プラネタリーエクステンダーの続きです。
プラネタリーエクステンダーによって対物レンズの焦点距離を延長した場合の性能についてもう少し詳しく考えてみたいと思います。
エクステンダーは単体が無収差であっても対物レンズの球面収差と軸上色収差(共に縦収差量)を拡大率では無くて拡大率^2に拡大します。
F値については拡大率分の拡大となるので横収差量(横収差量=縦収差量/(2・F))については拡大率分の拡大となり、スポット径は拡大率分だけ肥大し、解像力(空間周波数)は確実に低下することになります。
以上は通常の望遠撮影時等のアンダーサンプリング撮影状態に対応します。
一方、波面収差的に考えるとには回折全長(波長(λ)に対応する縦幾何収差量)は対物レンズのF値^2に比例して大きくなるので、その結果、対物レンズの縦収差量を拡大率^2に拡大しても、波面収差を悪化させることは無い(波面収差は変化しない)ということになります。
ということで、角解像力が有効径で決まる状態(オーバーサンプリング状態)においては角解像力(空間周波数では無い!)が悪化することは無いということになります。
これは接眼レンズを使って高倍率で眼視観測を行っている状態、
撮影においては惑星撮影時等のオーバーサンプリング状態に対応します。
拡大率を上げて合成焦点距離をどんどん長くしても有効径で決まる角解像力は決して上がることは無い訳ですが、下がることも無い訳です。
横収差方向で考えると、スポット径は肥大するが、同じ比率でエアリーディスク径も肥大しているということですね。