リッチー・クレチァン望遠鏡の理論(『吉田正太郎,新版 反射望遠鏡光学入門』(他))

楽しみ方は無限大、アイデア全開
「M」
記事: 94
登録日時: 2023年7月29日(土) 19:25

Re: リッチー・クレチァン望遠鏡の理論(『吉田正太郎,新版 反射望遠鏡光学入門』(他))

投稿記事 by 「M」 »

みなさん こんにちは

はらぱん さん ありがとうございます。

 「検索」のおかげで資料調査ができたわけなのですが
当初「Chrétien aplanat」では、これといったものが見つからず
少々悩みました。 むろん「aplanat」で検索すると直ぐに
『Untersuchungen zur geometrischen Optik. II』は
見つかるわですが、Fig 8が凹凹配置と見た段階で「別の理論」と
早合点して通り過ぎていた次第です。
ちゃんと説明も読めば、『新版 反射,2005』の図9.5と同じだと
直ぐに気付くのですが「思い込み」とは、おそろしいものです。

もっとも、文献探索を続けたからこそ「得られたもの」も多かった。
例えば「Wassermann–Wolf problem。」 原論文は
『Wassermann,Wolf:On the Theory of Aplanatic Aspheric Systems.』
だと思いますが、これは「paywall」の彼方。 でも、
これを参考文献としている
『McQuistan,Optical Design of Aspheric Mirrors.』
はdownloadできます。(というより、こっちが先に見つかった)
※「McQuistan ADA046438」で検索すれば見つかる筈。同pdfのp.13
※「3.2 Curve fitting to the aspheric」あたりには
※「数値解からRaytrace用の定義入力式を求める手順」を考える上で
※参考になりそうです。

      ※※

 さて、実務的なRC系の設計とは「収差論」によるもののようです:
「収差係数による説明」というのは、関係式が天下りに
与えられて、コマをなくする条件は「これこれ」という流れなのでしょうか。
それで仕事は進められるのでしょうが、趣味者の無駄な疑問
(どうやって/なぜ)の答えには、ちょっと不満足なのですよね...。

※はらぱん さんが、先に参照されていた
※『山下泰正,反射望遠鏡,東京大学出版』は
※収差論を「ガッツリ」説明してくれていますが、この本は(吉田先生の本とは
※別の意味で)油断しては読めないと思います。
※
※※講義ノート、つまり『よく分かっている人(=先生)が、
※※すでによく分かっている人(=先生自身)の「覚え」のために
※※書いたもの』の感じですので、
※※(分かっていない:見通しが効かない)「M」が、そのノートの内容を
※※分かるようになるためには、相当の予習+復習が必要。
※※※予習...だれかに聞く?、参考書を読む?
※※※参考書として、この本を読み始めたのにねぇ...。

 2枚の反射鏡系の理論にでてくる「収差論」とは
Schwarzschildによるもので
『Untersuchungen zur geometrischen Optik. II』で
展開されている。 それが
「望遠鏡光学に関する、最も本質的で重要な論文」(*1)と云われる
理由というのが「M」の理解です。

※同論文中、「アプラナート2枚鏡の理論」は、サラリと明快な
※書きぶりで、しかも、その他の部分から独立して読めます。
※主題である収差論の「例題的な扱い」とさえ思えます。

(*1) そう書いている、Wilsonによる解説は以下で入手できます:-
『Wilson,R.N.: Karl Schwarzschild and Telescope Optics』
https://ui.adsabs.harvard.edu/scan/manifest/1994RvMA....7....1W
※まあまあ読みやすい。歯ごたえはありますけど。
はらぱん
記事: 19
登録日時: 2026年2月14日(土) 11:48

Re: リッチー・クレチァン望遠鏡の理論(『吉田正太郎,新版 反射望遠鏡光学入門』(他))

投稿記事 by はらぱん »

みなさん、こんにちは。

同曲率の主鏡凸面、副鏡凹面の、シュヴァルツシルドのアナスチグマートというのがあります。
これも厳密解のパラメーターの違いなのですね。

2枚の鏡が特殊な形状と配置になるので、実用性がないと言われていますが、接眼鏡の対物レンズを含めたシミュレーションをするのに、収差が少なく便利なので使っていました。(理想レンズが実現できなかったため)
しかし円錐係数を使った簡易版であったため、収差が少し残っていました。

厳密解からのテーラー展開式で
e=2  m=2.414214
でやってみたところ、ほぼ無収差になる非球面係数を得ることが出来ました。
とても便利に使えそうです。
「M」
記事: 94
登録日時: 2023年7月29日(土) 19:25

Re: リッチー・クレチァン望遠鏡の理論(『吉田正太郎,新版 反射望遠鏡光学入門』(他))

投稿記事 by 「M」 »

はらぱん さん  みなさん こんにちは

さてRC厳密解の級数展開式で何がわかるか:-

※円錐曲線の級数展開から...

(C.0): 「c」は、頂点での曲率(=<曲率半径の逆数>),「ε」は、1 - <離心率の2乗>とする。

(C.1):  頂点がxy座標の原点にあり、頂点での接線がy軸に一致する円錐曲線の式。
※c.f. 「https://en.wikipedia.org/wiki/Conic_constant」

(C.2):  頂点がxy座標の原点にあり、x軸について線対称な曲線の多項式表現。

(C.3):(C.1)の級数展開 ※Maclaurin展開。

(C.4):(C.2)と(C.3)が、同じ曲線を表すとすれば...
    B2 = c/2, B4 = (c^3/8)*ε, .... ※「c^3」は「c」の3乗

(C.5):(C.4)を「c」「ε」について解くと
    c = B2 * 2, ε = B4 / (B2 ^ 3)

(Ctab 1): RCの主鏡(primary)、副鏡(secondary)が円錐曲線で近似できる、
    とすると、先に示したRC主鏡、副鏡の厳密解の級数展開式 それぞれの
    B2, B4を(C.5)に代入すると、
    主鏡、副鏡 それぞれの 円錐曲線近似の「c」、「ε」をパラメーター「e」「m」で
    表すことができる。

      ※※

パラメーター「e」「m」の選び方で、主鏡副鏡が凹凹になったり凹凸になったり
(凸凹になったり)というのがわかる。
※それが、それほど「ウレシイ」か,といえば微妙ですけど (-:)
※※例によって「怪しげな手編集」をしています。つっこみ よろしくお願いします※※
Ctab6b.png
      ※※

 円錐曲線の式に高次項を加えれば近似が良くなる((C.6)(C.7))が
「3次収差論」では高次項を省略(A4,A6,A8,...は0。)
「ザイデル収差を考える...」とか「ザイデル領域では...」とか書いて
あればまだしも、「RCの主鏡、副鏡は双曲面」と、いきなり書かれている
(ように見える)と混乱するわけです。 
おおかたの参考書などは「3次収差論を暗黙の前提にしている」というのが
「M」の理解なのですが、いかがでしょう。
※「DKの主鏡は楕円面」とか、ね。

      ※※

はらぱん>同曲率の主鏡凸面、副鏡凹面の、シュヴァルツシルドのアナスチグマートというのがあります。
はらぱん>これも厳密解のパラメーターの違いなのですね。

『Untersuchungen zur geometrischen Optik. II』の
「§4. DieSysteme aus zwei Spiegeln」 pp.12-20」で、検討して
いるもの、だと思いますが、「M」は、斜めに読んだだけで気がつきませんでした。
さすが、はらぱん さん。
はらぱん>2枚の鏡が特殊な形状と配置になるので、実用性がないと言われていますが、
はらぱん>接眼鏡の対物レンズを含めたシミュレーションをするのに、
はらぱん>収差が少なく便利なので使っていました。(理想レンズが実現できなかったため)

※「接眼鏡の対物レンズを含めたシミュレーション」が紹介されることは少ないと思います。
※(さしつかえない範囲で)ご紹介いただける、「機会」があれば良いのですが... ... ...。

      ※※

 「シュヴァルツシルドのアナスチグマート」の作図をして見たのですが、どうも...
変な具合です。 それと、参考資料をちょっと調べるつもりが、
アナスチグマートの定義に像面湾曲なし」を含める流儀と、含めない流儀が
あることを「発見」してしまいました。
c.f .
   「https://en.wikipedia.org/wiki/Anastigmat」
   「https://ja.wikipedia.org/wiki/アナスチグマート」
(例によって)興味が「斜め下」へ向かっています。
はらぱん
記事: 19
登録日時: 2026年2月14日(土) 11:48

Re: リッチー・クレチァン望遠鏡の理論(『吉田正太郎,新版 反射望遠鏡光学入門』(他))

投稿記事 by はらぱん »

みなさん こんにちは。

シュヴァルツシルドのアナスチグマートについてです。
厳密式をテーラー展開し、e=2、m=2.414214 で非球面係数を計算しました。
Maximaのコードです。

コード: 全て選択

/*シュヴァルツシルドのアナスチグマートの主鏡非球面係数計算*/

/* 1. 変数と定義の設定 */
e:2;
m:2.414214;

/* t を y で展開する式 (t = sin^2(U/2) かつ y = sin(U) より) */
t_as_y:(1 - sqrt(1 - y^2))/2;


/* 2. 主鏡の式の計算 */
/* 指数部分の整理 */
k1 : (1 - 2*e) / (1 - e);
k2 : 1 / (1 - e);

/* x の厳密解の定義 (tの関数として) */
x_exact : e - (t*(1-t))/e -m * e^(-k1) * (e-t)^k1 * (1-t)^k2;

/* t に y の展開式を代入し、y に関して展開 */
x_y_series : taylor(subst(t = t_as_y, x_exact), y, 0, 60)$
float(x_y_series);

コード: 全て選択

 /*シュヴァルツシルドのアナスチグマートの副鏡非球面係数計算*/

/*1/p の定義 */
e:2;
m:2.414214;
inv_p : t/e + (1/m) * ((1 - t/e)^(1/(1-e))) / ((1 - t)^(e/(1-e)));
p:1/inv_p;

/*直交座標に変換 x = p*cos(U), y = p*sin(U)  */
/*t=sin^2(U/2)*/
/* cos(u) = sqrt(1-4*(1-t)*t), sin(u) = sqrt(4*(1-t)*t) */

x_c: taylor( (p * sqrt(1-4*(1-t)*t)),t,0,12 ) $
y_c: taylor(  (p*sqrt(4*(1-t)*t)),t,0,12)   $

/*微分*/
xd_dt: diff(x_c,t)$
yd_dt: diff(y_c,t)$

/*dx/dy*/
dx_dy: xd_dt/yd_dt$
/*d2x/dy2*/
d_dt: diff(dx_dy,t)$
inv_yd_dt: 1/yd_dt$
d2x_dy2: d_dt * inv_yd_dt$

d2x_dy2_3:diff(d2x_dy2,t)*inv_yd_dt$
d2x_dy2_4:diff(d2x_dy2_3,t)*inv_yd_dt$
d2x_dy2_5:diff(d2x_dy2_4,t)*inv_yd_dt$
d2x_dy2_6:diff(d2x_dy2_5,t)*inv_yd_dt$
d2x_dy2_7:diff(d2x_dy2_6,t)*inv_yd_dt$
d2x_dy2_8:diff(d2x_dy2_7,t)*inv_yd_dt$
d2x_dy2_9:diff(d2x_dy2_8,t)*inv_yd_dt$
d2x_dy2_10:diff(d2x_dy2_9,t)*inv_yd_dt$
d2x_dy2_11:diff(d2x_dy2_10,t)*inv_yd_dt$
d2x_dy2_12:diff(d2x_dy2_11,t)*inv_yd_dt$
d2x_dy2_13:diff(d2x_dy2_12,t)*inv_yd_dt$
d2x_dy2_14:diff(d2x_dy2_13,t)*inv_yd_dt$
d2x_dy2_15:diff(d2x_dy2_14,t)*inv_yd_dt$
d2x_dy2_16:diff(d2x_dy2_15,t)*inv_yd_dt$
d2x_dy2_17:diff(d2x_dy2_16,t)*inv_yd_dt$
d2x_dy2_18:diff(d2x_dy2_17,t)*inv_yd_dt$
d2x_dy2_19:diff(d2x_dy2_18,t)*inv_yd_dt$
d2x_dy2_20:diff(d2x_dy2_19,t)*inv_yd_dt$
d2x_dy2_21:diff(d2x_dy2_20,t)*inv_yd_dt$
d2x_dy2_22:diff(d2x_dy2_21,t)*inv_yd_dt$
d2x_dy2_23:diff(d2x_dy2_22,t)*inv_yd_dt$
d2x_dy2_24:diff(d2x_dy2_23,t)*inv_yd_dt$

float(factor(subst(t=0, ratsimp(dx_dy)))/1!);      /*1次の項の係数*/ 
print("y^2=",float(factor(subst(t=0, ratsimp(d2x_dy2)))/2!))$    /*2次の項の係数 */
float(factor(subst(t=0, ratsimp(d2x_dy2_3)))/3!);
print("y^4=",float(factor(subst(t=0, ratsimp(d2x_dy2_4)))/4!))$
float(factor(subst(t=0, ratsimp(d2x_dy2_5)))/5!);
print("y^6=",float(factor(subst(t=0, ratsimp(d2x_dy2_6)))/6!))$
float(factor(subst(t=0, ratsimp(d2x_dy2_7)))/7!);
print("y^8=",float(factor(subst(t=0, ratsimp(d2x_dy2_8)))/8!))$
float(factor(subst(t=0, ratsimp(d2x_dy2_9)))/9!);
print("y^10=",float(factor(subst(t=0, ratsimp(d2x_dy2_10)))/10!))$
float(factor(subst(t=0, ratsimp(d2x_dy2_11)))/11!);
print("y^12=",float(factor(subst(t=0, ratsimp(d2x_dy2_12)))/12!))$
float(factor(subst(t=0, ratsimp(d2x_dy2_13)))/13!);
print("y^14=",float(factor(subst(t=0, ratsimp(d2x_dy2_14)))/14!))$
float(factor(subst(t=0, ratsimp(d2x_dy2_15)))/15!);
print("y^16=",float(factor(subst(t=0, ratsimp(d2x_dy2_16)))/16!))$
float(factor(subst(t=0, ratsimp(d2x_dy2_17)))/17!);
print("y^18=",float(factor(subst(t=0, ratsimp(d2x_dy2_18)))/18!))$
float(factor(subst(t=0, ratsimp(d2x_dy2_19)))/19!);
print("y^20=",float(factor(subst(t=0, ratsimp(d2x_dy2_20)))/20!))$
float(factor(subst(t=0, ratsimp(d2x_dy2_21)))/21!);
print("y^22=",float(factor(subst(t=0, ratsimp(d2x_dy2_22)))/22!))$
float(factor(subst(t=0, ratsimp(d2x_dy2_23)))/23!);
print("y^24=",float(factor(subst(t=0, ratsimp(d2x_dy2_24)))/24!))$
SC_Plan.jpg
上記のデータを光線追跡ソフトに入力し、焦点距離500にスケーリングしたものです。 
構成図からわかる通り、ほとんど実用性はありません。
SC_spot.jpg
幾何光学的には無収差と言っていいと思います。
一辺のスケールは1ミクロンです。
像面は平坦ですが、非点収差があるため入射角が大きくなると収差が出てきます。

◆データ表1。
データ_SC_厳密式.jpg
係数表.jpg
データ表です。
近軸の曲率は0で非球面係数のみで平面からのザグを表現しています。
Mさんの前投稿の式、C2に相当します。
一度にアップできる画像に制限があるみたいなので、続きます。
はらぱん
記事: 19
登録日時: 2026年2月14日(土) 11:48

Re: リッチー・クレチァン望遠鏡の理論(『吉田正太郎,新版 反射望遠鏡光学入門』(他))

投稿記事 by はらぱん »

シュヴァルツシルドのアナスチグマートの続きです。

近軸の曲率を与えて、ザイデルの収差係数からシュヴァルツシルド係数を計算したものが以下です.
この方法が一般的です。

◆データ表2。
データ_SC.jpg
SC係数.jpg
近軸曲率とシュヴァルツシルド係数で2次曲線を表した、Mさんの式C1に相当します。
(表はシュヴァルツシルド係数に1をプラスした円錐係数を使っています)
本によってはシュヴァルツシルド係数が正だから単純に偏球面だと書かれていたりしますが、分かっている人はいいのでしょうが、そうでない場合は色々解釈問題が起こったりします。

前回の展開式から算出の非球面係数を使った場合と違い、高次の収差が残存します。
SC_.jpg
と言ってもスケールは1ミクロンです。

さて前投稿の『データ表1』の非球面係数のy²項はパラボラを表します。
したがって近軸曲率を(0.5÷係数1)で求めて、SC係数を-1(パラボラ)にして表現することもできます。

◆データ表3。
de-ta_parabora.jpg
係数表_parabora.jpg
つまり同じ非球面を

1、平面からのザグで表す。
2、二次曲面で表す。
3、パラボラ面からのザグで表す。

の3通りの表し方があり、それぞれ設計や製造に都合のいいものが使われているようです。
ややっこしいですね。
これもわかっている人はいいのですが、色々な問題の原因になります。
RC鏡も全く同様です。

厳密式を触っているうちに何となく思ったことがあります。
おバカな素人が”大天才シュヴァルツシルド”の2面鏡の厳密式に関して感想を言うのもためらわれますが、「光学」というより連星系の軌道の微分方程式を解くように、焦点を中心に光路長一定と正弦条件を満たす微分方程式作り出し解いた、というイメージを感じます。

接眼鏡に関してはAmatureTelescopeOpticsに詳しい解説があります。

https://www.telescope-optics.net/eyepiece_raytrace.htm

逆方向の追跡と順方向の追跡を適宜使って多くの接眼鏡の分析がされています。
順方向の追跡は光線追跡ソフトに無収差の理想レンズがないとできないのですが、それがない場合の対処は以下のページ「11.28 - エルフレ接眼レンズ」の後半にあります。

https://www.telescope-optics.net/miscel ... s.htm#long

長くなりますので、続きは次回。
急いで書いたのでまたポカがあるかも。
はらぱん
記事: 19
登録日時: 2026年2月14日(土) 11:48

Re: リッチー・クレチァン望遠鏡の理論(『吉田正太郎,新版 反射望遠鏡光学入門』(他))

投稿記事 by はらぱん »

連続で失礼します。
書き忘れです。
データ表3が、Mさん投稿の式 C.6にあたります。
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