兼一氏、ではあるお殿様の家にあったものを借りて、それを見て作ったことになってなかったですっけ? 当時分かってなかったのか研磨のことは端折ってましたが、鏡の錆びない金属の調合にはページを割いていたように思います。まあ、小説ですが。

 特にイギリスで発達した19世紀のガラス鏡の反射ミラーですが、フーコー前にもそこそこよく見える鏡があったようですが、どうやって作っていたんでしょうか? 不思議です。
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Linf
記事: 14
登録日時: 2023年8月12日(土) 16:10

Re: これって苗村鏡?

投稿記事 by Linf »

ガラクマ様、木村様

以下の文献に17世紀の3名の製作者による3個のレンズの波面収差などに関するイタリアでの研究報告があります。
Applied Optics Vol. 41, No. 4, pp. 644-647 (2002)
位相シフトフィゾー型干渉計 光源波長λ=632.8nm の干渉図と
ノマルスキー微分干渉顕微鏡で撮影したレンズ表面 範囲 0.28mmx0.2mm の写真

ご存知だと思いますが、ウェブ上で閲覧できる国友望遠鏡の光学測定関連の文献
・国友望遠鏡の反射光学系とその製作に関する考察 第5回「歴史的記録と現代科学」研究会 集録(2018/3/22-24), 2018
・国友藤兵衛製作の反射鏡の耐食性について Bull. Natl. Nat. Sci., Ser. E, 38, pp. 1-8, December 22, 2015
・國友藤兵衛製作グレゴリー式反射望遠鏡の学術調査 国立天文台報 第4巻, 9-41 (1998)
・長浜城歴史博物館既有の国友一貫斎作反射望遠鏡の主鏡の性能評価 第39回天文学に関する技術シンポジウム 2019 集録 (2020)
・(国友一貫斎グレゴリー望遠鏡の光学特性評価 2022 未公開?)

間違っているかもですが、以前光軸上でそれぞれPV1/4λの凹面鏡と平面鏡の組み合わせで焦点での波面収差を見ると、
1/4λ+0.001...でした。
ATMOSで確かめられてはいかがでしょうか。
(ATMOSレンズ設計ソフトウェアとATMOSFRINGE干渉縞解析ソフトウェアが無料になりました)
viewtopic.php?t=384
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