ガラスコードから屈折率ndとアッベ数νdが解り、νdが大きい硝子ほど低分散ということなのですが、
アッベ数はνd=(nd-1)/(nF-nC)ですからd、C、Fの3波長によるデータだということです。(gに関するデータは含まれていない)
ndとνdのデータから例えば色収差補正(2色補正)をしたダブレットを設計することが出来ます。C、Fの2色の色消し(焦点距離同一化)が可能であり、dとCFの焦点位置の差を2次色収差と言うのですが、低分散硝子を使用することによってその2次色収差を小さくすることが出来る訳です。
以上、これだけでも低分散硝子の効果は十分に大きいように思えますが、これらED硝子~SD硝子~蛍石等の特殊低分散硝材には低分散に加えてもう一つ異常部分分散性という特性が有ります。
なかなか難しい話になりますがアッベ数に応じた標準部分分散に対する実部分分散との偏差が異常部分分散性であり、ここではFとgの間の部分分散を対象として考えます。
これが大きいのが異常部分分散硝子ということです。
実はFIR98はνdは蛍石よりも大きいですが、異常部分分散性は残念ながら蛍石よりも小さく、FIR100で初めてνdと異常部分分散性の両方が蛍石よりも大きい硝材となった訳です。
それでこの異常部分分散性が大きいことで何がどうなるかと言うと、2枚構成で、CFに加えてgの焦点距離を一致させることが出来るように(3色色消し(=アポ化)が可能に)なる訳です。
「3枚使わないと3色色消しは出来ないので2枚構成のアポは本当のアポでは無い!」とか、「低分散硝子採用によって3色目の焦点までの距離が小さくなったので2枚でもアポと言っても良いことになった!」とか言われたりもしているようですが、そうでは無くて実際に上述のようにED~SD~蛍石等(異常部分分散性を持つ硝材)を使用することによって2枚構成であっても3色色消し(本当のアポクロマート)が可能になります!
実際は、例えば部分分散PgF=(ng-nF)/(nF-nC)のデータを使って相手(凹側)硝子を選ぶことになり、ガラスコードのみでは設計出来ない世界になります。
以上のように2次色収差を小さく出来てかつCFにgを加えた3色色消しを可能にするのが最新の特殊低分散硝子材ということですね。
超低分散硝子(特殊低分散硝子)材の現状
Re: 超低分散硝子(特殊低分散硝子)材の現状
Abbebeさん。お詳しいお話、ありがとうございます。
屈折/分散特性が変わる2種のガラスで、色消しができたり、少なくとも一方のカーブが特殊なものと組み合わせで3点以上で0になる合成カーブが引ける可能性があることも数学的に想像がつきます。
他の収差特性を考えて、レンズを作るのも、数学的な問題であり、条件を入れるとそれなりの近似解を得られるというところには、まったく引っ掛かりません。すでに導入されているのではないかと思いますがAIで、開発は進んでいるのではないでしょうか。その為に、超低分散硝子(特殊低分散硝子)材が有効であるということですね。
今回はガラスのお話と思ってましたので、FIR98、FIR100を開発する際に、開発者はどのように異常分散性や部分異常分散性を作っていくかという点から、昔からの疑問の基本に戻ってみました。
これまでの私の知識ではイメージがわきませんでしたので、ちょっとクグッてみました。
コトバンクで、異常分散とは
「ある特定の波長の前後で屈折率が急激に変化するような分散。媒質中を進む波が、共鳴による吸収を受ける波長域で生じる。」
⇒分散が、(物質の固有周波数との)共鳴により変化するということは、先のイメージの範囲内ですが、さてそこからどのように異常分散や部分異常分散をデザインしていくかの簡単な資料が見つかりません。高校物理の範囲外のようです。直接ではありませんが、この辺りがまだ基本に近いようです。
https://annex.jsap.or.jp/photonics/koga ... -kougi.pdf
↓これは難しい。
https://api.lib.kyushu-u.ac.jp/opac_dow ... 7/p201.pdf
屈折/分散特性が変わる2種のガラスで、色消しができたり、少なくとも一方のカーブが特殊なものと組み合わせで3点以上で0になる合成カーブが引ける可能性があることも数学的に想像がつきます。
他の収差特性を考えて、レンズを作るのも、数学的な問題であり、条件を入れるとそれなりの近似解を得られるというところには、まったく引っ掛かりません。すでに導入されているのではないかと思いますがAIで、開発は進んでいるのではないでしょうか。その為に、超低分散硝子(特殊低分散硝子)材が有効であるということですね。
今回はガラスのお話と思ってましたので、FIR98、FIR100を開発する際に、開発者はどのように異常分散性や部分異常分散性を作っていくかという点から、昔からの疑問の基本に戻ってみました。
これまでの私の知識ではイメージがわきませんでしたので、ちょっとクグッてみました。
コトバンクで、異常分散とは
「ある特定の波長の前後で屈折率が急激に変化するような分散。媒質中を進む波が、共鳴による吸収を受ける波長域で生じる。」
⇒分散が、(物質の固有周波数との)共鳴により変化するということは、先のイメージの範囲内ですが、さてそこからどのように異常分散や部分異常分散をデザインしていくかの簡単な資料が見つかりません。高校物理の範囲外のようです。直接ではありませんが、この辺りがまだ基本に近いようです。
https://annex.jsap.or.jp/photonics/koga ... -kougi.pdf
↓これは難しい。
https://api.lib.kyushu-u.ac.jp/opac_dow ... 7/p201.pdf
最後に編集したユーザー ガラクマ [ 2025年6月29日(日) 09:05 ], 累計 1 回
プライベートメッセージです
Re: 超低分散硝子(特殊低分散硝子)材の現状
なんか見下したような失礼極まり無い表現をしますね。
もう少しマシな表現が出来ないものかと思います。
硝子開発者がどのように異常分散性や部分異常分散性(既にここで間違っている)を作っていくかについてイメージが出来たら是非私にも御教示をお願いしたいと思います。
もう少しマシな表現が出来ないものかと思います。
硝子開発者がどのように異常分散性や部分異常分散性(既にここで間違っている)を作っていくかについてイメージが出来たら是非私にも御教示をお願いしたいと思います。
Re: 超低分散硝子(特殊低分散硝子)材の現状
ところで、
>同じ屈折率で違う分散のガラスの違いのイメージがわきません。
ということですから、
バリッドサーフェイスについては肯定出来ないと思いますが、部分分散が平均的な部分分散である場合と異常部分分散である場合とが有るというのはイメージ出来るのですか?
>同じ屈折率で違う分散のガラスの違いのイメージがわきません。
ということですから、
バリッドサーフェイスについては肯定出来ないと思いますが、部分分散が平均的な部分分散である場合と異常部分分散である場合とが有るというのはイメージ出来るのですか?
Re: 超低分散硝子(特殊低分散硝子)材の現状
Abbebeさん。お気を悪くされたようで、申し訳ありません。
今回の問答で、だいぶんイメージが進みました。ほかの皆さんはいかがでしょう。
論文を理解できているわけではないですが、前回の書き込みのところで
・物質内を通過するときに、物質との共鳴により、波長(物質内)~速度~屈折率がシフトする。
・この共鳴は、ガラス内の特定の物質に対するだけでなく構造体全体として作用する。
・(これは当たり前ですが)共鳴周波数は物質(ガラス材)固有である。
以上より、横軸をfと取り、縦軸を屈折率(波長でも速度でもいいですが)をとると、構造と構成元素によりいろいろなカーブを取りえる。ということで、分散曲線が多様であることはイメージができました。
(当然、この原理から特定のfでカーブの連続性が変わるのもあるでしょう)
細かいことをいうと、共鳴によってやり取りしたエネルギーの光子のほうはいいんですが、物質側のエネルギー収支の補填はどうなるのでしょう?
まあ、私の理解(イメージできる範囲)は今のとこ、ここまでです。
今回の問答で、だいぶんイメージが進みました。ほかの皆さんはいかがでしょう。
論文を理解できているわけではないですが、前回の書き込みのところで
・物質内を通過するときに、物質との共鳴により、波長(物質内)~速度~屈折率がシフトする。
・この共鳴は、ガラス内の特定の物質に対するだけでなく構造体全体として作用する。
・(これは当たり前ですが)共鳴周波数は物質(ガラス材)固有である。
以上より、横軸をfと取り、縦軸を屈折率(波長でも速度でもいいですが)をとると、構造と構成元素によりいろいろなカーブを取りえる。ということで、分散曲線が多様であることはイメージができました。
(当然、この原理から特定のfでカーブの連続性が変わるのもあるでしょう)
細かいことをいうと、共鳴によってやり取りしたエネルギーの光子のほうはいいんですが、物質側のエネルギー収支の補填はどうなるのでしょう?
まあ、私の理解(イメージできる範囲)は今のとこ、ここまでです。
プライベートメッセージです
Re: 超低分散硝子(特殊低分散硝子)材の現状
皆様こんにちは。
ガラクマ様が紹介されている1番目の文献は検索して私も見ていました。
Abbebe様が言われている「異常部分分散」と文献で説明されている「異常分散」は別物であることに注意が必要です。
Abbebe様が言われている異常部分分散は部分分散比が一般的な光学ガラスと違う傾向にあるという点で「異常部分分散」と呼んでいます。
部分分散比が一般的な光学ガラスと違うだけでガラクマ様が紹介されている1番目の文献でいうところの「正常分散」のガラスです。
波長が短くなれば屈折率が高くなるという傾向は同じです。
Youtubeに「異常部分分散」を説明している動画がありました。
(6分30秒あたりに出て来るN-BK7のガラスコードは4と6が逆だと思います)
https://www.youtube.com/watch?v=xqPziBpe_gU
また、同じ方のブログ記事があります。(上記動画の説明欄に記載されています)
https://enif883.jugem.jp/?eid=114
文献で説明されている「異常分散」は波長が長い方が屈折率が高くなることを意味しており、吸収がある時に起こる現象と説明されています。
図4のnのグラフで波長(上のスケール)が160nmより長い領域(左側)では波長が短くなるにつれて屈折率が高くなっていて「正常分散」です。(縦軸のスケールはn-1になっているので1を足すと屈折率になります:わかりにくい)
ところが150nm付近では波長が長い方が屈折率が高いという「異常分散」になっています。
言葉が似ているのでややこしいのですが、「異常部分分散」と「異常分散」は全く違う視点の言葉です。
さらに話をややこしくしているのが光学ガラス業界の人たちだと思います。
「異常部分分散」のガラスを「異常分散光学ガラス」、「異常分散ガラス」と呼んでいるからです。
https://annex.jsap.or.jp/photonics/koga ... setsu1.pdf
Abbebe様はこのあたりの事情を良く分かっておられるのでスレッドタイトルの「超低分散硝子(特殊低分散硝子)」と「異常部分分散」という正しい言葉を使われているのではないでしょうか。
ガラスの分散が何で決まるかという話がこちらの文献の4項で説明されています。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ka ... 44720/_pdf
詳しい説明はされていませんが、入射した光が物質を構成する原子の振動に影響を与えて電子を励起して、
励起された電子が元の準位に戻る時に光が出るというような過程で光が伝搬しており、
ガラスの種類によって構成する原子が違うので屈折率や分散が変わってくるという話だと思います。
ガラクマ様が紹介されている1番目の文献は検索して私も見ていました。
Abbebe様が言われている「異常部分分散」と文献で説明されている「異常分散」は別物であることに注意が必要です。
Abbebe様が言われている異常部分分散は部分分散比が一般的な光学ガラスと違う傾向にあるという点で「異常部分分散」と呼んでいます。
部分分散比が一般的な光学ガラスと違うだけでガラクマ様が紹介されている1番目の文献でいうところの「正常分散」のガラスです。
波長が短くなれば屈折率が高くなるという傾向は同じです。
Youtubeに「異常部分分散」を説明している動画がありました。
(6分30秒あたりに出て来るN-BK7のガラスコードは4と6が逆だと思います)
https://www.youtube.com/watch?v=xqPziBpe_gU
また、同じ方のブログ記事があります。(上記動画の説明欄に記載されています)
https://enif883.jugem.jp/?eid=114
文献で説明されている「異常分散」は波長が長い方が屈折率が高くなることを意味しており、吸収がある時に起こる現象と説明されています。
図4のnのグラフで波長(上のスケール)が160nmより長い領域(左側)では波長が短くなるにつれて屈折率が高くなっていて「正常分散」です。(縦軸のスケールはn-1になっているので1を足すと屈折率になります:わかりにくい)
ところが150nm付近では波長が長い方が屈折率が高いという「異常分散」になっています。
言葉が似ているのでややこしいのですが、「異常部分分散」と「異常分散」は全く違う視点の言葉です。
さらに話をややこしくしているのが光学ガラス業界の人たちだと思います。
「異常部分分散」のガラスを「異常分散光学ガラス」、「異常分散ガラス」と呼んでいるからです。
https://annex.jsap.or.jp/photonics/koga ... setsu1.pdf
Abbebe様はこのあたりの事情を良く分かっておられるのでスレッドタイトルの「超低分散硝子(特殊低分散硝子)」と「異常部分分散」という正しい言葉を使われているのではないでしょうか。
ガラスの分散が何で決まるかという話がこちらの文献の4項で説明されています。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ka ... 44720/_pdf
詳しい説明はされていませんが、入射した光が物質を構成する原子の振動に影響を与えて電子を励起して、
励起された電子が元の準位に戻る時に光が出るというような過程で光が伝搬しており、
ガラスの種類によって構成する原子が違うので屈折率や分散が変わってくるという話だと思います。
Re: 超低分散硝子(特殊低分散硝子)材の現状
還暦α さん。
用語の解説、資料のご紹介ありがとうございます。
特に、 ”身の回りの素朴な疑問Part 2 1ガラスの光学的性質” についてはタイトル、内容からして、私の疑問の回答そのもののようです。
私の理解は3の前半くらいまででした。
新たな疑問も湧いてきたのですが、もう少し理解してからにします。
Abbebeさん、話の腰を折ったようで、申し訳ありません。
用語の解説、資料のご紹介ありがとうございます。
特に、 ”身の回りの素朴な疑問Part 2 1ガラスの光学的性質” についてはタイトル、内容からして、私の疑問の回答そのもののようです。
私の理解は3の前半くらいまででした。
新たな疑問も湧いてきたのですが、もう少し理解してからにします。
Abbebeさん、話の腰を折ったようで、申し訳ありません。
プライベートメッセージです
Re: 超低分散硝子(特殊低分散硝子)材の現状
皆様,こんばんわです.
ガラクマ様
>高屈折率のものの方が大きく曲がるので、光の屈折率の差(≈分散)の幅が大きくなるのは直感的に分かりますが、レンズに使ったら、上の考えで単純に高屈折率=低分散とイメージがありました。
どこが間違っているかというと,分散の理解が間違ってるんでしょうね.分散に曲率半径を持ち込む必要は有りません.
あの,ガラス材名を点々で表した,日本列島のような図は,私が見ても良く分からない難解な図なので,添付の図を見て下さい.縦軸が各ガラスの屈折率,横軸が通す光の波長,青実線が各ガラス材の屈折率,薄いピンクで塗ってあるのが可視光域,私が赤破線で引いた線が可視光域での光の分散です.
これを見れば屈折率の高い(上の方の)ガラスほど,赤破線の傾きが大きくなっているので高分散と言うことです.つまり,
大体,屈折率∝分散率
です.
で,この図の青実線で示す屈折率が可視光域で,曲がりが全然なくて赤破線が真っ平らなら分散がゼロって事ですから,単レンズで色収差のないレンズが出来ます.それは屈折率に関係なく分散がゼロなら,どのガラス材でも構いません.6種類の,どのガラスでも良いので分散がゼロならOKです.
曲率半径も,屈折率の大きさも関係ありません.
確か,昔々,分散が凄く小さくて透明な物質が見つかって,単レンズで色消しレンズが出来るんじゃないかと,話題になったことがあるんですよ.だけど,誰かが確かめてみたら,その色消しの程度はアクロマートレンズの足下にも及ばず,まして収差は問題外の外.如何にリトローやフランフォーファー型のレンズが優秀なのかが分かりましたね.
それから,2つの波長λ1,λ2に対する色消し条件を,分散やアッベ数を使わないで色消し条件を考えるなら,それぞれの波長の光の焦点距離をf1,f2とし,それぞれのガラス材の屈折率をn1(),n2()みたいに表して,
1/f1(λ1)={n1(λ1)-1}*1/r1
1/f1(λ2)={n1(λ2)-1}*1/r1
1/f2(λ1)={n2(λ1)-1}*1/r2
1/f2(λ2)={n2(λ2)-1}*1/r2
ただし,1枚のレンズの表裏の曲率半径を1/r1みたいに一個で表しちゃってますけどね(つまり平凸レンズだけってこと).
で,f1=f2ぴったりになれば色消しなんで,どうにかこうにか式を変形してアクロマチックにするわけです.それは何をしているかというと,下の図で2種類のレンズを組み合わせて,赤破線が真っ直ぐになるように工夫していると言うだけのことです.
この時,アッベ数という2種類の波長に対する分散,つまりn(λ1)-n(λ2)を,2つの波長の平均に近い適当な波長λ3に対する屈折率n(λ3)で規格化したパラメータ変数;n(λ1)-n(λ2)/n(λ3)を使うと式の変形が楽になりますので,気が付いた人の名を取ってアッベ数と呼んでいるだけのことです.
ちと脱線してしまいましたが,下の図で示した分散の説明では,分散って波長に対する屈折率の変化っぷりだけであって,レンズの曲率などは入っていませんよね?.曲率なんか分散には関係ないのです.また,屈折率が高くなると分散も高くなる傾向になる,と言うことも分かって頂けるでしょう.
で,分散,つまり波長によって屈折率が変化する現象の原因ですが,光の電磁波としての振動数によって伝搬速度が変わるってことを言ってるわけです.光は電磁波ですから媒体の中の誘電体を振動させるという「余計な仕事」をしながら通らねばなりません.電気的に重たい荷物をしょって走らなければならないので遅くなると考えても良いです.振動させる誘電体は,電荷と同時に質量を持っています.だから,例えば1kgの鉄アレイを毎分10回振るのと,20回振るのとでは20回の方が余計疲れます.つまり振動数が高いほど(波長が短いほど)多くの余計な仕事をすることになるので遅くなる(速度が遅い=屈折率が高い)のです.図で,どのガラスも左に行くほど屈折率が上がるのは,そう言うことを示しています.
もしも,有限な屈折率を持ちながら分散がゼロのレンズが存在するとすれば,それは光に余計な仕事をさせずに速度だけを遅くできる媒体で作ったレンズってことです.
たぶん,重力レンズは単レンズで完全色消しレンズになってると思いますよ.
ガラクマさん,挑戦して下さい,重力レンズ天体望遠鏡とレンズ研磨.(下手すると,ブラックホールに吸い込まれるかもね)
(^_^
ガラクマ様
>高屈折率のものの方が大きく曲がるので、光の屈折率の差(≈分散)の幅が大きくなるのは直感的に分かりますが、レンズに使ったら、上の考えで単純に高屈折率=低分散とイメージがありました。
どこが間違っているかというと,分散の理解が間違ってるんでしょうね.分散に曲率半径を持ち込む必要は有りません.
あの,ガラス材名を点々で表した,日本列島のような図は,私が見ても良く分からない難解な図なので,添付の図を見て下さい.縦軸が各ガラスの屈折率,横軸が通す光の波長,青実線が各ガラス材の屈折率,薄いピンクで塗ってあるのが可視光域,私が赤破線で引いた線が可視光域での光の分散です.
これを見れば屈折率の高い(上の方の)ガラスほど,赤破線の傾きが大きくなっているので高分散と言うことです.つまり,
大体,屈折率∝分散率
です.
で,この図の青実線で示す屈折率が可視光域で,曲がりが全然なくて赤破線が真っ平らなら分散がゼロって事ですから,単レンズで色収差のないレンズが出来ます.それは屈折率に関係なく分散がゼロなら,どのガラス材でも構いません.6種類の,どのガラスでも良いので分散がゼロならOKです.
曲率半径も,屈折率の大きさも関係ありません.
確か,昔々,分散が凄く小さくて透明な物質が見つかって,単レンズで色消しレンズが出来るんじゃないかと,話題になったことがあるんですよ.だけど,誰かが確かめてみたら,その色消しの程度はアクロマートレンズの足下にも及ばず,まして収差は問題外の外.如何にリトローやフランフォーファー型のレンズが優秀なのかが分かりましたね.
それから,2つの波長λ1,λ2に対する色消し条件を,分散やアッベ数を使わないで色消し条件を考えるなら,それぞれの波長の光の焦点距離をf1,f2とし,それぞれのガラス材の屈折率をn1(),n2()みたいに表して,
1/f1(λ1)={n1(λ1)-1}*1/r1
1/f1(λ2)={n1(λ2)-1}*1/r1
1/f2(λ1)={n2(λ1)-1}*1/r2
1/f2(λ2)={n2(λ2)-1}*1/r2
ただし,1枚のレンズの表裏の曲率半径を1/r1みたいに一個で表しちゃってますけどね(つまり平凸レンズだけってこと).
で,f1=f2ぴったりになれば色消しなんで,どうにかこうにか式を変形してアクロマチックにするわけです.それは何をしているかというと,下の図で2種類のレンズを組み合わせて,赤破線が真っ直ぐになるように工夫していると言うだけのことです.
この時,アッベ数という2種類の波長に対する分散,つまりn(λ1)-n(λ2)を,2つの波長の平均に近い適当な波長λ3に対する屈折率n(λ3)で規格化したパラメータ変数;n(λ1)-n(λ2)/n(λ3)を使うと式の変形が楽になりますので,気が付いた人の名を取ってアッベ数と呼んでいるだけのことです.
ちと脱線してしまいましたが,下の図で示した分散の説明では,分散って波長に対する屈折率の変化っぷりだけであって,レンズの曲率などは入っていませんよね?.曲率なんか分散には関係ないのです.また,屈折率が高くなると分散も高くなる傾向になる,と言うことも分かって頂けるでしょう.
で,分散,つまり波長によって屈折率が変化する現象の原因ですが,光の電磁波としての振動数によって伝搬速度が変わるってことを言ってるわけです.光は電磁波ですから媒体の中の誘電体を振動させるという「余計な仕事」をしながら通らねばなりません.電気的に重たい荷物をしょって走らなければならないので遅くなると考えても良いです.振動させる誘電体は,電荷と同時に質量を持っています.だから,例えば1kgの鉄アレイを毎分10回振るのと,20回振るのとでは20回の方が余計疲れます.つまり振動数が高いほど(波長が短いほど)多くの余計な仕事をすることになるので遅くなる(速度が遅い=屈折率が高い)のです.図で,どのガラスも左に行くほど屈折率が上がるのは,そう言うことを示しています.
もしも,有限な屈折率を持ちながら分散がゼロのレンズが存在するとすれば,それは光に余計な仕事をさせずに速度だけを遅くできる媒体で作ったレンズってことです.
たぶん,重力レンズは単レンズで完全色消しレンズになってると思いますよ.
ガラクマさん,挑戦して下さい,重力レンズ天体望遠鏡とレンズ研磨.(下手すると,ブラックホールに吸い込まれるかもね)
(^_^