木村 さん みなさん こんにちは
木村 さんが書きました:
>1組のレンズ製作用としては「贅沢」ですね!
いや,Mさんは下知識が無いので理解できないでしょうけど,これは貧乏も貧乏,とんでもなく貧乏な作戦です.
少し説明すると,アクロ1セットの面は4面です.それぞれに,共擦りする相手のガラスが必要です(ツールガラスと呼びます).安い青板ガラスを使います.これも25cmが必要です.青板ガラスは,共擦りの砂ずりから始まって,最終的に両方ともつるつる状態にします.フランフォーファー型は凸面3つに凹面1つです.
凹面はフーコーテストできますが,凸面はできません.そこで共擦りで作った完全同曲率の凹面でフーコーテストをやって,重ね合わせてニュートンフリンジ検査で調整します.
つまり,アクロ1セットにたいして,ツールガラスは,単純に計算しても合計4枚必要です.さらに最終検査のために,基準平面鏡が必要です.これも2枚のガラスが必要です.
結局,2枚のアクロのために,ツールガラスと基準平面用ガラスで合計6枚(4+2)必要です.
それから,研磨する面の数はレンズ面の4面に加えて,フリンジ用になるツールの4面,基準平面もフリンジテストで作りますから2面で,合計10面研磨です.
...というやり方は採用しないで...
木村 さんが書きました:
研磨する作業量は我慢することにして,ガラス材だけでも節約しようって事になったのです.なにせ,25cm級だと青板ガラスでも結構しますから.
アクロの第1面と第4面にはツールを用意し,第2と第3はアクロ同士の共擦りとします.さらに,基準平面は上の2枚のツールガラスの裏を使う事にして,テスト用の基準球面は,最も正確に研磨できるアクロの第3面,つまりF2の表を使うことにしたのです.
この工夫で,仕上げる面数は変わりませんが,ツール+基準平面で6枚だったのが,わずか2枚で済むようにしたわけです.
というやり方にした。 基準平面は必要なのは1枚だが、平面作成のためには(最低)2面が必要ということですね。
※基準平面の作成の実際を教えていただくのを楽しみにしています!
※※「テスト用の基準球面」というのは平面のテスト用だ、と理解しましたが?
※※※まあ、これはまた後ほどということで。
木村 さんが書きました:
必要なガラス厚というのは,ある曲率半径を指定すると,レンズの直径から幾何学的に計算して,凸レンズの端のガラス厚さが負になったり,凹レンズの中央厚さが負になったりはダメなのですよ.口径に応じてガラス材は,強度上必要な最低厚さがあって,部分的にでも薄過ぎには出来ないのです.
参考書(『吉田正太郎,天文アマチュアのための 新版 屈折望遠鏡光学入門,2005』)では
「凸レンズの周辺のコバ厚は、レンズ直径⌀の5%内外」
「凹レンズの中心肉厚は、レンズ直径⌀の6%以上」とあります。
⌀=250[mm]として...まあ約15[mm]が限度ということなのですね。
先に引用した同書のBK7+F2のリトロー型F20の例(を口径250[mm]に拡大)ですと、
BK7前面の曲率半径==BK7後面の曲率半径==F2前面の曲率半径==(約)2250[mm]
BK7前面の「ふくらみ」==BK7後面の「ふくらみ」==F2前面の「へこみ」==約3.47[mm]
F2後面の曲率半径==(約)38750[mm],F2後面の「ふくらみ」==(約)0.2[mm]
木村 さんが書きました:
しかも,ガラスは削り過ぎたからといって,元には戻せません.既にアホな人が,ガラスを下手に削ってしまったので,これからの研磨では凸レンズの中央を1㎜以上減らしてはいけないし,凹レンズは端の方を1㎜以上減らしてはいけないという条件を守りながら研磨しないとならないということです.
F2は反射鏡にしようと荒ズリしかかりだったということですが、BK7も何かの仕掛かりだったわけですか。
木村 さんが書きました:
これは,反射式の主鏡を磨ける程度の人では難しいです.(たまに,主鏡の手磨きができると言って天狗になってる人がいますけどね)私も15cmくらいまでなら,1週間もかからずに完成できますけど,最初の頃は,ズリズリやって行ったらガラス材の厚さが3㎜くらいまで薄くなってしまって使えない主鏡にしちゃったことがあります.
ところが,hは最初から最後まで鏡材の端の厚さが変わらないのでした.まったくガラスを無駄にしないのでした
鏡材を買った時の「面取り」で上がりまでいける...自分では面取り作業をしなくてよい(:-)
※hさんというのが、そのお友達ですか。
※『天文アマチュアのための 新版 屈折望遠鏡光学入門』では作業の実際は(ほとんど)載っていませんので
※とりあえず『星野次郎,反射望遠鏡の作り方,1971』、『木辺成麿,新版 反射望遠鏡の作り方,1968』を
※ひっぱり出してきました。 しかし(わかる人はこれでイケるのかもしれませんが)...。
さて、そこで
「加工シロが不十分という問題を、専用の研磨機と,ダイヤモンドのカーブジェネレーターが解決した」
と(先にも書きましたが)想像していますが?
とくに費用が、「安い(?)青板ガラス」と比べても少なくて済むとは...興味津々!
ダイヤモンド・カーブジェネレーターの材料は(方式によっては)さほど高くないとも聞きますが、
ここで要求されている加工精度をもった器具にするのは、結構難しいと考えます。
まずカーブジェネレーターについて(それから専用の研磨機についても)ご紹介を期待しています。