フーコーテスト

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木村
記事: 56
登録日時: 2025年2月06日(木) 11:24

Re: フーコーテスト

投稿記事 by 木村 »

 ちょっと解り難い書き方だったんで,補足説明します.
フーコーテストは,球面に対してゼロメソッドです.完全球面の時に,像は真っ白か真っ黒かの2通りのパターンしか見えません.普通は真っ白と真っ黒の間に中間濃度のパターンになりますが,これはナイフエッジが完全な直線になっていないための誤差に過ぎません.ギザギザしてるナイフエッジだとコントラストが下がります.キンキンに直線のナイフなら白と黒だけに近づきます.有り難がって見る必要はありません.

で,球面よりも端っこが手前に来ている,つまり偏球面と,その逆の端が向こうに行っている,つまり楕円,放物,双曲面との区別はできます.でも,どっちに転んでいるかが分かるだけで,その量は分かりません.だから,どうしてもバーニャ付けてナイフの位置を測定して,鏡面を中心から同心円状に焦点距離(球面半径)を測定して,誤差の2乗和平方根を出さないことには○/λとかの数値は出せないです.

一番缶単位,その面の精度を出すなら,まず,フーコー像の真ん中辺りが左右同じ明るさになるナイフ位置(中心付近の曲率半径)と,同じ様に鏡の端っこの曲率半径を測定します.
このナイフ位置の差が,理論的な値 h^2/2R とどの位違うかを出します(この式はナイフが単独で動く場合).完全に一致しているなら球面収差が100%補正された状態(フルコレクションと言いますけど),半分だったら50%の不修正,やり過ぎているなら○○%の過修正って評価します.

この修正量をガラス面の物理的な高さに換算して,光の波長の何倍なのかに計算すれば○/λって数値に直せるわけです(ちょっと忘れてしまいましたけど).ただし,この計算の仕方は素のまま計算するので,面の凸凹誤差を最小自乗法で最適化する評価法より厳しい値が出ます.
「M」
記事: 46
登録日時: 2023年7月29日(土) 19:25

Re: フーコーテスト

投稿記事 by 「M」 »

木村 さん みなさん こんにちは
木村 さんが書きました: ... 普通は真っ白と真っ黒の間に中間濃度のパターンになりますが,これはナイフエッジが完全な直線になっていないための誤差に過ぎません. ...
ナイフエッジが「数学的な」直線であっても中間濃度があらわれるリクツであったと思いますが?

※その一方で、口径比の違う鏡を見ると(同じテスターであっても)中間濃度の様子が違いますね。
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木村
記事: 56
登録日時: 2025年2月06日(木) 11:24

Re: フーコーテスト

投稿記事 by 木村 »

>ナイフエッジが「数学的な」直線であっても中間濃度があらわれるリクツであったと思いますが?

あ,そうなんですか!
昔,シーコ,シーコと鏡を磨いていた頃,当然,フーコーテストの結果を解析するパソコンプログラムを作って使ってました.その時「検算」のつもりで,テスト結果から逆にフーコーテスタで見えてるはずの像を,数値計算で画像化して画面に出力するようにしていました.

もう20年近く前なので,どう計算したか忘れてしまいましたが,完全に直線であるナイフでは,まったくのゼロイチの明るさしか得られないのです.真っ白か真っ黒しか出ないのです.

考えて,光源側のナイフと観測側のナイフの刃が平行とは限らない(歯が曲がっている).さらに歯は少しギザギザしているだろうと言うことで,平均値を中心としてガウス分布する乱れを入れたのです.そうしたら,上手いこと見えてるフーコー像と良く似た画像が出てきたのです.

でも,考えてみると,光がナイフの刃で回折する効果を入れたら,完全なナイフの刃でも中間の黒さを含んだフーコーパターンが得られるかもしれない気がしてきました.
「M」
記事: 46
登録日時: 2023年7月29日(土) 19:25

Re: フーコーテスト

投稿記事 by 「M」 »

木村 さん みなさん こんにちは
木村 さんが書きました: どう計算したか忘れてしまいましたが,完全に直線であるナイフでは,まったくのゼロイチの明るさしか得られないのです.
(たとえば、)点光源で幾何光学的計算すると、そうなる筈ですね:-
球面鏡の場合、球心に大きさ0の光源をおくと、光線追跡によれば点像ができる=ナイフで切ればゼロイチの明るさしか得られない。

しかし、実際には点光源であっても「有限の大きさ」の像ができる(というのが「リクツ」な)ので中間濃度が観察される...。

現実のフーコーテスタでは、その他の効果が入ってくるでしょうが「ナイフの刃での回折」の効果は(中間濃度に関しては)どうでしょうか。


※普通に(「白色光」=非単色光で)フーコーテストをしていれば、ナイフの刃の回折の
※効果が目立つことはないと想像しますが...LED光源+スリットレステスターではどうかしらん?
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木村
記事: 56
登録日時: 2025年2月06日(木) 11:24

Re: フーコーテスト

投稿記事 by 木村 »

あ,すいません.
私で話しが止まってたんですね.

>しかし、実際には点光源であっても「有限の大きさ」の像ができる(というのが「リクツ」な)ので中間濃度が観察される...。

 いえ,違うと思います.中間濃度はナイフの直線性の誤差だと思います.
下に,検査されている主鏡を背中にして,フーコーテスタのナイフと観測者に向かっている図を示します.
簡単のために,ナイフは一本で,ナイフの歯の下の方で光源を切り,上の方で反射してきた光源の像を切ることにします.(実際,こういう作りのテスターはあります.)ここでの光源は,しっかりとした直径を持つ円光源とします.

ナイフで切られて,上弦の月みたいな光源は,主鏡で反射されてナイフの上に下限の月みたいな像を結びます.この時,ナイフの歯が完全に直線であれば,下限の月は完全にナイフに隠れてしまいますから,観測者の目には光源が見えません.
無題.png
見えないというか,光源の情報が返ってこないと言うのが正しいかも知れませんが,光源を出る時にナイフのところで回折して,図の左側に曲がっていった回折は,上の観測者の目玉の辺りではナイフの歯の右側から目玉に入ります.つまりは,回折光しか見えないって事になります.

 実際には,ナイフは完全直線では無くて曲がっていたり,微かな刃こぼれから光が漏れていくので,中間のトーンが生まれるんだ・・・・と思っております.もちろん,回折光が入るのも中間トーンが生まれる原因の一つであります.

 なお,上の一本のナイフの上下に目玉と光源を配置するテスターは,光源と目玉(ナイフ)は一緒に移動するようにするのが普通なので,ナイフを右から左とか左から右ということはしなくて,いきなり最大のトーン変化の像しか見られません.
還暦α
記事: 135
登録日時: 2023年6月20日(火) 12:59

Re: フーコーテスト

投稿記事 by 還暦α »

皆様こんにちは。

反射ミラーのフーコーテストを光学シミュレーションソフトで再現しようと試みたのですが
ソフトに機能が無くハーフミラーを表現できないのでレンズを使った系で図を作りました。

光源が有限の大きさを持つ場合は「M」 さんが書かれた通り焦点位置にナイフを配置して光源の像の半分まで
切り込むと中間の明るさになるはずです。

上の図のように光源の下側から出た光(青い線で表示)はナイフに遮られ、上側から出た光(赤い線で表示)は
ナイフを通過します。
ナイフを光源の像の半分まで切り込めば光源の半分の光がナイフを通過するので半分の明るさになります。

上の図は光源からの光の伝わり方を表現しているので検査面を観察する結像とは違っています。

観察の結像は下の図で(2番目のレンズの右面を結像する絵になっています)3番目のレンズでカメラ
(右端の線がカメラのセンサー)に結像します。
人が直接見る場合は3番目のレンズが目の水晶体、右端が網膜になります。

17:45 図に不備がありましたので修正しました。
フーコーテスト_大きさを持った光源の場合2.jpg
「M」
記事: 46
登録日時: 2023年7月29日(土) 19:25

Re: フーコーテスト

投稿記事 by 「M」 »

木村 さん 還暦α さん みなさん こんにちは

木村>いえ,違うと思います.中間濃度はナイフの直線性の誤差だと思います.

さぁて、 これまでの話の流れは:-

木村>...中間濃度のパターンになりますが,これはナイフエッジが完全な直線になっていないための誤差

「M」>ナイフエッジが「数学的な」直線であっても中間濃度があらわれるリクツであったと思いますが?

木村>どう計算したか忘れてしまいましたが,完全に直線であるナイフでは,まったくのゼロイチの
木村>明るさしか得られないのです.

「M」>...点光源で幾何光学的計算すると、そうなる筈ですね:-
「M」>球面鏡の場合、球心に大きさ0の光源をおくと、光線追跡によれば点像ができる=ナイフで
「M」>切ればゼロイチの明るさしか得られない。
「M」>しかし、実際には点光源であっても「有限の大きさ」の像ができる...ので中間濃度が観察される...。

木村>いえ,違うと思います.中間濃度はナイフの直線性の誤差だと思います.

というものでした(再掲にあたって若干の略記をしました)よろしいでしょうか?

●「M」の論点は、「ナイフエッジが完全な直線であっても中間濃度があらわれる」です。
※「中間濃度はナイフの直線性の誤差によって(も)あらわれる」ことを否定していません。

木村さんの「いえ,違うと思います.」は、「M」の「論法」の、具体的に、どこを指したものなのでしょう?

(イ)
『「球面鏡の場合、球心に大きさ0の光源をおくと、光線追跡によれば点像ができる=ナイフで
切ればゼロイチの明るさしか得られない。』

(ロ)
『実際には点光源であっても「有限の大きさ」の像ができる』

(ハ)
『「有限の大きさ」の像ができる...ので中間濃度が観察される』

(二)
(その他:具体的な説明をお願いします)

※複数選択ok (:-)

※※
木村 さんが書きました: 簡単のために,ナイフは一本で,ナイフの歯の下の方で光源を切り,上の方で反射してきた光源の像を切ることにします.(実際,こういう作りのテスターはあります.)ここでの光源は,しっかりとした直径を持つ円光源とします.
スリットレス(フーコー)テスターですね、これは。
※(「これが」スリットレステスターですね。前の投稿でふれたので「ツッコミ」を期待していました:-)

木村 さんが書きました: 上の一本のナイフの上下に目玉と光源を配置するテスターは,光源と目玉(ナイフ)は一緒に移動するようにするのが普通なので,ナイフを右から左とか左から右ということはしなくて,いきなり最大のトーン変化の像しか見られません.
???「いきなり最大のトーン変化の像しか見られません」というのが、解らないのですが???
※当方のスリットレステスターはスリット式と「同じような」振る舞いでしたけど?


※※※※
還暦α さんが書きました: 光源が有限の大きさを持つ場合は「M」 さんが書かれた通り焦点位置にナイフを配置して光源の像の半分まで
切り込むと中間の明るさになるはずです。
実際の趣味の鏡面研磨者がおこなうフーコーテストでは(多くの場合で?)
この光源の大きさの効果が大きいのではないか、と想像しています。
今回の投稿(の初稿)から割愛しましたが、スリットレステスターは
この点に特徴があるのです...が、それは機会があればまた。
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木村
記事: 56
登録日時: 2025年2月06日(木) 11:24

Re: フーコーテスト

投稿記事 by 木村 »

 あぁ,良く考えたら私が間違ってますね.

>>木村>いえ,違うと思います.中間濃度はナイフの直線性の誤差だと思います.

こうじゃないですね.
以前,かのh君とフーコーテスタのシミュレータを作っていたとき,中間のトーンが出て来ないのでh君に「君の中間トーンは,どうやって出してるんだ?」と聞いたら「実際にはナイフに誤差があるから乱数を入れろ,適当にガウス分布させろ」って教えてくれたので,その通りにしてたのでした.でも,これは変ですね.正しくは,スリットの幅ですね.回折もナイフの誤差もあるのですが,スリットの幅が支配的でありましょう.大変失礼しました.
私のテスタは物置に残ってて,何種類かあるナイフを見たら,スリット付きスリットレステスタになってました(笑い).

 元々は,かのフーコーさんが考えたんだと思いますが,元祖フーコーテスタは,ピンポールからピンホールに戻す方式だったとか聞きました.そうすると,面の肌まで全部見えるテスターになるのですが,ピンホールだと水平だけでなく上下まで合わせないと何も見えないし,合っても暗いので測定が大変だそうです.そこで鏡は回転対称だと仮定し,鉛直方向には積分された平均値として扱われるように,縦スリットとナイフを組み合わせて明るく改良されたのが,今のテスタの形式と聞いたことがあります.

 なお,元祖ピンホールテスタは一回だけ試みたことがあります.ピンホールでは合わせられなくて,1φくらいの穴にした記憶があります.確かに,一瞬ですが夏みかんの肌みたいなのが見えましたが,使いにくいのなんの.おまけに,眼球の中のゴミも網膜に写るので生の目玉じゃなくて,やりたければカメラを使った方が良いと思います.
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